森口博子、アニソンへの感謝と愛を込めたコンサート「ANISON NIGHT」開催 ギタリストのマーティ・フリードマンとのセッションで熱狂

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写真:高田真希子

歌手・森口博子が6月18日、東京・昭和女子大学 人見記念講堂で、5月24日にリリースしたアルバム「ANISON COVERS」を携えた「森口博子 コンサート “ANISON NIGHT”」を開催した。“大人のためのアニソンカバー”がコンセプトのアルバムは、森口の美しい歌声で奏でられた名曲の数々には、アニメファンのみならず音楽ファンをも引き込むパワーが込められた作品。オリコンデイリーでTOP10入りしたほか、音楽配信サイトmoraでは総合週間ランキング1位に輝くなど、幅広い層から支持を集めている。

公演では、歌声で沸かせるだけでなく、時に笑いを時に感動を交えたMCでも観客を魅了。歌とトークの“二重奏”は森口のコンサートならではの醍醐味で、明るいキャラクターのタレントとしての顔しか知らない人は、彼女のたぐいまれなるボーカル力と表現力に、いい意味で予想を裏切られることだろう。森口がアニソンへの熱い想いを爆発させたスペシャルなステージの模様をレポートする。

開演時間を迎えると、コンサート開始前のスマホに関する注意などが、本人による軽妙なトークが効いた影アナで笑いを誘い、会場のテンションを温めていく。和やかな空気が流れる中、上品なフリルと鮮やかな青いドレスを身にまとった森口が、大きな拍手に導かれるようにステージへ登場。透き通るような歌声で「悲しみよこんにちは / with 酒井ミキオ」のフレーズを歌い出し、“ANISON NIGHT”の幕が上がった。

大人なジャズアレンジが効いたサウンドに森口の伸びやかな高音がマッチし、聴かせるような歌声で多幸感に包み込んでいく。1曲目が終了し、MCの第一声では、「声が聞けた~!」と声出し解禁に対する喜びを爆発させた。さらに「覚悟はいいですか。アニソンの魅力をたっぷり浴びて帰ってほしい」と呼びかけ、集まったファンのボルテージを上げる。

ここからキャッチーなサウンドに乗せて高く強く情感たっぷりな歌声で「そのままの君でいて / with 武部聡志」、キュートな振りと歌い方で歌詞の少し甘苦い世界観を体現した「笑顔に会いたい」の2曲を立て続けにパフォーマンス。序盤3曲にして名曲アニソンの魅力はもちろんのこと、繊細さや力強さといった森口の幅広い声の魅力で早くも会場を魅了した。

続くMCでは客席から「55歳おめでとう」の声が飛ぶと、森口も「声出し解禁でいきなり(笑)」と喜び、自身と同じ6月生まれの人に向けて共に「ハッピーバースデートゥーユー」を歌唱。歌声と合わせて客席とコミュニケーションを繰り広げるMCでも会場を沸かせる。そこから冒頭アカペラでこぶしを効かせて一気に曲の世界観に引き込み、静謐さを漂わせながら「LOVE SONG」をアクト。さらに本家TM NETWORKも参加した「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~ / with TM NETWORK」へ。切なさの中にも大地をしっかり踏みしめるような強さも感じさせる歌声を響かせ、会場からは大きな拍手が巻き起こっていた。

そしてMCをはさみ、森口が「「機動戦士Zガンダム」の主題歌、水の星へ」と呼びかけ、客席が「愛をこめて」と応じ、自身のデビュー曲の「水の星へ愛をこめて」を、当時と変わらぬ、さらにキャリアを重ねて磨き上げられた柔らかで深みあるトーンで歌唱。続けてライブで披露するのはレアな楽曲「星空のBelieve」を披露。本人も会場も楽曲に酔いしれていた。

森口の音声解説とともにバンドメンバーによるアニソンメドレーが披露。会場が更に盛り上がりを見せたところで、シアーが効いた白の衣装にチェンジした森口が登場。コンサート中盤は、「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」からスタート。すこやかで爽やかな歌声と次第に変容していくサウンドが神秘さを醸しだし、森口のボーカリストとしての表現力の豊かさを再認識させてくれる。MCをはさみ、ボサノバ調のアレンジが印象的な「City Hunter ~愛よ消えないで~」をしっとりとメロディアスなステージングを披露する。

パーカッションの音色で会場を心地いい雰囲気に包んだ後は、ピアノ演奏と森口の透明感あふれる歌声が響き合う「夢を信じて / with 塩谷哲」を聴かせる。心にゆっくり染み入り、どこか激しさも感じさせる歌声とピアノ伴奏のオーバーラップは切なさの中に温かみが充満。森口の歌唱力と表現の奥行きに改めて心が震える。次第に高揚感が増していく歌声や、ステージから客席に向けて放たれた5つのライトが荘厳さを演出し、ドラマティックなパフォーマンスに会場には大きな拍手が鳴り響いた。

続くMCでは「鳥籠の少年」を一体となって楽しむため、客席に向けて「これはみなさんの“脳トレ”のためですから!」と笑わせつつクラッピングを指導。あっという間にマスターしたファンに、森口は満足げな表情を浮かべる。曲が始まり、疾走感あるアップチューンを軽快に歌い、拳を振り上げつつ熱唱。歌声とクラッピングのセッションを堪能した森口とファンは、まさに一体感につつまれていた。そこからさらにギアを上げるように「STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~ / with オーイシマサヨシ」へ。ビートが心地いいナンバーを、青春感に満ちた瑞々しい歌唱で聴かせた。

ここでアルバム「ANISON COVERS」にも参加しているギタリストのマーティ・フリードマンが登場し、オンステージが開幕。あいさつ代わりにソリッドなギタープレイを披露した後、バンドメンバーと、音と音のぶつかり合う激しくも聴き応えあるセッションで会場を盛り上げる。

ボルテージが最高潮まで高まったところで、衣装チェンジを終えた森口が再びステージに上がり、マーティ・フリードマンとのコラボ曲「GHOST SWEEPER / with マーティ・フリードマン」は初披露された。きらびやかなスパンコールが映えるミニのドレス&ハイヒールは、歌詞にある“コンシャスなドレス”を体現し、ジャズとロックが融合したサウンドにベストマッチ。セクシーかつアダルティーな歌声&パフォーマンスに大歓声が上がっていた。そしてマーティ・フリードマンとのセッション2曲目となる「サムライハート~2022~」へ。ハードで重厚なバンドサウンドに森口の凜々しく力強い歌声が合わさり、会場にこの日一番の熱気を生み出し、ファンたちの興奮冷めやらぬまま本編はエンディングを迎えた。

拍手が鳴り止まない中で迎えたアンコールでは、森口は黄色のドレスにコンサートTシャツ、下ろしていた髪をアップにまとめた姿で再登場。披露したのはタイトル通りお祭り感満載のダンスナンバーの「ハッピー²・ダンス / with DJ赤坂泰彦」。軽妙な歌詞を楽しげに歌う森口を、客席は入場時に配られたうちわを振って盛り上げ、一足早い夏を一体となって楽しんでいた。終盤に来てさらにアクセルを踏み込み「スピード」へ。小気味良いポップチューンにコール&レスポンスや合いの手がはまり、ライブのクライマックス間近でも元気印満点の森口の歌声が圧巻だ。

「ライブは楽しい!ありがとう!楽しくて1曲目からやり直したいぐらい」と充実感を口にした森口は、昨年、オリコン週間シングルランキングにてTOP10入りを果たした、映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の主題歌「Ubugoe」を歌唱。優しく訴えかけるような歌声が、厳かに、心の奥底に染み入るように反響していく。アニソンへ、歌うこと、そして何よりファンへの感謝と愛を込めて歌い上げ、公演の幕が下りた。

(テキスト:遠藤政樹)

セットリスト

1.悲しみよこんにちは / with 酒井ミキオ(「めぞん一刻」主題歌)
2.そのままの君でいて / with 武部聡志(「機動警察パトレイバー」オープニングテーマ)
3.笑顔に会いたい(「ママレード・ボーイ」オープニングテーマ)
4.LOVE SONG(「ガサラキ」エンディングテーマ)
5.BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~ / with TM NETWORK(「機動戦士ガ
ンダム 逆襲のシャア」主題歌)
6.水の星へ愛をこめて(「機動戦士Zガンダム」オープニングテーマ)
7.星空のBelieve(「機動戦士Zガンダム」エンディングテーマ)
8.君を見つめて –The time I’m seeing you-(「機動戦士ガンダムF91」イメージソング)
9.ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~(「機動戦士ガンダムF91」主題歌)
10.City Hunter ~愛よ消えないで~(「シティハンター」オープニングテーマ)
11.夢を信じて / with 塩谷哲(「ドラゴンクエスト」主題歌)
12.鳥籠の少年(SANKYO「CRフィーバー機動戦士Zガンダム」搭載曲)
13.STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~ / with オーイシマサヨシ
(「機動戦士Vガンダム」オープニングテーマ)
14.GHOST SWEEPER / with マーティ・フリードマン(「GS美神」主題歌)
15.サムライハート ~2022~(「鎧伝サムライトルーパー」オープニングテーマ)

アンコール

16.ハッピー²・ダンス / with DJ赤坂泰彦(「クッキングパパ」オープニングテーマ)
17.スピード(「夢がMORI MORI」SUPER KICK BASEテーマ曲)
18.Ubugoe(「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」主題歌)

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