アデルの新曲

コラム 高橋裕二の洋楽天国

ラジオ業界誌ヒッツが昨日(9月28日)、アデルが今週末に新曲を発表するかもしれないと伝えた。大ヒット・シングル「ハロー」から6年が経つ。

アデル(33歳)は今世界で最もレコードが売れるイギリスの女性シンガー・ソングライター。イギリス人だが、アメリカのグラミー賞主要4部門(最優秀アルバム、最優秀レコード、最優秀楽曲、最優秀新人)全てを受賞した。

アデル。本名はアデル・ローリー・ブルー・アドキンス。1988年5月5日、イギリス・ロンドン北部のトッテナムで生まれた。父親は配管工。その後母親はシングル・マザーに。5歳の頃から歌い始める。5人組の女性グループ、スパイス・ガールズが大好きだった。後にインタビューで、「私が今いるのは彼女達のお陰です」と答えている。

11歳の時に母と一緒にロンドン南部のウェスト・ノーウッドに移り住む。デビュー・シングル「ホームタウン・グローリー」はこの町を歌ったものだ。アデルは16歳の時にこの曲を書いた。

この頃から音楽の興味がスパイス・ガールズからデスティニーズ・チャイルドやアーリヤやメアリー・J.ブライジに移る。2006年5月、クロイドンにある音楽や演劇の為の専門学校「BRITスクール・フォー・パーフォミング・アーツ&テクノロジー」を卒業する。英国レコード協会が資金援助をしている。クラスメートにはレオナ・ルイスやジェシー・Jがいた。

学校では将来レコード会社の制作担当者になるつもりで勉強していた。しかし3曲ほどを録音したデモ・テープを友達にあげた事で違った人生がスタートする。友達は彼女のデモ音源を音楽に強いSNSの「マイスペース」に投稿する。これが大きな反響を呼び、インディーズの大手レコード会社「XLレコーディングス」のスタッフがアデルに電話で接触をする。彼女はこの電話を疑った。彼女はレコード会社は「ヴァージン・レコード」しか知らなかった。スパイス・ガールズがヴァージン・レコードだったからだ。

不安だったアデルは友達に付き添いを頼んで「XLレコーディングス」を訪れる。制作マンのニック・フゲットと面談し、2006年9月、「XLレコーディングス」と契約する。約1年ほどの準備期間を経て、シングル「ホームタウン・グローリー」はアデルが19歳の時、2007年10月に発売される。翌2008年、イギリスのグラミー賞といわれるBRITアワードで、批評家が選んだ新人アーティストという「クリティックス・チョイス」を受賞する。1月28日に発売したデビュー・アルバム「19」は、まさしくアデルが19歳の時にレコーディングしたもので、イギリスの公式アルバム・チャートの最高位1位になった。

この年の3月、アデルの才能に目を付けたソニーミュージックがアメリカ国内の発売について契約を結ぶ。最初は上手くいかなかった。ところがサプライズが起こる。大統領選挙でオバマと戦っていた共和党の副大統領候補サラ・ペイリンがNBCテレビの土曜深夜番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演した。番組は高い視聴率を獲得、約1700万人が番組を観た。その時の音楽ゲストがアデルで、アルバム「19」から、「チェイシング・ペイヴメント」他を歌い、翌日のiTunesアルバム・チャートの1位になり、ビルボード・アルバム・チャートの11位になった。その後2009年のグラミー賞で「最優秀新人賞」を獲得する。当時のイギリス首相のゴードン・ブラウンは、「この国が経済的に大きなトラブルを抱えているなかで、あなたはトンネルを抜ける先に輝く光だ」と賛辞を贈った。

アルバムは3枚しか発売していない。「19」「21」と「25」だ。6年振り4枚目のアルバムが今年発売される可能性は大。アメリカの感謝祭前に発売されるかもしれない。ニュー・アルバムが前作「25」と異なる点は二つ。レコード会社がインディーズのXLレコーディングスからソニーミュージックに変わった事とストリーミングの状況だ。ストリーミング状況は2015年当時とは全く違う。

高橋裕二の洋楽天国記事提供元:洋楽天国
高橋裕二(たかはし・ゆうじ)
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