水樹奈々「NANA MIZUKI LIVE JUNGLE 2024」ツアーファイナルのKアリーナ公演をレポート
水樹奈々のアリーナツアー「NANA MIZUKI LIVE JUNGLE 2024」が、“奈々の日”である7月7日に神奈川・Kアリーナ横浜でファイナルを迎えた。三重県営サンアリーナで幕を開けた本ツアーは、宮城、和歌山、神奈川と全4会場8公演で開催され、アリーナ会場オンリーでツアーを行うのは水樹史上初めての試み。ここ横浜での開催も、横浜スタジアムに立った「LIVE FLIGHT」以来10年ぶり。今回のKアリーナ横浜では、6日と7日の2日間で35,000人の観客を動員した。
テーマは“融合と共存”。ジャングルの奥地のとある研究施設の地下深く、ポッドで眠る水樹奈々が目覚める様子を映したOPENING MOVIEからライブがスタートした。舞台上のビジョンには、古代魚やフラミンゴなどジャングルの生き物が映し出され、ステージの各所に生い茂る花や草木はファンから贈られたものとのこと。まさしく文明と大自然が“融合・共存”したような世界観でライブが展開された。
オープニングナンバー「Turn the World」のイントロと共に、スモーク立ちこめるステージに現れた水樹。白いフードを目深に被ってミステリアスな雰囲気だ。昨年の「LIVE PARADE」が白の衣装で終わっていたことから、今回その白で始まるという伏線に胸がアツくなる。バッとフードを外すと、ワイルドな編み込みヘアが露わになった。「ついにファイナル、思い切り声を出して行こう!」と第一声。力強いアッパーのナンバーでたたみかけた序盤。拳を振り上げながら歌った「囚われのBabel」。客席が赤く染まった「禁断のレジスタンス」では楽器陣に背中を預けながら歌い、「今日も最高の夜にしよう!」と声をかけてジャンプした。
水樹は「とんでもないセットリスト。やりたいことを全部詰め込んだ。みんなの本気を見せてください!」と、うれしそうな表情で会場に声をかけ、ステージはさらにボルテージを上げていく。
スペクタクル感あふれる演出で魅せた「ETERNAL BLAZE」は、観客が一緒に歌う“ETERNAL BLAZE”の文字がウォータースクリーンに映し出され、ステージにはジャンプと共にファイアボールが噴き上がった。7枚目のアルバム「ULTIMATE DIAMOND」に収録の「沈黙の果実」では神秘的雰囲気で歌声を響かせ、ジャズ展開になりオシャレなサウンドの「Link or Chains」では、赤い月が雨ににじむ建物を照らす映像をバックに、身振り手振りを交えながらエモーショナルに歌声を響かせた。
ダンサーチーム“Team YO-DA”と、シンクロしたダンスで魅せたゾーンは、カラフルなY2Kテイストの衣装で登場した水樹。ピンクやイエローのネオンカラーのスカートは、後ろがハート型になっているのがポイント。このジャングルのみに生息する、幻の“Big bird”をイメージしているとのこと。
最新シングル「ADRENALIZED」のカップリング曲「sympathy」は、レーザーと蛍光カラーの映像が世界観を演出。デジタルサウンドの「Hungry Hungry」は、女豹のポーズを織り交ぜたダンスが思わずマネしたくなるかわいさ。また会場のクラップが響いた「ドラマティックラブ」はキュート&ラブリーな雰囲気。手でハートを作るポーズでも会場を沸かせた。「Level Hi!」では青空の映像をバックに、タオルを回して観客が“ラララ〜”と歌い、水樹の合図で会場にウェーブが沸き起こった。
中盤にはCherry Boysメンバーが“1番○○な曲”をセレクトする、チェリボのNo.1ナナソンを展開。神奈川1日目ではチャンプことキーボードの佐藤雄大が「テルミドール -Vingt-Sept-」を選曲。水樹の声優デビュー作であるゲーム「NOëL 〜La neige〜」で、水樹が演じた門倉千紗都のキャラクターソングという、マニアックな選曲でオタクぶりを発揮した。最終日の7日は、昨年の「LIVE HEROES」から加入したギターの設楽博臣が、「一番最初に触れたナナソン」というテーマで、7枚目のシングル表題曲「New Sensation」をセレクト。水樹の曲であることは知らず、水樹のラジオ番組で初めて水樹の曲だったことを知って、驚きつつ縁を感じたというエピソードも披露。水樹のロングトーンと設楽のギターが融合した演奏と歌は圧巻だった。
バラードコーナーでは、ミディアムのR&Bナンバー「Polaris」を、星空の映像をバックに聴かせ、切ないバラードの「優しい記憶」は、ウォータースクリーンを使った幻想的な演出。前半戦のアツいステージから一転、温かみのある歌声で、胸に手を当てながら1音1音を丁寧に伝えるように歌い上げた姿が印象的だ。
BRIDGE MOVIEは、この世界にエネルギーを解放するためにいろんな実験を試行錯誤繰り返す研究員NANAの奮闘を描いたドラマ仕立て。公式キャラクター“ナネットさん”ロボットの登場や“いにしえのアドバザー=ヒロシ”の声を、多くの作品で共演する神谷浩史が務め“17才教の挨拶”とのムチャブリに応える様子に客席も大盛り上がり。MCでも観客からムチャブリをおかわりされ、照れくさそうに挨拶をする水樹の姿に大歓声が沸き起こった。
ライブ終盤は、ヒョウ柄をあしらった三原色をモチーフにした衣装に身を包み、アツいナンバーでたたみかけた。TVアニメ「HIGHSPEED Étoile」オープニングテーマ「ADRENALIZED」では、クレーンに乗って9メートルの高さまで上がり、上の階の客席に手を振りハートを送る。間髪入れず「UNBREAKABLE」を繰り出すと、会場が一体となって拳を振り上げる。さらに「革命デュアリズム」では、T.M.Revolutionのパートを歌う観客と、うれしそうに歌声を戦わせた。「みんなとのデュエットは最高!」とコメントした。
MCではBRIDGE MOVIEのシチュエーションについて「研究員であるNANAが、解読できなかったコードを解き明かすことで、新たなパワーが解放され、エネルギーに満ちたキラキラの世界に突入します」と解説。自身から湧き上がる言葉が解読のキーになるというヒントを元に、水樹の作詞特有の当て字ワード「奈々語」を紐解いていくという展開で、新たなパワーとエネルギーが解放された終盤戦へと突入する。
「POWER GATE」では、会場が一体となるコール&レスポンスで更なる盛り上がりを見せ、軽快なロックチューンの「Love Brick」は、“新しい世界で”という歌詞がこのライブにぴったり。そして、悠久の時を超えてつながる思いを歌う「時空サファイア」では、まるでワープトンネルをくぐり抜けるような映像と共に歌い上げた。
「LIVE JUNGLE」の持つ“融合・共存”というテーマについて、水樹のベースにある歌謡曲や演歌という“和の心”が、いろいろなジャンルの音楽と融合することで水樹ならではの楽曲が生まれ、ライブでファンの声が融合することで完成されるとし、「それを改めて体現したい」との思いからこうしたテーマを掲げたと語り、本編のラストには、「suddenly 〜巡り合えて〜」を届けた。サビでは観客と一緒に手を回し、会場を舞う紙吹雪が、巡り会えた喜びを華やかに彩る。さらにアツく、さらに真っ直ぐに、進化が止まらない水樹の歌声がファンを魅了した。
アンコールは、ライブTシャツにおだんごヘアで登場。ダンスチューン「chronicle of sky」は、Team YO-DAと息の合ったダンスを披露し、サビは観客も一緒に手を振り踊る。Team YO-DAのメンバー紹介も兼ねた「Phase 21」では、拳を握りしめて“Wo-oh-oh”と観客と声を合わせた。また7月7日であることにちなんで「7月7日」も披露し、「もっといっぱいみんなと会えますように」との願いを込め、感極まったように目を潤ませながら歌った。
そして歌謡チックなメロディが秀逸な「TRANSMIGRATION」は、リズムに合わせて“パンパパン”と手を叩いてジャンプ。さらにこのタイミングで、激しさ5本指に入る「Synchrogazer -Aufwhachen Form-」を繰り出すスパルタ。「世代を超えて1つになろうぜ!」と声をかけ、クレーン上から観客を煽った水樹。ステージにはウォータースクリーンの水が降り注ぎ、曲の最後には銀テープが発射。観客は最後の一滴も残すまいと腕を振り上げ、コーラスを大合唱して魂を燃やし尽くした。
Wアンコールでは「SUPER GENERATION」を披露した。「みんなと一緒に育ててきたこの曲を、最後に聴いてほしい。自分らしく突き進んで、自分を認めて、その道を突き進んでほしい」と、そんな気持ちを込めて歌った同曲。感極まって思わず目を潤ませた水樹。会場全体が1つなって手を揺らしタイミング合わせてジャンプして、まさしく水樹と観客が“融合”した、一体感あふれる歌声で約3時間半のステージを締めくくる。ウォータースクリーンに映し出されたナネットさんが、手を振ってみんなを見送った。
同公演「NANA MIZUKI LIVE JUNGLE 2024」の模様は、10月にANIMAXにてテレビ初放送。それに先駆け9月には、同チャンネルで「NANA MIZUKI LIVE HOME2022」が放送されることも発表された。また来年は歌手デビュー25周年の年で、来年冬には2年半ぶり15枚目のアルバムをリリースすることも発表されファンを喜ばせた。
歌手デビューから25年、デビュー間もない頃の楽曲から最新曲まで、新しさと懐かしさが共存したセットリストは、“融合と共存”というテーマにもぴったり。圧倒的なボーカルとパフォーマンスは、たゆまぬ努力と研鑽によって今もなお進化を続け、恒例の締めの言葉「これからも水樹奈々にかかって来い!」は、自己記録を更新し続ける彼女だからこその自信の表れ。水樹奈々が生み出す最上級のエンターテインメントに、心の底から勇気と元気が湧き上がった。
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