『IDORISE!! FESTIVAL 2022』2Daysで開催されたシブヤテレビジョンが主催するサーキットイベントから厳選してレポート<Day.2>

アーティスト

SPICE

『IDORISE!! FESTIVAL 2022』

『IDORISE!! FESTIVAL 2022』

『IDORISE!! FESTIVAL 2022』<Day.2> 2022.03.13 渋谷6会場

シブヤテレビジョンが主催するサーキットイベント『IDORISE!! FESTIVAL 2022』、東京渋谷6会場(Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-nest / Spotify O-Crest / duo MUSIC EXCHANGE / WOMBLIVE)連動で二日間に渡り開催されたから本イベントから、各日程8組を厳選してレポートをお届けする。

NEO JAPONISM

NEO JAPONISM

NEO JAPONISM

NEO JAPONISM

NEO JAPONISM

DAY1はO-WESTで2階席後方までたくさんの拳を突き上げさせていたNEO JAPONISMが、DAY2はメインステージO-EASTに登場。パフォーマンスを観ていて気づいたのは、彼女たちは発声からしてロックだということ。しかも、みんな上手い。ダンスにしても、フォーメーションを揃えるというよりも、それぞれの個性をダダ漏れさせることを重視しているように見える。熱量の届け方もそれぞれ異なる。体全体で、歌声に乗せて、心に秘めて。初見でもメンバーの特徴を掴みやすいのはそのせいかもしれない。

ライブは、滝沢ひなのが「クラップ!クラップ!」と舞台袖から走り出して前のめりにフロアを煽りつつ、1曲目「Buster Buster」からスタート。デジタルノイズ混じりのVJ映像がグループの世界観を増幅する。瀬戸みるかはtheアイドル的な歌声を持っているが、だからこそこの曲の落ちサビではエモさが増す。自分たちがステージに立つ理由を証明するかのようなラウドチューン「NO FIGHT NO DREAM」で胸を掴まれたあとは、クールなサウンドとシリアスなメッセージを届ける「TRAUMA」。実は、振りに歌舞伎を取り入れたり、エンタメ度も高い。サビでステージ後方から一斉に照らされるバックライトがカッコよかった。

彼女たちも自分たちと同じように日々もがきながら生きている。闘っている。だからこそ、<すすめすすめすすめ どうせ明日がくるなら>と歌う「すすめ」で見せる必死なパフォーマンスがこれほどまでに胸に響くのだろう。あとで知ったのだが、これは滝沢ひなのが初めて作詞作曲を手掛けた曲だという。素晴らしい。泥臭さと洗練が上手くミックスされたステージだった。

我儘ラキア

我儘ラキア

我儘ラキア

我儘ラキア

我儘ラキア

<RAKIA in the house>というリフレインとともにステージに現れたのは我儘ラキアの4人。「最高な1日にしようぜ!」とフロアに向かって呼びかける星熊南巫。彼女のボーカルにはのっけからぶっ飛ばされた。

ボーカルパートにおいて星熊と双璧をなすのはMIRIのラップ。「New World」で、ステージ後方から前に出てきてラップをかます見せ方がいかにもヒップホップ的でさすがに上手い。ラキアはボーカルだけ聴いているとロックだが、海羽凜と川﨑怜奈という2人のダンスがあることで女性らしいセクシーさが加わる点も見逃せない。そこがラキアの唯一無二の武器だ。

星熊と並んで川﨑もメインボーカルをとった「Leaving」ではとにかく笑顔で楽しそうにしていたMIRIだが、「SURVIVE」では一転、気迫のこもったラップで表現の幅を見せる。この日はあらゆる場面で彼女の活躍が光っていた。

ラストは高速パンクチューン「Days」。曲の最後、イヤモニを外すメンバーたち。当然、そうしたところでフロアの声は聞こえない。それでも彼女たちは懸命に観客の心の声を聴こうとしていたのかもしれない。

THE ORCHESTRA TOKYO

「渋谷DUO、盛り上がっていきましょ~! エビバディクラップユアハンズ!」と大きな第一声とともに登場したのはTHE ORCHESTRA TOKYO。オープニングナンバー「ACT」はハードなギターと強烈な四つ打ちが牽引する曲。4人のダンスは軽やかで勢いがあり、ときおり出てくる90年代っぽいダンスがフックになっている。

「Checkmate」はEDMとロックがうまく溶け合った楽曲。ABサビの展開がわかりやすく、初見でも入り込みやすいキャッチーさが魅力だ。終盤の「ESCAPiSM」もそうなんだけど、覚えやすいフレーズをサビに持ってくるのがうまい。イタロハウスっぽい鍵盤フレーズが牽引するダンスチューン「DANCING MONSTER」も、サビの「ダンス!」というリフレインが耳に残る。この曲は、終盤からメジャー展開になるのも意外性があってテンション爆上がりだ。

その一方、「螢」の序盤は和テイストのパワーバラードで、指先に至るまでの表現に4人の思いが通っている。彼女たちの歌には切なさというよりも前のめりな思いが乗り、後半は力強いパワーチューンへと展開していく。

ラストはEDMアンセム「My HERO」。「みなさん、手は上がりますか!?」という呼びかけに対して観客は無数の腕で応える。アイドル経験者もいるとはいえ、結成から1年と少しでここまでのステージングを完成させたのは正直、すごい。来年はもっと大きなステージに立っているのではないだろうか。

Ringwanderung

生歌の力を見せつけたのはRingwanderung。繊細な鍵盤フレーズとギターの絡みが印象的な「Memories」から本気の生声を響かせる。強い。

曲間ゼロでストイックに次々と曲を畳み掛けていくのだが、メンバーは自然な笑顔を浮かべてパフォーマンスを積み上げていく。身体能力が高いのかリズム感がいいのか、はたまたその両方か、歌もダンスも小気味よく、全体的にスポーティというか、アスリート的な印象を受ける。見ていて楽しい。

しかし、「輪廻」では一瞬狂気が増す。性急なビートに乗るのは、<お前のその暗闇ん中で 妄想今日も死んだ振りをしているだけ>という歌詞の世界感に合わせたやさぐれたボーカル。その一方で、語尾の微妙なニュアンスの表現に鳥肌が立つ。

途中までは歌に意識を奪われていたけど、Ringwanderungの楽曲はハモリが少ないことに気づく。あったとしても必要最低限。自分のたちのメロディの力を信じているのだろう。

ラストは「La La」。これまで統率力のあるパフォーマンスを繰り広げてきた5人だが、ここでは間奏でメンバー紹介を挟んだり、表情や動きに自由度が生まれる。セットリストだけでなく、感情の緩急をつけることによって30分の壮大な物語を彼女たちは描いていたのだった。お見事。

 

Kolokol

Kolokol

Kolokol

Kolokol

Kolokol

ライブ前、影アナでライブ中の諸注意が流れたのだが、影アナというのは特徴がありすぎるその声は、改めて名乗られる必要もないぐらいKolokol佳凪きの。彼女だけでなく、Kolokolはそれぞれのメンバーが独特な歌声をもち、そんな4人のハーモニーがそのままグループの魅力となっている。大阪BIGCATでの初ワンマンを直前に控え、相当気合いが入っていただろう。

新曲「Deeper Deeeper」にはじまり、「Untill the End」「Dead End」と徐々に、シリアスなムードでビルドアップしていく様がカッコいい。メンバーに笑顔はなく、コンセプチュアルなステージングで魅了していく。「Deeper Deeeper」と同時に発表された「Sand Castle」もパフォーマンスにキレがあり、もはや単独へ向けた準備バッチリという雰囲気。

終盤はミドルのEDMチューン「Hello」で新たな旅立ちを歌い、ラスト「カーニバル」で大団円を迎えるのだが、トータルで見るとしっかり一編の物語になっていることがわかる。しかも、ハッピーエンド。Kolokolらしいストーリーテリングで、短編映画のような充実感を与えてくれた。

26時のマスカレイド

26時のマスカレイド

26時のマスカレイド

26時のマスカレイド

26時のマスカレイド

「ダンデライオンに恋を」という春を思わせる曲から26時のマスカレイドのステージはスタート。5人のパフォーマンスは、キレがあるというのとも、ダイナミックというのとも違って、ふんわりと柔らかい所作が美しくてかわいい。歌も同様で、パワフルに声を張り上げるのではなく、丁寧に思いを届けることを意識することでニジマスらしい世界が構築されている。現場で聴くとギターの音がわりと前で鳴っていてにぎやかに感じる曲だが、表現の仕方によってこちらの受け取り方もまったく異なるのである。

映写機のサウンドエフェクトやマーチングドラムがノスタルジックな雰囲気を醸し出す「二人だけの初めてをもっと」では、控えめながら随所で聴かせるコーラスワークが美しかった。その一方、「B dash!」はアッパーで完全なるアゲ曲。落ちサビではフロアから高速のハンドクラップが送られるほど。だけど、メンバー一人ひとりの柔らかい所作がアゲ曲とはまた異なる次元の楽曲に感じさせる。スタンバイの時点でどよめきが起こった「ハナイチモンメ」もそうだ。指の先まで意識した表現がニジマス独自のパフォーマンスへと昇華させていくのである。

この日のパフォーマンスからしばらくして、10月30日に行われる東京国際フォーラム公演をもってグループは解散することが発表された。まだ彼女たちのステージを観たことのない人がいるのだとしたら、いち早く現場に足を運んでみてほしい。きっとあなたの心に何かを残すはずだ。

ばってん少女隊

ばってん少女隊

ばってん少女隊

ばってん少女隊

ばってん少女隊

フロアが色とりどりのペンライトでカラフルに染まり、スカパンクチューン「ばりかたプライド」のイントロとともに登場したのはばってん少女隊。「拳!」「ジャンプするよ!」とフロアを明るくポジティブに誘導していく。「おっしょい!」でも引き続きエネルギーを全開放していくのだが、それとは対象的にアシンメトリーなデザインのスカートの揺れが生み出すシルエットが美しい。

サウンドはスカからファンクへと移行していく。「スウィンギタイ」だ。しかも、ファンクに寄せていくんじゃなくて、ファンクを自分たちの世界に引きずり込む感じ。サウンドだけでなくパフォーマンスにも変化が生まれた。エネルギッシュなダンスからキメの多いダンスへ。この切り替えには唸るしかない。

MCを挟んで終盤になると、サウンドはさらに変化を遂げる。ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が手掛けた新曲「YOIMIYA」からはミニマルなダンスミュージックへ。地を這うようなベースラインに合わせたかのような細かな足技が光る。さっきまでヘドバンしていた人たちとは思えない。「わたし、恋始めたってよ!」はリスニング向けな印象だったが、ライブでも映えることに気づいた。そして、ラストは「OiSa」。この中毒性特濃の発明品みたいな1曲は、「YOIMIYA」からの流れで観ることによってより映える。スクリーンに映し出されたVJ映像も効果的だった。35分という短い時間でばっしょーの魅力を見事に伝えきっていた。

いぎなり東北産

いぎなり東北産

いぎなり東北産

いぎなり東北産

いぎなり東北産

祭り囃子の SEが鳴り響くなか、「私たちの本気、受け取ってくださーい!!」という大絶叫が聞こえてくる。わらわらとステージに現れた9人のメンバーは口々に何か叫んでいるが、その内容はわからない。とにかく気合がとんでもなく入ってることだけは伝わってくる。なんだかよくわからないが、ステージ上で寝っ転がってそのままステージ袖まで引きずられているメンバーまでいる。もうやりたい放題だ。あとで知ったところによると、引きずられていたのは藤谷美海。もう歌い始める前から逸材でしかない。

このまますごい騒ぎを巻き起こしていくかと思いきや、オープニングナンバーはどバラード「Whatever」。拍子抜けしたものの、IDORISE!!2日間の大トリという大舞台に懸ける思いをバラードに込めるというのはグッとくるではないか。しかも、桜ひなのを筆頭に、歌がすごい。9人いることの強みが出ていて、バラードでも見ていて飽きない。

ニューロマンティックな「ニュートロ」を挟んだMCでは、安杜羽加の「みなさん、死ぬ気で死んでください!」というパワーフレーズも飛び出し、そのまま次の曲へ移るかと思いきや、とあるメンバーが立ち位置を間違えてメンバーから総ツッコミを受ける。またしても藤谷美海である。

しかし、「HANA」「いただきランチャー」と続くうちに、彼女たちのパフォーマンス力の高さと豪快さに圧倒されていく。「伊達サンバ」なんてフロアよりもステージ上がカオス。10年前ぐらいのスタダを思い起こさせるようなドタバタっぷりだが、やっぱりみんな歌がすごい。「天下一品 〜みちのく革命〜」も完全なるアゲ曲なのに歌は安定してるんだから驚くしかない。とどめは「うぢらとおめだづ」。なんだかよくわからないけど元気が出るという、アイドルソングのお手本のような一曲で締め。

エンディングの挨拶で「以上!」と叫んだ橘花怜の声がかすれていた。彼女たちが全力でステージに臨んでいたこと改めてグッときながらも、ステージ去り際の「みんな、ファンクラブ入ってねー!」という桜ひなのの言葉でズッコケるのだった。きっと、「爪痕 残し方」で検索をかけたら最初に出てくるのはこのライブだ。

取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=真島洸

関連タグ

関連タグはありません

オススメ