ORANGE RANGE、全47曲披露のぴあアリーナ2Days公演が大盛況にて終了

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写真:平野タカシ

結成21周年イヤーを迎えているORANGE RANGEによる2日間のカーニバルが神奈川・ぴあアリーナMMで開催。1日目をORANGE DAY、2日目をRANGE DAYと題し、21周年にちなんで1日21曲被りなしの全42曲(アンコールを入れると全47曲)を演奏するというライブだ。その初日の模様をレポートする。

まずは18年前にリリースされた大ヒット曲「以心電信」からスタート。カラフルでハッピーなサウンドに乗せて、HIROKI、RYO、YAMATOという3MCが、「つながっているんだ 僕らはいつも以心伝心」と歌うと、20年という時間の長さに裏打ちされた聴き手との絆をひしひしと感じる。途中、テンポを落として沖縄音楽風のアレンジを入れ込み、祝祭感を盛り上げる。

近年のORANGE RANGEのライブのひとつの魅力であるコラボが久々に実現した。HIROKIが山手学院高等学校吹奏楽部の13人を呼び込み、「高校生達がコロナによってほとんどの行事がなくなってしまい、寂しい思いをしている。ここで一緒に最高の思い出を作りましょう」とアジテートし、「イカSUMMER」へ。華やかなホーンが加わり、躍動感が増し増しに。メンバーも吹奏楽部の面々も満開の笑顔だ。さらに、横浜市立金沢高等学校のダンサーチーム“Zippers”が登場し、RYOが「みんなも負けないように踊ってください! 今日はおしゃれしてるやつよりも一番踊ったやつがおしゃれ番長だぜ」と呼びかけ、アグレッシブなダンスを携えた圧巻の「おしゃれ番長 feat.ソイソース」を披露。オーディエンスは楽しそうにジャンプして応える。

経験を経たからこそ、たくさんの大事な過去がある。そんな成熟したORANGE RANGEだからこそより説得力を持って響いた「SAYONARA」は大所帯のストリングスをバックに演奏された。「ありがとうを君へ 静かにそっと支えてくれてたね 時間を超えて今超えて ありがとうって君へ」と、20年間の感謝の気持ちに重なるフレーズを歌い放つ。

宇宙を思わせる映像が映し出され、スペイシーなミクスチャーロックの名曲「*~アスタリスク~」。そして、「リアル・バーチャル・混沌」とストレンジな世界に突入。さらに、ORANGE RANGE流のフィットネスソング「HEALTH」でのコミカルなシェイプアップダンスを交えてのパフォーマンスに会場が一体となる。

「部活のつもりで始めたバンドが20年続くと思わなかった」とRYOが感慨深そうに話した後、翌日5月15日に本島復帰50周年を迎える故郷沖縄への想いを語った後、本島復帰50周年のテーマソングである「Melody」を披露。続く「フイリソシンカ」は、メンバー5人中4人の母校である北谷高校創作エイサーイメージソングということで、琉球舞団昇龍祭太鼓が登場し、YAMATOが奏でる三線とエイサーの掛け声が琉球民謡満載の温かいサインドに染みわたる。

今回のライブのオリジナル法被を3MCがまとっての「祭男爵」「Special Summer Sale」「お願い! セニョリータ」、たくさんのタオルが舞った「Enjoy!」という怒涛のパーティーソング連打もあった。オーディエンスは声が出せないということもあり、HIROKIが名付けた「無音はっちゃけ」で大いに盛り上がる。

20周年のお祭り1日目のラストを飾ったのは2003年にリリースされた記念すべきメジャーデビューシングル「キリキリマイ」だ。3MCに加え、NAOTO(G)とYOH(B)もステージ前方に出てきて楽器を思い切りかき鳴らす、ライブバンド・ORANGE RANGE全開のハードな楽曲を、デビュー時よりも凄みが増した破壊力でもって叩きつける。感傷を吹き飛ばすパワフルな余韻を残し、初日のORANGE DAYは終了した。

ライブ2日目は、オーディエンスのたくさんの拳が突き上げられた19年前の3rdシングル「ビバ★ロック」、18年前の6thシングルでありTikTokでリバイバルヒット中の「ロコローション」という、お祭り感満載のスタート。HIROKIの「皆さんの生きてきた人生の中で鳴っていたORANGE RANGEの楽曲を共に蘇らせながら、未来へのヒントを掴んで帰っていってほしい」というMCに大きな拍手が起きる。

1日目に続いて、この日も近年のORANGE RANGEのライブの魅力である学生たちとのコラボがたくさん見られた。関東学院中学校高等学校のマーチングバンドを呼び込んでの「チャンピオーネ」はよりチアフルで勇壮に響き、studioDUAL東神奈川のダンサーチームを率いての「SUSHI食べたい feat.ソイソース」はステージ上の総勢20人以上が一体となってORANGE RANGEならではの奇妙なポップワールドを構築した。

一方で、「ラヴ・パレード」、ストリングス隊「Great Bear Strings -RANGE-」が加わっての「Walk on」、大ヒット曲「花」という、しっとりとした歌心が魅力の楽曲を続けざまに披露し、ぐっとオーディエンスを掴む。この振れ幅がORANGE RANGEの楽曲の大いなる武器だ。

そして、「Family」を幅広い世代で形成された総勢59名のコーラス隊「ゴスペルスパークル」と共に披露。故郷沖縄の当たり前の情景が描かれ、その大切さを何世代先にも受け継いでいこうという楽曲に込められた想いが具現化されたようなシーンだった。

終盤にはYAMATOとHIROKIのツインギターによる「HYSTERIC TAXI」、さらに「イケナイ太陽」「上海ハニー」を連打し、右肩上がりの盛り上がりを記録。長い期間みっちりと準備をして臨んだ21周年のお祭り。たくさんの人の笑顔を前にし、最後のMCではRYOが感極まり、HIROKIが「涙ぐんでる~!」と嬉しそうに突っ込む場面もあった。その後の「Иatural Pop」ではぴあアリーナがかけがえのない多幸感で満たされた。

NAOTOのギター、YOHのベース、サポートドラムの哲之に加え、YAMATOの三線、HIROKIのアコースティックギター、ストリングスという布陣による「落陽」の演奏中にRYOが「みんながいる限りORANGE RANGEは止まりませんからね。すり足でも進んでいくから。しかも置いてかないし。みんなで進んでいきましょう。ありがとう!」という再会を強く約束。2日間のカーニバルを大成功させたORANGE RANGEの未来が心から楽しみだ。

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