【書評】ベン・シドラン著『トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語』

コラム Musicman

ベン・シドラン著『トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

極貧のシチリアからアメリカへの移民一世家族、5人兄弟の末っ子に生まれたトミーがクリーブランドで差別や不運な事故のせいで背負った腰足のハンディを、何事も笑顔で明るく生き抜く処世術で乗り越えていく。家業の床屋の手伝いから始まり、天性の音楽センスを磨き上げ、ついにはアメリカで最も成功したプロデューサーの一人となる。

親友として多くの時を一緒に過ごして長期に渡り彼の話を聞き続けたアーティスト、ベン・シドランが彼の波乱の実人生を生き生きと描き切った力作。

60年代後期〜70年代中期のドラッグまみれの音楽業界を泳ぎわたり、マイルス・デイヴィス、リッキー・リー・ジョーンズ、バーブラ・ストライサンド、ジョージ・ベンソン、ポール・マッカートニー、レオン・ラッセル、ウィリー・ネルソン、ドクター・ジョン、列挙にいとまない大物たちを輝かせて来た彼の実績は才能だけではなくプロモーションマンの経歴も生かした業界の多くの重鎮たちと超一流ミュージシャンたちとの永くて深い交流の積み重ねがもたらしたものだった。

翻訳は当時のアメリカの音楽シーンに通じ、加えてT・リピューマとB・シドランの大ファンである吉成伸幸/アンジェロの両氏による。

Text by 山浦正彦(Musicman)

書籍情報

『トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語』
発行:シンコーミュージック・エンタテイメント
著者:ベン・シドラン
訳者:吉成伸幸/アンジェロ
価格:2,800円+税

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