イギリスレコード購入者調査、80%はCDも購入

コラム 高橋裕二の洋楽天国

今週イギリスで、デジタル・ダウンロード販売のeMusicとインディーズ系レコード会社の団体「the Association of Independent Music」が共同で、イギリスのレコード購入者の実態調査を発表した。

eMusicは月額制のデジタル・ダウンロード販売会社で元々はインディーズ系レコード会社の作品だけを販売していた。今は大手4社、ユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージック、EMIミュージックとも契約している。調査時期は2011年12月。

調査の対象者は英国在住のレコード購入者で18歳〜64歳の1400人。実際にデジタル・ダウンロードでレコードを購入した事がある人達が対象。デジタル音楽ニュースの専門サイト「Digital Music News」によれば、レコード購入者の大半が今でも実物のCDやLP(ビニール)を購入している。購入者は実物のCD等に「安全性」を求めているからだという。実際の購入者の購入方法は以下だ。カッコ内はアメリカの割合。

80% 購入者はCD(実物)を購入した(51%)
70% 購入者はデジタル・ダウンロードで音楽を購入した(71%)
46% 調査対象の1400人の購入者のうち、この比率の人達が「ストリーミング」を利用し音楽を聴いた(52%)

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Digital Music Newsによれば消費者はCD購入について、「触れることの出来る物体」で「サムネイルではない大きさのアルバム・ジャケット」が理由だという。消費者心理としては、「実物のCDを所有する事」が、「自分でコントロール出来て」、「安全性があり」、「信頼度が高い」という事のようだ。アメリカに比べれば遙かに実物CDの購入比率が高い。ストリーミングの場合、有料であろうが無料であろうが手元にダウンロードは出来ない。ヨーロッパ最大手のストリーミング・サービス会社Spotifyはイギリスでも会員が多い。広告が入る無料と広告のない有料のサービスがある。

次にどんな状態で音楽を聴いているのかという調査。ストリーミングはなく、実物のCDやデジタル・ダウンロードをしたもの。

70% プレイヤーでCDをかけて聴く
52% コンピューターで聴く
48% mp3プレイヤーで聴く
23% スマートフォンで聴く
6% タブレットで聴く

この結果を見る限り、プレイヤーでの楽しみ方は思ったほどには減少していない。しかし他の方法で聴くやり方は相対的に増加している。また今後スマートフォンの比率は飛躍的に上がるだろう。

ここでまたストリーミング・サービスについてだが、この調査によると、64%の人達がストリーミングを使って新しい音楽やアーティストを見つけようとしている。しかしなんと70%の人達がストリーミングが有料ならお金を払う気がないと答えている。タダのストリーミングならいいけれどもと。

「実物のCD」(海外ではフィジカルと呼ぶ)と「デジタル・ダウンロード」と「ストリーミング・サービス」と「クラウド・ミュージック・サービス」。当ブログで何時も言う事だが、良いか悪いかはさておき、日本だけがこれらのビジネス・モデルで「ガラパゴス状態」にある事は事実だ。

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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