Laura day romance「oneman live 2025 wonderwall」東京国際フォーラムホール Cでのライブレポートが到着

Laura day romance oneman live 2025 wonderwallが4月26日に大阪城音楽堂で、4月29日には東京国際フォーラムホール Cで開催された。
ここではSOLD OUT公演となった東京国際フォーラムホール Cでの模様をレポートする。
Laura day romanceが、4月29日に東京国際フォーラムホールCにてワンマンライブ「Laura day romance oneman live 2025 wonderwall」を開催した。
ここ1年で急速に注目度と動員を拡大しているLaura day romance(以下、ローラズ)。この日は初のホール公演だ。キャリア史上最大キャパのライブは見事にソールドアウト。3月にはアニメ「アン・シャーリー」のエンディングテーマとして書き下ろされた「heart」でメジャーデビューを果たしたばかり。まさに躍進の真っ只中にあるバンドの状況なのだが、この日のライブは、とてもいい意味で、そういう気負いを感じさせないようなステージだった。ただ真っ直ぐに、誠実に、自身の信じるグッド・ミュージックを鳴らす。その洗練されたメロディと歌心、オルタナティブなサウンドが沢山の人たちを魅了する。そうやって大きくなってきた彼らの人気の由来を改めて感じたライブだった。
暗転すると、雑踏の音、踏切の音、映写機のような音が会場を包み込み、サウンドコラージュとして観客の耳に届く。彼らは2月に前後編を合わせて一つの作品となる3rdフルアルバムの“前編”にあたる作品「合歓る-walls」をリリースしたばかり。コンセプチュアルな物語性を持った新作を踏まえての独特な導入で期待を高める。
鈴木迅(Gt)、礒本雄太(Dr)とサポートメンバーの内山祥太(Ba)、小林広樹(Gt)、西山心(Key)が拍手に迎えられてステージに登場し、ライブはアンビエントな演奏からスタート。少し遅れて井上花月(Vo)がステージに登場し、1曲目に歌ったのはこのツアーのために書き下ろされた楽曲「不思議の壁」だ。力強いバンドサウンドに井上が伸びやかな歌声を響かせ、そのままテンポを早めて2曲目の「mr. ambulance driver」へ。温かみのある礒本のドラムを軸にしたナチュラルなアンサンブルが心地よい響きを生み出す。鈴木のギターソロも魅力的だ。
「最後まで楽しんでいってください」という井上の挨拶の後、エイトビートに乗せて優しいメロディを歌う「透明」、井上が左右にステップを踏みながら表現力豊かに歌い上げた「sweet vertigo」「Amber Blue」と親密なポップセンスを感じさせるナンバーを続ける。ステージ後方からの照明がメンバーを照らし出し、美しい空間を作り出す。これまでライブハウスでの公演が主だったローラズにとって初のホール公演ではあったが、彼らの音楽はこの広い空間にも完璧にフィットしているように感じられた。
「ありがとうございます。とても楽しいです」と井上が笑顔で語りかけ、「ether」へ。鈴木がアコースティックギターを奏で、フォーキーな響きが会場を包む。みずみずしいギターポップの「lookback&kick」では井上はタンバリンを叩きながら歌い、鈴木が声を重ねる。USインディなど海外のポップミュージックシーンとの同時代性を意識しつつ様々な音楽性を吸収しながら追求してきたローラズ独自のセンスを感じる。
続いては、複数の楽曲を合体させたような構成を持つ「転校生」や、3拍子を叩く礒本のドラムから始まる「Waltz」など、挑戦的なタイプの曲を披露。プログレッシブな展開やスリリングなアンサンブルを聴かせる曲でも、芯のある井上の歌声がポップ性を感じさせる。力強いエイトビートに乗せて推進していく「Young life」、ゆったりとしたテンポで感情が少しずつ解放されていくようなメロディを歌い上げる「brighter brighter」と、オーディエンスはローラズの音世界に惹き込まれるように聴き入っていた。
ライブのストーリー展開の転換点となったのは「合歓る-walls」でも中盤のポイントに置かれた「深呼吸=time machine」だった。ほぼ真っ暗なステージで、メンバーは背後からの光に照らされながらパフォーマンスを繰り広げる。後半は繊細な抒情性を持った「subtle scent」、爽やかな「プラットフォーム」、ギターと歌だけのシンプルなサウンドで始まる「smoking room」と、新作アルバム収録の楽曲を続け、そのストーリーに観客を惹きこんでいく。「渚で会いましょう」はそのクライマックスとも言える楽曲。映像も特別な演出も使わず、パフォーマンスだけで曲の世界観と情感が伝わってくる。独特な没入感と表現力が光った。
「もう終わってしまうのか、という感じなんですけれど」と井上が告げて披露した「5-10-15 I swallowed」から、本編ラストは「Sleeping Pills」。音楽を通して長編映画のような深みを持つ物語を描くという新作アルバムでの彼らの挑戦が、確実にスケール感あるソングライティングに結実していることを感じる。歌い終えると、メンバーは深々と頭を下げ、手を振って、ステージを後にした。
大きな拍手に求められアンコールに再び登場した彼らは、今回のツアータイトルにちなんだ選曲としてOasis「Wonderwall」のカバーを披露。鈴木は礒本と目を合わせ首を大きく振りながらギターを弾く。サプライズなカバーだったが、今のローラズのライブには思った以上に相性が良いようにも感じた。
「こんなに沢山の人が観にきてくれるというのは当たり前のことではないなという話を、メンバーともいつもしています。私たちの音楽をできるかぎり続けていこうと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いします」と井上は感謝の気持ちを伝えた。
そして「一番新しい曲をやります」と「heart」を披露。初のアニメタイアップとなるこの曲をきっかけにローラズに出会う人も多いだろう。カントリーのテイストを活かした曲調に朗らかさとほろ苦さが混じり合うようなメロディを持つこの曲は、Laura day romanceというバンドにとっての新しい季節の始まりとなる予感がする。そしてラストは「リグレットベイビーズ」。優しく包み込むような余韻とともにライブは終了した。
10月からは全国6ヶ所を回るワンマンツアー「Laura day romance tour 2025 a perfect review」がスタートする。「合歓る- walls」に続く2部構成のアルバムの“後編”のリリースも控えている。彼らの進む“音楽の旅”に期待が高まる一夜だった。
文:柴那典
写真:小杉歩
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