米録音原盤市場、2025年は115億ドルに到達 有料ストリーミング契約者は7%拡大
全米レコード協会(RIAA)は3月16日、2025年の同国の録音原盤市場(卸売りベース)が前年比3.1%増の115億ドル(約1兆8,300億円)と、過去最高を記録したと発表した。ただ、インフレ調整後で見ると、1990年代後半のピーク時を下回っている。
なお、RIAAは今年から、国際レコード産業連盟(IFPI)などで採用されている国際基準に合わせて、報告基準を従来の小売ベースから卸売りベースに変更した。
総収入の82%を占めるストリーミングは95億ドル。有料ストリーミング契約者数は6.5%増の1億650万件で、総収入の55.3%に当たる64億ドルを生み出した。米国は引き続き世界最大の有料サブスクリプション市場で、世界全体の3分の1を占めている。
ストリーミング収入のうち、プレミアム有料サブスクリプションは6.8%増の58億8,000万ドル。一方、無料ストリーミング(広告付きサービス)は0.6%減の17億9,000万ドルとなった。
非プレミアム有料サブスク(限定カタログまたはデバイス制限付きサブスク)は4.5%減の4億9,500万ドル、その他ストリーミング(ライセンスに基づくデジタルラジオサービスなど)は3.8%減の13億1,000万ドルだった。
フィジカルは4.9%増の13億8,000万ドル。このうち、アナログレコードは出荷枚数が7.9%増の4,680万枚、金額ベースでは9.3%増の10億4,000万ドルと伸びをけん引した。CDの出荷枚数は11.6%減の2,950万枚、売上高は7.8%減の3億1,000万ドルだった。
シンクは4億700万ドルと1.3%縮小した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
米国の音楽ソフト売上が名目115億ドルと過去最高を更新した。ただしインフレ調整後では、1999年のピーク時を現在の購買力に換算すると250億〜260億ドル超に相当し、実質的には当時の半分以下という水準にとどまる。SpotifyやApple Musicが値上げを重ね、有料サブスクが1億650万件まで伸びているのになぜか——構造的な要因が複数重なっている。ファミリープランやバンドル契約の普及で1人あたりの平均収益(ARPU)が希薄化し、値上げの効果が打ち消されやすい。ストリーミング内でも広告付き無料プランが0.6%減、デジタルラジオ等が3.8%減と、有料サブスクの成長が他セグメントの穴埋めに回っている。さらに今回からRIAAが報告基準を卸売ベースに変更したことで、アプリストアの手数料やプラットフォームの取り分を除いた「正味の額」が計上されるようになった。消費者の支払額の上昇が業界収益に直結しにくい構造が、数字の上にも現れている。次の成長には、Spotify が予定している先行配信やチケット先行が付いたVIPプランへの移行によるARPU向上が不可欠だ。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
ポッドキャスト概要:
Musicman Podcast — 業界の“今”を深掘り
「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。
Spotifyでポッドキャストを聴くプレイリスト概要:
記事連動セレクション — エピソードと繋がる楽曲たち
月間500のアーティスト記事から厳選した楽曲と、業界人必聴のバズ曲をプレイリストで。最新シーンの決定版!
Spotifyでプレイリストを聴く@musicman_nusicman
広告・取材掲載