Laica×Odd×ハナユイ『butterfly effect』
butterfly effect
2026.1.11 東京・GARRET udagawa
2026年1月11日(日)、東京・GARRET udagawaにてハナユイ、Odd、Laicaによるスリーマンライブ『butterfly effect』が開催された。ライブに先駆けて掲載した先の鼎談インタビューでは、互いの音楽性に強いリスペクトを抱き合っていたことが明かされている。気鋭の3バンドが主戦場だったインターネットを飛び出し、盟友たちとともに目の前のファンに生音を届けた、そんな一夜をレポートする。
■Laica
Laica
トップバッターのLaicaは、登場SEで挨拶代わりとばかりにバンドのグルーヴを響かせる。みすず.(Vo)の歌い出しが空気を塗り替えた瞬間、この時期にぴったりな「春を待つ」が『butterfly effect』の幕を開けた。ロングトーンの先、「Laicaです、よろしくお願いします」とのクールな挨拶から休みなく「アクター」へ。曲調の変化に合わせて観客もクラップで応えれば、会場全体の疾走感が増していく。そのままなだれ込んだ最新曲「在りか」ではやまの寄り添うようなハモりが歌に厚みをもたらし、みすず.の表情も晴れやかに。不安定で等身大で、誰の心の隅にもひとかけら残り続ける青春を描写したリリックは、キャッチーなサビメロに乗って、ライブでひときわ輝いた。
MCに入ると、みすず.はまずこのライブの発案者であるハナユイや、来てくれた観客に丁寧に感謝を述べた。
「この特別な日を最高なものにしたいので、Laicaは心を燃やして演奏したいと思います。だからあなたも一緒に心を燃やしてくれますか!」
落ち着いた口調から始まった語りは、最後は解き放つようなものに。その解放感のまま突入した「最後のページ」では観客にもマイクを向けシンガロングを要求するなど、クライマックスに向けてステージはどんどん熱を帯びていく。MCの宣言通りに心が燃えるようなパフォーマンスの中でも、みすず.のピッチやバンド隊の演奏はあくまで安定しており、節々から音楽に対する誠実さを感じられるのが非常にLaicaらしい。今日が2度目のライブ出演、“Laicaの空気感”というものがここで固まった気がした。
■Odd
Odd
暗転中、Oddの面々がステージに上がる気配で、温まりきった観客は早くも声を上げる。ライブハウスにいることを忘れてしまいそうな壮大な登場SEから、Nachi(Vo)の「2番手、Odd」の声を合図に「Overture」が始まる。骨太のバンド演奏に同期音源のサウンドが厚みをもたらし、それらを伴いながら様々な表情を見せるNachiのボーカル。フルスロットルの熱唱の最中、uisah(Ba)がクラップやシンガロングをリードし、Oddからは「1曲目から会場全体を巻き込んでいくぞ」という気概を感じた。
MCでは待望のワンマンライブ開催決定をお知らせした上で、走り出した演奏にのって初披露曲「Flareline」に突入。uisahの叫びに呼応して観客が今日一番の声出しを見せると、Nachiからも思わずといった笑顔が飛び出す。そのまま「アネステシア」「Infection」とダークな楽曲を続け、MCで空気を切り替えての「Anguish」は、生きる上での葛藤や無力感を見つめる歌。歌詞とは裏腹に、あるいはこういう歌詞だからこそ、閉塞をぶち壊すような伸びやかなサビメロに心震わされた。
最後にはLaicaの「水縹と踊る」をみすず. とコラボ披露する粋な演出。時折ふたりが視線を合わせて何かを確認するようなやりとりにはライブらしい微笑ましさもあり、何より声が重なったときの透明度の高いユニゾンには、心が洗われるような思いがした。
■ハナユイ
ハナユイ
トリを飾るのはハナユイ。彼らにとって今日は初ライブだが、代表曲「南十字」を歌い出したすみか(Vo)の表情に緊張は見えない。それどころか緻密なニュアンスをまといながら伸びていく歌声には、ある種の風格すら漂っていた。続けて「魔法」を届け、観客が余韻に浸っていると、息切れしているニワカ(Ba)が「疲れた、あと何曲あるんだっけ(笑)」とつぶやき、会場には笑いがこぼれる。はちな(Gt)も「あったかいっすね」とはにかみつつ、「今日初めてハナユイを聴いた方もたくさんいると思うんですけど、いっぱい歌うので、この機会にハナユイのことを好きになってくれたらうれしいです」とのすみかのコメントから「フリージアが咲く頃」へ。ハナユイが綴る美しくも繊細なリリック、そして歌声のさまざまな表情をじっくり味わえるミドルテンポに体をゆだねれば、心身を多幸感が満たしていく。
ちょうど一呼吸ぶんの猶予を置いて、演奏はそのまま「かくれんぼ」へ。この曲も物語を優しく読み聞かせるようなテンポ感で、先の2バンドとはまた違った形のライブ映えを実感させられた。グッズ紹介も経て、あっという間に残り2曲。独白調の歌詞に鍵盤のフレーズが華を添える「青の自画像」、続いてアップテンポの「メメントモリ」でははちながギターソロをかき鳴らし、ハナユイ・観客ともに充足感漂う表情で『butterfly effect』の閉幕を迎えた。
“「伝説の日だった、伝説のメンツだった」と言われるぐらいの空間にしたい”――アーティストからは、そんな意気込みも飛び出していたこのライブ。その言葉の通り、この日はこれから3バンドが作っていくシーンの起点となる日であり、これからも自分たちらしい音楽を届けていくという、誓いの日でもあった。3組それぞれの今後の躍進と、その先でいつかまた彼らが集う日が楽しみでならない。
取材・文=ヒガキユウカ 撮影=寺﨑知喜

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