Doul 60年代~現代の音楽、ファッション、アートにアクセスしながらユニークな表現を追求してきた21歳のアーティストがいま改めてロックを求める理由とは

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Doul 撮影=大橋祐希

Doul 撮影=大橋祐希

2020年のデビュー以来、ネイティブスピーカーを思わせる全編英語の歌詞とハイブリッドなサウンドが国内外のリスナーから支持されているロックアーティスト、Doul(ダウル)が半年ぶりにシングル「INSOMNIA」をリリース。
『FUJI ROCK FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』といった大型ロックフェスティバル出演を経て、今年1月にリリースした前作「Vengeance」はブルージーな魅力もあるヘヴィなロックナンバーだったが、今回の「INSOMNIA」はDoulのルーツである2000年代のミクスチャーロックへのオマージュとも言える、「Vengeance」以上にヘヴィでロック色濃い楽曲になっている。「Vengeance」のジャケットでDoulが着ていた特攻服の背中には「THE TIME HAS COME」と書かれていたが、「Vengeance」と「INSOMNIA」からDoulは新たなキャリアを始めるつもりのようだ。
60年代~現代の音楽、ファッション、アートに自由にアクセスしながら、ユニークな表現を追求してきたDoulが今、改めてロックを求める理由を、今一度、彼女のバックグラウンドを振り返りながら、聞いてみよう。

新しい音楽を作りながら、昔、流行ったロックとかヒップホップとかもずっと大事にしていきたいと思っているんです。

――「Vengeance」から半年ぶりとなる新曲「INSOMNIA」をリリースした現在の心境から、まず聞かせてもらえますか?

また新しいDoulを見せられると思える曲なんですよ。今回は特にミクスチャーっていうところにフォーカスして、自分が通ってきたルーツと言える音楽も含め、ロックを求める気持ちを曲にぶつけることができたし、感情的に世の中に対しても、自分に対しても思うことがたくさんあって、そういう曲をこのタイミングで出せたところがいいなって思っています。5月に21歳になったんですけど、アメリカでは21歳からお酒が飲めるじゃないですか。だから、いろいろな意味での解禁じゃないけど、21歳になった今、いろいろな感情を「INSOMNIA」っていう曲とともに解き放つみたいな心境はあります。

――今おっしゃったように、21歳になったタイミングということもあると思うのですが、何かミクスチャーに改めてフォーカスしようと思うきっかけがあったんですか?

自分の方向性や、自分の見せ方について、普段からけっこう考えるんですけど、この世の中にもう1回戻ってきてほしいと思うジャンルがミクスチャーなんです。Doulは新しい音楽を作りながら、昔、流行ったロックとかヒップホップとかもずっと大事にしていきたいと思っているんですけど、私が生まれた2003年に流行っていたのが、リンキン・パークとか、リンプ・ビズキットとか、ミクスチャーなんです。ロックにDJとかラップとか、全部入れ込むミクスチャーならではのスタイルを今の時代にもう1回、この世の中に戻して、みんなで楽しめたらと思ったので、じゃあ自分でそういう曲を作ろうって思ったのがきっかけでした。

――ミクスチャーが今の世の中には足りないと思っているわけですね?

足りないですよね。トガッた人はもちろんいるけど、ミクスチャーに限らず、元々ないものを作り出す人たちが最近は少ないと思っていて。話題になっている音源を聴いても、何かのリミックスや、AIで作った曲が多くて、アーティストが0から1を作る時代ではもうないような気もして。それがすごく不満ですね。

――さっきおっしゃったように、だったら自分でやってやろう、と。

自分が動かないと何も始まらないと思いました。

「Vengeance」ジャケット

「Vengeance」ジャケット

――ところで、「Vengeance」のジャケットでDoulさんが着ている特攻服の背中に「THE TIME HAS COME」と書いてあったじゃないですか。あれはDoulさんが実際に成人式に出席したときの写真なので、成人になったという意味なんだと思いながらも、あそこからDoulさんの新しいキャリアが始まるというメッセージなのかなって思ったりもしたのですが。

そうですね。わかる人はわかったと思うんですけど、リリースもMVを作るのも久々だったし、ジャケットのアートワークを考えるのも久々だったんです。だから、もう1回やるぞっていう意味もあったし、成人っていう、人生でいったらけっこうでかいイベントっていうか、そこに向けて、けっこういろいろなことを思ってきていたので。やっぱり10代で早めにデビューすると、苦労することもあって。

――苦労ですか。

ええ。わかりやすく言ったら、ナメられるみたいなことなんですけど。

――あぁ~。

でも、20歳になったら、そういう周りの目も変わるんじゃないかと思って、背中で語るじゃないけど、特攻服を作って、「THE TIME HAS COME」という文字を背負って、みんなに対する隠れたメッセージみたいな気持ちでやりました。

――おっしゃったとおり、TVアニメ『アークナイツ』第1期のエンディングテーマだったその前のシングル「BE ME」から「Vengeance」まで1年空いたじゃないですか。それはさっき10代でデビューすると苦労することもあるとおっしゃっていたことと関係があったんですか?

いえ、前の事務所を辞めたり、今の事務所に入ったり、そういう環境の変化もいろいろありつつ、自分の方向性を迷っていたということもあったし。簡単に曲をぽんぽんと出していくことに自分的に納得がいってなかったんです。だから、自分を見つめ直す期間というか、いろいろな人と会って、その人たちの話に耳を傾けてっていう成長するための時間でもあったし。でも、その中でも曲はいろいろ作っていたから、準備期間でもあったし。これからはこうしていきたいということをずっと考えていたら、あっという間に1年が経っていたんです。

 

――なるほど。その中で見つけた一つの方向性がミクスチャーだった、と。さっきリンキン・パークとリンプ・ビズキットの名前を挙げていらっしゃいましたが、リンキン・パークはDoulさんのお父さんが大好きで、車でかけていたのを耳にしているうちにDoulさんも好きになっていったそうですね。

そうです。生まれて、たぶん最初に聴いたアルバムがリンキン・パークの『ハイブリッド・セオリー』で、リンキン・パークはチェスター・ベニントンの声とスタイルをはじめ、本当に神のような存在なんですよね。だから、自分でも音楽を始めるときに描いていた理想は、リンキン・パークの世界観で。ターンテーブルがあって、マイク・シノダがギターとピアノを弾きながら、自分でラップもして、チェスターが歌声を響かせて、ギター、ベース、ドラムがいてっていう。なんか、この世界観やばいって、もうめちゃめちゃ刺さって、今でも毎日聴いてます。聴かない日は本当にないですね。

――『ハイブリッド・セオリー』を聴いたのは、えっと、何歳でしたっけ?

物心ついたときには聴いていたから、0歳ですよね(笑)。

――そうか(笑)。そこから90年代、00年代を中心に洋楽ロックを掘り下げつつ、K-POP、EDM、レゲエといろいろな音楽を聴きながら、12歳でアコースティックギターを弾き始め、14歳のときには福岡で路上ライブをしていた、と。

そうです。

――YouTubeにデビューシングルの「16yrs」をピアノで弾き語りしている映像がアップされていますが、ピアノは習っていたんですか?

独学なんですけど、弾いているうちに自然にって感じです。楽譜は読めません(笑)。弾きたいと思って、立候補したんです。楽譜も読めないのに。だから耳コピして弾きました。たぶん、合唱コンクールで楽譜なしでピアノを弾いたのはDoulが世界初じゃないですか(笑)。

――そうかもしれない(笑)。

小さい頃からピアノが家にある環境だったので、物心ついた頃から触ってるうちに弾けるようになってました。「16yrs」もピアノの弾き語りで作ったんですよ。適当に弾いたやつを、「いいのできたけん。録音して」って兄にビデオで録ってもらって、その場でできたみたいな。元々はそういう曲だったんです。

――あれ、そうなると、Doulさんが曲を作るときは、ピアノの弾き語りからなんですか? それともギターの弾き語りから?

全部やります。自分で打ち込みながら作るときもあるし、アコギのみもあるし、ピアノのみもあるし、ベースだけを打ち込んで、そこにメロディーを乗せることもあるし。そのときどきで、今日はギターのフィーリングだからギターでやろうとか、今回はちょっとドラムも欲しいから、打ち込みしようかなとか、最初は大体そんな感じですね。

 

――「INSOMNIA」はどんなふうに作っていったんでしょうか? Doulさんが考える理想のミクスチャーロックを作ろうというところから作り始めたと思うのですが、そのパートナーというか、プロデューサーにGimgigamさんを迎えたのは、どんなきっかけからだったんですか? 

マネージャーさんが紹介してくれたんです。「この人、どう?」って。このときのDoulのフィーリング的に、いろいろな人と曲を作ってみたいなっていう。ただ、日本には、どんな人がいるんだろう?って思ってたので、いろいろな人を紹介してくださいって言ってた中で紹介してもらって。最初は、どういう人なのか全然わからないし、どういう曲を一緒に作ったらいいのかもわからないし。めちゃくちゃロックかって言われると、Gimさんはそういう人でもなかったから、どうなるんだろう?みたいなところは正直、ちょっとあったんですけど。

――そうなんですよ。Gimgigamさん自身、ロックとは最近ちょっと疎遠になっていたとおっしゃっていて、実際、この1年ぐらい、シティポップというか、アーバンでファンキーなおしゃれな曲ばかり発表されていたので、そうか、この人と組んだんだ。おもしろいと思ったんですよ。

そう。Doulも最初、それはマネージャーさんに言ってました。そしたら、GimさんがDoulに「こういう曲をやろうよ」っていっぱい曲を送ってくれたんです。それがKORNとか、マリリン・マンソンとか、ほぼ全曲、Doulが好きなやつで、なんだ。めっちゃ好きだわみたいな。こういう曲をやりたいんだったら、絶対イケる。もう、これに向かってやりましょうよって思って、Doulからもこういうのがいいですって言って。そんなふうにGimさんのアイデアとDoulのアイデアをぶつけながら、「INSOMNIA」は作りました。Gimさんが使ってるギターが、Doulと同じギブソンのSGなんですよ。そこでも、「あ、SG使ってんだ。最高だな」と思って、「やっぱSGってマーシャルの直差しの音が一番いいですよね」とか、SG話でも盛り上がって。だから、まったくロックを通ってきてないって人ではなかったんで、もちろん、いろいろな話もできるし、その中でGimさんがリフをいろいろ出してくれて。その中の一つがこれだったんですけど。「じゃあ、そこにこれをこう足して、こうやって」みたいに、もう1日でフル尺ができちゃいましたね。1日っていうか、もう数時間でした。

――SG話で盛り上がったとおっしゃっていましたが、DoulさんはどんなきっかけでSGを手に取ったんですか?

Doulは(AC/DCのギタリスト)アンガス・ヤング信者なんです。

――そうでしたか。

心の底から一番好きなギタリストなんです。AC/DCに関しては、純粋にファンなんですよ。他のアーティストを聴くときのDoulの目線って、ファンと言うよりは、自分に似ている部分があるとか、自分にちょっと重ねながら聴いたりするんです。たとえばカート・コバーンなんかは、そういう聴き方をするけど、AC/DCだけは自分に絶対できないことをやってるから違うんです。本当にファンだから、AC/DCだけはグッズも集めていて。超デカいポスターを買ったり、他にもマグカップとか、コップとか、ショットグラスとか買ったりっていうガチファン目線で、アンガス・ヤングが弾いているSGに惚れました。もちろん、あのサウンドも好きだったから、自然に手に取りましたね。アンガス・ヤングと同じワインレッドカラーのSGを。

――AC/DCとはいつ頃、どんなきっかけで出会ったんですか?

中学1年のとき、たぶんアコギを弾き始めたぐらいだったかな。AC/DCの有名な曲って、いろいろな映画でも使われているから、たぶんいろいろ聴いていたと思うんですけど、実際にアルバムのアートワークとか、アンガス・ヤングがギターを弾いている姿とかを見たときに、“なんだこの人たちは?”みたいになって。AC/DCにまつわることを、歴史からばーって調べたんですけど、アンガス・ヤングが初期メンでずっといるじゃないですか。で、あの人が作るギターのリフがなければ、AC/DCとは言えないと個人的には思っているんですけど、周りの友達からも「おまえはずっとAC/DCが好きだよな」って言われるぐらい好きですね。家はもうAC/DCまみれなんですよ(笑)。しかも、スマホの着信音もアラームもAC/DCの曲で。そういうレベルのファンなんです。

自分の中に自分が2人いて、1人は“壊れている”と言っているんだけど、もう1人が“でも、直すから大丈夫”と言っているのを想像していたんだと思います。

――そこまで好きだったとは。ところで、「INSOMNIA」のサウンド面の聴きどころは、どこだと考えていますか?

もちろん、リフなんですけど、そのリフに重ためのドラムを載せたところは、自分的にはすごく好きですね。でも、この曲はリフかな。やっぱりリフメインの曲だと思ってます。曲を作るとき、いろいろこだわるんですけど、ここまでわかりやすい曲を作ったのは、たぶん初めてで。リフから始まって、全編、そのリフが軸で作られる曲をやったのも初めてなんですけど、リフがメインの曲って、やっぱりメロディーが良くないと、絶対映えないと思っていて。だからメロディー考えるときは、このリフを生かしつつ、でも、リフを超えないといい曲にならないと思って、そこは特に意識しました。サビは《I’m broken》《I’ll fix it》って短い言葉のリフレインだけど、すごくわかりやすいし、リフが生かせるし、リフに負けないフレーズになっていると思います。

――リフはGimgigamさんが作ったものだとさっきおっしゃっていましたね。

そうです。幾つか作ってくれて、どれもかっこよかったんですけど、このリフを最初に聴いたとき、これは絶対いいサビができると思って進めていきました。ライブで弾き語りすることを考えて作ったので、ライブではDoulのSGの生音を響かせたいと思います。

――「INSOMNIA」の歌詞について、Doulさんは「自分の感情を歌詞にぶつける楽しさを改めて理解出来た」とこの曲に寄せたコメントの中でおっしゃっていましたが、さっきも、世の中に対しても、自分に対しても思うことがいろいろあるとおっしゃっていましたね。

そうですね。どの曲も自分のことを軸に書いているんですけど、「INSOMNIA」の歌詞は世の中に対してというよりは、自分に向けたものですね。今回初めて、自分を別の視点からまっすぐ見ると、今の自分ってこうだよなって書いてみたんです。歌詞もすぐにできました。曲を作るときに歌詞も大体書いちゃうんですけど、そのときには「INSOMNIA」、不眠症っていうイメージがもうできていて。Doulも実際、不眠症だしって自分の体に思うこともたくさんあって、それを生々しくなりすぎない表現で書いたら、すごく伝わるんじゃないかって思いました。

――自分のことを別の視点から書いたというところが興味深い。

言ったら、何だろうな。もう1人の自分が書いたみたいな。それがすごく楽しかったし、おもしろかったんです。

――もう1人の自分が見たDoulさんの印象が《I’m broken》だった、と?

でも、その後に《I’ll fix it》って歌っているところが重要で。そこはレコーディングでもこだわったんですけど、《I’m broken》はDoul1人が歌っているんです。でも、《I’ll fix it》は、Doulの声も重ねているし、他の人の声も入っているし、別の視点から見たときの自分が自分に歌っているように作ったんですけど、ライブのときは、そこにいるオーディエンスがコール&レスポンスじゃないけど、《I’ll fix it》って返してくれたら、すごくいいですね。

――《I’m broken》と歌っている自分と《I’ll fix it》と歌っている自分がせめぎ合っているわけですね?

そうそう。自分の中に自分が2人いて、1人は“壊れている”と言っているんだけど、もう1人が、“でも、直すから大丈夫”と言っているのを想像していたんだと思います。歌詞を書くときは、そこまで考えていたわけじゃないけど、そういう視点で自分のことを見ていたから、そういうイメージになったんだと思います。

――何も考えていなかったからこそ、本心が表れたんだと思うんですけど、《I’m broken》という感覚は、どんなところから出てきたんでしょうか? 実際、そういうふうに思うことがあるということですよね。

でも、自分が精神的に壊れたとか、そういうわかりやすいものを表現したかったわけではなくて、生きていく中でいろいろあって、壊れていく自分も見てきたし、壊れていく人も見てきたけど、それを表に出せないとか、言えない人とかもいるわけじゃないですか。わかりやすく《I’m broken》って言ったのは、そういう人たちの代弁でもあると同時に、いつか壊れたときの自分に、この曲を聴かせたら、すごくいいだろうなっていう気持ちもあって。弱音を吐けない人たちに聴いてほしいなっていうのもあって、たぶん、わかりやすく言ったのかなと思います。

「INSOMNIA」ジャケット

「INSOMNIA」ジャケット

――ジャケットのDoulさんは、不眠症を意味する「INSOMNIA」というタイトルとは裏腹に、眠っているように見えます。そんなところもおもしろいと思いました。

ハハハ。この曲を通して、《I’m broken》と言えたことによって、ようやく眠れてるっていう解釈もできると思うし、目を瞑っているけど、実は眠っていないという解釈もできるし、いろいろおもしろいんじゃないかと思って、敢えてこの写真を使いました。目を開けているのは、なんか違うなと思ったんですよ。何年か前の写真で、楽屋でいつの間にか撮られたやつを切り抜いて、色を調整して、ジャケ写にしたんですけど、このときは、たぶん眠っていると思います(笑)。「INSOMNIA」なのに眠ってるじゃんとか、でも、本当は眠ってないんじゃね?とか、そんなふうに考えてもらえたらおもしろいですね。

――僕は、これ、スタジオのソファーなんじゃないかと思って、曲を完成させた達成感で、ほっとして眠っているのかなと想像しました。

ね。そんなふうにいろいろ想像してほしいですね。

――「INSOMNIA」のMVで、さまざまなストリートカルチャーをフィーチャーしたのはどんなアイデアからですか?

もちろん、スケボーとか、パルクールとか、ストリートバスケとか、そういうストリートのカルチャーが好きだからなんですけど。最近、音楽の世界とそういうところって意外に関りがないなって思っていたんです。昔はスケーターを使ったMVってけっこうあったじゃないですか。だから、もっと交わればいいのにって感じていたんです。それにパルクールとか、スケボーとかやってる人たちに音楽の話をすると、やっぱり大好きなんですよ。MVの撮影にはB-BOYも呼んだんですけど、B-BOYは音楽がないと成り立たないじゃないですか。だったら、もっと交わらせたいというか、2000年代に流行ったスタイルをもう1回持ってきたかったんですけど、あの頃の焼き直しじゃつまらない。今の時代だからこそ表現できるものって考えたのが、暗闇の中でみんなでパフォーマンスしているこのMVだったんです。Doulもパーカーのオリジナルのセットアップを着て、一見ヒップホップかなと思わせつつ、でもサウンドはめちゃくちゃロックで。そこにストリートのいろいろな人たちが出てきて、パフォーマンスしている。おもしろいって自分が客観的に見たときに思えたので、ここで音楽とストリートを交わらせられると思って、パフォーマーを10人呼んできて、その10人もみんな違うジャンルでって感じでした。みんな、すごい人たちなんですよ。その人たちが「俺らももっとこういうことをやってみたい」って言ってくれたんです。「音楽のアーティストとの関りなんてないし、そういうところと繋がることもないから、今回、呼んでもらってマジでよかった」って。だったら、もっとそういうことをしていきたい。今後もやっていこうと思いました。

――確かに、昔は普通に交わっていましたよね。『Warped Tour』でバンドが演奏している背後をBMXが飛んだりとか。

ステージにランプを置いたりとか。

――そうか。最近はないんですね。

ファッションショーのランウェイにランプやハーフパイプを置いて、スケーターがボードに乗っている中をモデルが歩くっていうのは海外でありましたけどね。だけど、音楽とストリートカルチャーが一緒になるっていうのは、最近はない。だから、今後はここにさらに車とバイクを入れたくて。たとえば、車がドリフトしている最中にパルクールがそこを飛び越えていくみたいなことをやってみたいですね。

Doulを初めて見る人たちが全員、Doulを好きになるくらいの衝撃は与えたいと思っています。

――夢が膨らみますね。さて、「INSOMNIA」をリリースした後は、どんなふうに活動していこうと考えていますか?

6月に東京と大阪で春ねむりさんとツーマンライブがあります。あと、8月にも東京でLuby Sparksとツーマンライブをやります。ライブはやっぱり好きなんですよ。Doulの音楽は、音源はもちろんだけど、それだけじゃなくて、ライブで観る良さっていうのもあるとデビューしたときから自分でも感じているんで、やっぱりライブは、みんなに観せていきたいです。それと同時に今後は「INSOMNIA」の流れでミクスチャーというか、こういう雰囲気の音楽をもっと出していこうって考えています。たぶん流れってすごく大事だし、いったん、この感じで攻めていくのはすごくいいんじゃないかと思っています。

――6月と8月のツーマンライブの見どころも聞かせてください。

今回は、けっこうロックな感じというか、生音をかなり響かせたライブにしようと思っていて。これまでライブではギターを持たずにハンドマイクでやったり、DJとDoulだけだったりっていうスタイルも見せてきたんですけど、この夏のライブではギターをずっと持って、もうわかりやすくロックしようと思っています。それに加えて、ギターを置いたときはラップをして、ライブでもミクスチャーを見せられたらいいかな。でもまぁ、生音をね。やっぱりSGの生音は、みんなに聴いてほしいですね。

――バンドの編成は?

ベースなしのスリーピースです。ギター、ドラム、Doulもギターを弾いて、ミクスチャーなんで、オケを流しながら生音を加えるっていう感じでやります。

――ツーマンライブというスタイルについてはいかがですか?

対バン相手を考えて、ライブするタイプではまったくないんです。だから、オープニングアクトをやるときも含め、他のアーティストと一緒にやるときは、そこにいるオーディエンス全員にDoulを好きになってもらおうっていう勢いで行きます。なので、ツーマンだからみたいなことは考えてないんですけど、そこにいるDoulを初めて見る人たちが全員、Doulを好きになるくらいの衝撃は与えたいと思っています。

取材・文=山口智男 撮影=大橋祐希

 

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