福原美穂、初のコットンクラブで本間昭光バンドと一夜限りのスペシャルライブ

アーティスト

福原美穂が9月3日、本間昭光バンドと一夜限りのスペシャルライブを開催した。

<ライブレポート>
9月に入り、肌に感じる風が次第に秋色めいてきたこの日、東京・丸の内のCotton Clubで贅沢な音と食事に酔いしれる極上のライブが行われた。

「American Express presents THE BLUE SESSIONS」と名付けられたそのステージは、いきものがかりや槇原敬之といったJ-POPを代表するアーティストを数多くプロデュースしてきた本間昭光が音楽監督を務め、自らも鍵盤奏者として加わるスペシャルバンドで一夜限りの演奏をするライブシリーズ。

第1回の渡辺美里に続き2回目の開催となる今回は、今年デビュー10年目を迎えたソウルミュージックの申し子、福原美穂がゲストシンガーとして招かれた。

2015年に自主レーベルを立ち上げ、2016年には第一子となる女の子を出産するなど、様々なライフステージの変化を経ながら楽曲制作を行う傍ら、フルオーケストラ&ゴスペルクワイア総勢300名をバックにしたりと、幅広いライブ活動に積極的に取り組んでいる福原美穂。

今回、本間が招集した名うてのミュージシャンをバックに、Cotton Clubという粋な空間で、どんなステージを繰り広げてくれるのか、心を躍らせていた観客も多いだろう。

そんな観客の期待が大きな拍手となって始まったライブは、90年代のアシッドジャズブームを牽引したジャミロクワイが96年に放った大ヒット曲「Virtual Insanity」のカバーからスタート。

7年ぶりのニューアルバム「Automaton」を携えて9月15日・16日に来日公演を行う彼らだけにタイミングもバッチリ合った選曲だ。原曲はジャズとファンクを融合させたダンサブルなナンバーだが、今回はファンク成分を控えめにして、ジャズ寄りのスタイリッシュなアレンジで披露。福原の歌声も軽やかで力みがなく、会場の緊張を徐々に解きほぐしていく。

続いては、福原のソウルファンクなオリジナル曲「Bad Thing」をタイトなバンドアンサンブルでパフォーマンス。一呼吸置いて歌われた「RISING LIKE A FLAME」は、土臭くてソウルフルなオリジナルをしなやかなグルーヴに生まれ変わらせて披露。目をつむってリズムに身を任せ、サウンドと溶け合うようにして歌う福原の姿が印象的だった。

ここでMCを挟み、福原の「古い曲ですが今の時代にも響き続けるメッセージだと思います。私にも家族がいるので、子供にも届くように歌おうと思います」という曲紹介から披露されたのが、71年に発表されたマーヴィン・ゲイの不朽のクラシック「What’s Going On」。

本間の弾くエレピと都会的なソプラノサックスの音色から始まった演奏は洒脱で、福原のヴォーカルも実にたおやか。一児の母でもある福原の歌声には、愛する人を優しくつつみ込むような母性が感じられ、この日最初のハイライトといえるパフォーマンスが繰り広げられた。

オリジナル曲「Dream On」をニューオーリンズファンク調のビートで聞かせたあとは、ジュヴェッタ・スティールの名曲「Calling You」のカバーへ。音数を極力少なくして幻想的な原曲を再現した伴奏は洗練の極み。そのひとつひとつの音を噛みしめるように、福原はステージ中央に置かれたスツールに腰掛け、じっくりと丁寧に歌声を会場に届けていく。

この曲が主題歌となった映画『バグダッド・カフェ』の舞台は砂漠だったが、深い藍色の照明が照らされたこの日のステージは癒しをもたらしてくれる神秘的な深海のよう。福原の心が洗われるような澄んだ歌声に観客はひとときの安らぎを得たことだろう。

その後は、大切な人への感謝を音楽への愛情に重ねて描いたオリジナル曲「THANK YOU」で場内にピースフルなムードを行き渡らせ、「これまでに歌ったことのないタイプの曲に挑戦します」とベン・フォールズ・ファイブの「Jackson Cannery」のカバーをこの日いちばんロック寄りの演奏で披露。続けてソウルロック調のデビュー曲「CHANGE」で持ち前のパワフルなヴォーカルを繰り出し、観客にも手拍子を求め、場内の熱気を高めていった。

そして、「娘を妊娠中に作った曲で、彼女のために作った曲です」というMCから本編のラスト曲となる「Something New」へ。バンドの演奏はシンプルながらも力強く、それに呼応するように福原も中盤の「What’s Going On」のときとは違う、たくましさや凛々しさを秘めた母性を感じる歌声を響き渡らせ、観客を魅了した。

演奏が終わっても鳴り止まぬ拍手に、福原は「もう1曲歌ってもいいですか?」とベンEキングのスタンダードナンバー「Stand By Me」をアンコールとして披露。福原の温かい人柄が伝わってくるパフォーマンスに、最後は観客も歌い、手拍子を叩き、場内がハートウォーミングな空気に包まれて、この日のステージは幕を閉じた。

なお、この特別な一夜の模様は、9月10日にJ-WAVEにてオンエアされる。他では聴くことの出来ない福原美穂×本間昭光バンドの珠玉の演奏をラジオで楽しもう。

Text by 猪又 孝
Photo by 高田真希子

セットリスト
M1. Virtual Insanity(Jamiroquai)
M2. Bad Thing
M3. RISING LIKE A FLAME
M4. What’s Going On(Marvin Gaye)
M5. Dream On
M6. Calling You(Jevetta Steele)
M7. THANK YOU
M8. Jackson Cannery(Ben Folds Five)
M9. CHANGE
M10. Something New
EN1. Stand By Me(Ben E. King)
<MEMBER>
Vo.福原美穂
Key.本間昭光
Gt.中村タイチ
Ba.植田博之
Dr.原治武
Sax.竹上良成
Cho.MARU

番組情報
J-WAVE 81.3FM「J-WAVE SELECTION American Express THE BLUE SESSIONS SPECIAL」
放送日時:9月10 日(日)22:00〜22:54
ACT:福原美穂
ナビゲーター:AKO
http://www.j-wave.co.jp/

関連タグ

オススメ