アーバン(Urban)という用語

コラム 高橋裕二の洋楽天国

アメリカの音楽業界では、音楽のジャンルやフォーマットを説明する際にアーバン(Urban)という用語を使用することに意見の相違がある。ユニバーサルミュージック傘下のリパブリック・レコードは、黒人が作り出す音楽に、アーバン(Urban)という単語の使用を止めると明らかにした。警官によるジョージ・フロイドの殺害とその後の抗議運動をきっかけに決定されたという。ブラックという単語で何が悪いかと。

ラジオ業界誌のラジオインサイトは、ヒップホップやR&Bミュージックは郊外でも人気があり、都会という意味でのアーバンという用語は時代遅れであり、ブラック・ミュージックの婉曲表現として機能すべきではないとしている。

アーバンは音楽ジャンルではない。70年代の半ば、黒人が作り出す音楽をかけるラジオ局のフォーマットを、都会の音楽(Urban)だとして使われ始めた。

ジャンルとして、黒人が作り出す音楽は、「リズム&ブルース」と呼ばれ、その後「ソウル・ミュージック」と呼ばれ、現在のヒップホップやラップにつながる。

ラジオ業界はアーバンの使用を止めることは無いだろう。ヒップホップやラップを聴くリスナーは「アーバン」という用語に興味が無いだろう。

高橋裕二の洋楽天国記事提供元:洋楽天国
高橋裕二(たかはし・ゆうじ)
インタビュー

関連タグ

関連タグはありません

オススメ