WOWOW「さだまさしコンサートツアー2019 新自分風土記」インタビュー公開

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「さだまさしコンサートツアー2019 新自分風土記」

「デビューから46年。ようやく僕の歌をフラットに聴いてもらえるようになった」。さだまさしがセルフカバーアルバムを基に熱唱するコンサートの最終公演である12月5日収録場所:東京 東京国際フォーラム ホールA公演を、WOWOWで12月28日21:00より放送する。

2019年5月に2枚組のセルフカバーアルバム「新自分風土記Ⅰ〜望郷篇〜」「新自分風土記Ⅱ〜まほろば篇〜」をリリースし、名曲の数々を大胆かつ新たなアレンジでリボーンさせた、さだまさし。同時にコンサートツアーも始め、全国で46公演を敢行中だ。WOWOWでは千穐楽となる12月5日、東京国際フォーラム公演を独占放送。さらに、コンサートの放送に先駆け、12月1日にはさだ本人がコンサートの魅力を語る「「新自分風土記」2019ツアー予習番組 さだまさし 〜コンサートの魅力〜」をお届けする。

今回、コンサートの収録を前に、コンサート内容について、また、各公演チケット完売となっている人気ぶりについて聞いた。

――今回のツアーはどんな構成になっていますか?

さだ:セルフカバーアルバムのとおりです。前半は「〜望郷篇〜」の曲、後半では「〜まほろば篇〜」の曲をやります。アルバムの全曲ではないですけどね。アレンジも基本はアルバムどおりというものの、違うところもあります。例えば「精霊流し」はアルバムの収録で長崎・浦上天主堂で聖歌隊に歌ってもらいましたが、コンサート会場に聖歌隊はいないので、どうするかというと、お客さんがハミングで歌うんです(笑)。自分の歌のイントロとエンディングをお客さんに任せる歌手って、なかなかいないですよね。突然、その場でお願いするので、毎回、様子が違って、お客さんが最初から最後までずっと歌っていた公演もあったぐらい。12/5の公演は客席5000ですからね。どうなるでしょう。

――セルフカバーアルバムがベースだけに、コンサートも名曲ぞろいですね。

さだ:最初に「雨やどり」でなんとも破壊的な始め方をするので、バンドメンバーもみんなずっこけています(笑)。続く「長崎小夜曲」(ナガサキシティセレナーデ)は去年のツアーの締めくくりで、そのときはサンバ風のアレンジ。お客さんみんなが立ってノリノリでしたが、今年はおしゃれなアレンジだから立たせない。真綿で首を締めるようにジワジワと歌います(笑)。また、「まほろば」にはアルバムのアレンジにチェロの前奏を加えました。今回はベスト盤というより、ちょっとマニア向けで、相当“さだまさし通”の人なら分かってくれるという感じ。お客さんはコンサートが終わった瞬間、「うおー」って唸っていますよ。「さだまさし、(たっぷり)聴いたわ〜」って。だから、逆に言うと、「さだまさしは嫌い」という人が嫌いなところを集めた内容になっていて、自分の腹黒い部分も見せていますね。

――さださんのコンサートの楽しみのひとつでもあるステージトークはどうですか?

さだ:今回も長い話しをしていますよ。もともとコンサート中に落語のようなネタ話を始めたのは、僕の歌が哲学的な領域まで踏み込む内容だから、ずっと歌っていると、お客さんの眉間にシワが寄ってくるんです。詞の内容が真面目だからか、手を合わせて拝まれたこともある(笑)。「それは違うな。あくまで市井のひとりの歌うたいとして等身大の存在でありたい」と思ったので、自分の情けない話や失敗談を語るようになりました。でもね、僕のコンサートではお客さんがすごい。トークを聴いてワハハと笑っていても、歌を再開したとたん、すっと切り替えて聴き入ってくれます。

――さださんはデビューして46年もの間、活躍されていますが、お客さんも昔からのファンが多いですか?

さだ:そうですね。ずっとコンサートに来てくれている人もいます。今回は昔の曲も多いので、そういう人はご自分の人生と僕の歌を重ね合わせ、客席で涙を流してくれますよ。また、最近、増えているのは30代の女性。これはお父さんお母さんが僕の歌を聴いてくれていたという、いわゆる“第二世代”ですね。そして、定年退職後の60歳以上の男性も増えている。彼らがコンサートを見て「同世代のさだが一生懸命頑張っているから、俺たちもやるか」と思ってもらえたらうれしいですね。おっさんたちに影響を与える“おっさんたちの星”でありたいと思います。

――そして、放送される12/5東京国際フォーラムでの公演はどんなコンサートになりそうですか?

さだ:東京国際フォーラムでリハーサルをすると、2階席の奥まで見えて、「これだけのお客さんをどうやって満足させるか」という恐怖を感じます。ただ、ここ数年でだんだん“マイホール”になってきたという感触はありますね。驚くことにチケットもソールドアウトで、ようやく皆さんが僕の歌を先入観なしにフラットに聴いてくれるようになったような、そんな空気を感じています。歌手生活46年ですが、「なんだ、ここから働かなきゃいけないんだ。これまでの活動はキャンペーンみたいなものだったのか」と思うと愕然としますが、今回はツアーファイナルだからと言って無理をせず、背伸びをせず、“等身大のさだまさし”を手渡しするようなコンサートになればいいなと思います。

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