米アップル「iRadio」ソニー・ミュージックとの交渉が難航

コラム 高橋裕二の洋楽天国

先週の木曜日(5月9日)、イギリスの経済新聞「フィナンシャル・タイムズ」が、「アップルのiRadioは印税の支払い料率でまだもめている」と報道した。フィナンシャル・タイムズによると、(米国での)アップルのインターネット・ラジオ、ユニバーサルミュージックとは契約が締結、ワーナーミュージックもまもなく契約が終了する。しかし業界二番手のソニーミュージックとはもめているという。

当初アップルは100トラックにつき6セントを提示していた。これはインターネット・ラジオ最大手のパンドラが支払っている12.5セントに比べて低すぎるとレコード会社は主張した。(トラックとはまさしく「溝」で、アナログ時代レコードの音が出るのは溝だった。今では「曲」だ。アルバムの1曲目がトラック1、2曲目がトラック2で、おまけにつくのがボーナス・トラックだ。同じ曲が100回ストリーミングされようが、異なった100曲が1回ずつストリーミングされようが、100トラックがストリーミングされたと使う)

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フィナンシャル・タイムズは、ユニバーサルミュージックが12.5セントで契約したかどうかは確認していないという。揉めているのはソニーミュージックだそうだ。ソニーミュージック・グループは強硬だ。音楽出版社のソニー/ATVはパンドラとの再契約で、音楽著作権の使用料を25%値上げした。

関係者はアップルが新モデルのiPhoneを夏に発売するのに、このインターネット・ラジオ・サービスを始めたいとみている。とりあえずはアメリカ国内だが。

ソニーミュージックを始めアメリカのレコード業界は、パンドラ他のインターネット・ラジオがヒットを生むとはみていない。あくまでもヒットを作るのは既存のFMラジオ局だ。ヒットしたらストリーミングであろうがオンデマンドであろうが正当な楽曲使用料を払えというわけだ。パンドラは既存のラジオ局がく楽曲使用料を全く払っていないと非難するが、レコード会社からすればヒット曲を作ってくれる重要なメディアだ。iRadioがヒットを生むとも見ていない。

最近業界誌ヒッツでソニー/ATV音楽出版のマーティー・バンディアー会長兼最高経営責任者は、「これからはアルバム売り上げ主導の時代ではない。1曲毎のビジネスだ。(ヒットが出れば)コマーシャルや映画へのシンクロ使用(その使用料はとても大きい)の可能性が高くなる」と語った。音楽出版社はデジタル時代のビジネスにシフトしている。

いずれにせよアップルのインターネット・ラジオ「iRadio」は間もなくサービスを開始するだろう。

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