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【ライブレポート到着】奥田民生の還暦を祝う「Let’s チリチリタミー」ユニコーンらしい面白くも温かいバースデーライブに

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ユニコーン

“ UNICORN 奥田民生60祭「Let’s チリチリタミー」”は、奥田の還暦を祝うスペシャルライブだ。ユニコーンの5人のメンバーのうち、すでに川西幸一と手島いさむが60才を迎えているので、奥田は3人目となる。

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普段から遊び心満載のライブを行なっているユニコーンだが、特にメンバーの年齢の節目に開催される恒例イベントは、いつもアイデアがてんこ盛り。音楽で遊び倒すバンドらしく、爆笑&感動のバースデイパーティーになる。さて、今回はどんなお祝いライブになるのだろうか。

客電が落ちて、この日、還暦を迎えた奥田がステージの真ん中に赤いキャップをかぶった赤いツナギ姿で登場。真っ赤なレスポールを掻き鳴らすと、祝賀ムードにざわついていた会場のボルテージが一気に上がる。メンバーたちも赤を基調にしたコスチュームをまとっている。

1曲目は「スターな男」。2曲目は「ヒゲとボイン」。どちらも奥田が20代の頃の作品で、恋する男の悲哀をユーモアたっぷりに描いたヒットチューンだ。続いては2009年にユニコーンの復活を告げたシングル「WAO!」。この曲ではABEDONがリードボーカルを務め、奥田の担当は真っ赤なカウベル。ライブの主役は奥田なのだが、そんなことはお構いなし! 手島いさむが華麗なギターソロを披露する。メンバー全員で楽しむ姿にオーディエンスから大歓声が上がり、ド派手なオープニングとなった。

「こんばんは、ユニコーンです! 昨日もここでやったんですけど、東京ガーデンシアターは初めてで、今日が最後です」と奥田。真っ赤なテレキャスターに持ち替えて、痛快なロックンロール「頼みたいぜ」に突入する。なんともエネルギッシュな還暦ギタリストのプレイに、オーディエンスは盛り上がる一方だ。ちなみにこのブロックは「頼みたいぜ」→「はいYES!」→「サービス」となっていて、曲のタイトルと並べると誰かに何かを頼んだときの反応そのままになっていて、笑ってしまう。ユニコーンはセットリストでも遊んでしまうのだ。

次に会場を沸かせたのはEBIだった。お祝いのプレゼントがわりに、客席にクイズを出題する。「名前の中に“米”があるメンバーは?」。いつもとは少し違うやり取りの末、「チリチリタミー! “奥”という字の中に入ってます」とEBI。すかさず奥田が「よく考えたね」とまぜかえすと、客席は大笑い。天然物のEBIは「米米米」(マイベイベイ)でメンバーも客席も楽しませたのだった。

「ツイス島&シャウ島」を歌い終わったところで、奥田は「休憩させてください」とひと息つく。次のブロックは聴かせる曲が並ぶ。奥田は名曲「すばらしい日々」を熱唱した後、「私はオジさんになった」をアコギを弾きながらワンフレーズずつ噛みしめるように歌った。50才になった奥田がその決意を語ったとされるアニバーサリーソングで、まさか60祭にこの歌を聴けるとは思っていなかったので不思議な感動がこみ上げる。奥田はこれからも音楽とバンドをずっと愛し続けるのだろう。

「還暦の人がずっと歌うって、どーなの?」と奥田がボヤいて、再び休憩タイム。それもそのはず、ここから終盤へなだれこむ。まずは奥田がダンスにパーカッションに大活躍の「チラーRhythm」。ABEDONのリードでオーディエンスがフラッグを振る「Boys&Girls」。とどめは奥田が「さあ、こい!」と気合を入れて「大迷惑」だ。奥田も凄いが最年長のドラム川西幸一のタフネスにも目を見張る。ユニコーンにとって、還暦とは何なのだ?!

本編ラストは「55」だった。広島市民に愛されたカープの助っ人外人エルドレッドをイメージしたこの歌を、ラストナンバーに選んだのかはよくわからないが、奥田のハートフルな歌いぶりに妙に納得してしまった。

アンコールは「アルカセ」から。♪ムダな事などなかったろ ~ 思えばあれで良かったろ♪という歌詞が、60才を迎えた奥田の声で歌われるといっそう心にしみる。ステージにバースデーケーキが運び込まれ、メンバーがひとしきりお祝いして、最後のナンバーは「車も電話もないけれど」だった。車も電話もなかった時代の恋人たちを描いたこの歌で、奥田はノスタルジックでロマンティックにライブを締めくくった。仲間の祝福と観客の笑顔の向こうに、還暦・奥田ならではのユーモラスで温かい人間性が感じられた素晴らしい一夜だった。

文:平山雄一
撮影:三浦憲治(ライトサム)

ユニコーン 奥田民生60祭「Let’s チリチリタミー」セットリスト

01. スターな男
02. ヒゲとボイン
03. WAO!
04. 頼みたいぜ
05. はいYES!
06. サービス
07. 米米米
08. ハヴァナイスデー
09. ツイス島 & シャウ島
10. 7th Ave.
11. エコー
12. すばらしい日々
13. 私はオジさんになった
14. 晴天ナリ
15. チラーRhythm
16. Feel So Moon
17. Boys&Girls
18. 大迷惑
19. ロックンローラーのバラード
20. 55

アンコール

21. アルカセ
22. 車も電話もないけれど

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