SUGIZOがモジュラーシンセサイザー奏者HATAKENとコラボ、ニューアルバム「The Voyage to The Higher Self」をリリース

アーティスト

2022年

SUGIZOが、世界的に活躍するモジュラーシンセサイザー奏者HATAKENとのコラボレーション活動を本格化。デュオ「SUGIZO×HATAKEN」としての初オリジナルアルバム「The Voyage to The Higher Self」を2022年1月26日にファンクラブ先行、2月16日に一般発売する。

インド哲学に由来する、心と体を調整するエネルギー“チャクラ”をモチーフとし、第一から第七までの七つのチャクラの色とシンクロした7曲を収録。アンビエント、ヒーリング、メディテーション・ミュージックを志向した点においては 2020年にリリースした前作「愛と調和」と地続きだが、制作のアプローチは全く異なり、SUGIZOは新たなフェーズへと進んでいる。

二人の初コラボレーションは、2017年にリリースされた SUGIZOのオリジナル・アルバム「ONENESS M」に遡る。SUGIZOソロデビュー20 周年記念作品での初コラボで客演する形となったHATAKENは、次に2018年にリリースされたリミックス・アルバム「SWITCHED-ON OTO」で「The Voyage Home」のリミックスを手掛け、複数案を提出。「The Eternity Voyage Remix by HATAKEN」として発表されたが、SUGIZOは選に漏れたヴァージョンにも大いに魅力を感じ、いずれそれらをまとめて作品化したいとの願いを抱くことになる。また時期を同じくして二人は幾多のイベントに出演。デュオとしてのライヴ活動に積極的になっていく。

2019年にはSUGIZO50歳の誕生日を祝した「聖誕半世紀祭」でステージ共演。披露した「Multiverse Traveler from HALF CENTURY FES.」は、「愛と調和」豪華盤の特典ディスクに収録され、二人にとって初の正式音源となった。

このプロジェクト始動に際しSUGIZOがイメージしたのは、フリップ&イーノ。約50年前、ブライアン・イーノがロバート・フリップと組んだ伝説的アンビエント・デュオの2020年代版である。SUGIZOにとってHATAKENは、音楽性だけでなく精神性を互いにリスペクトし合える存在。アルバムタイトルは、上述したHATAKENゆかりの2曲にちなんで、旅と紐づけた言葉を選んだという。

7曲のベースとなったのは、いずれもSUGIZOの既存曲。それらをまずはHATAKENがバラバラに解体し、ほぼすべての音をモジュラーシンセで加工、変調して大胆にリビルドした。再構築されたものに対し、生みの親であるSUGIZOは更にメロディーやハーモニーを加え新たに「作曲」を施し、新規の音をレコーディングして重ねることで楽曲は完成。手法は90年代にDJやトラック・メイカーが発展させたサンプリング・ミュージックに通ずるが、引用素材はあくまでも自身の音源。まるでDNAを再利用されているような感覚だとSUGIZOは語る。そのようなプロセスで、単なるリミックスでもなく完全なるオリジナルでもない、非常にユニークな成り立ちのアルバムが誕生した。

SUGIZOが奏でたギターサウンドが実は音素材の7割を占めるというが、モジュラーシンセを経由して鳴らすことによって全くそうは聞こえないことに驚かされる。海洋生物のようであったり、風の音のようであったり、せせらぎのようであったり、あらゆる音は自在に姿を変え、鳴っている。断片的に聞こえてくる既存曲のフレーズは、まるで前世で出会った誰かの面影のような懐かしさをもたらしつつ、モジュラーシンセの起こすケミストリーによって印象は新たに。宇宙的で悠大な、神秘に満ちたサウンドスケープに昇華されている。

また、現在LUNA SEAのライヴでも用いているアナログ・ギターシンセサイザーも今作では活躍し、懐かしくも未知のサウンドを響かせているのも聴き逃せない。

少し具体的に楽曲を紐解くと、1曲目の「Muladhara」は、地上と繋がっている脊髄の基底部、赤色をした第一チャクラを表すタイトル。アンビエントではあるが肉感的で、ダンスミュージックの形状をした最も現世的な曲。セクシュアルな意味を持つ第二チャクラに対応する2曲目「Svadhisthana」には、官能的(Sensual)なイメージが投影されている。次の第3、第4とチャクラが上昇していくにつれて、それにシンクロする楽曲も波動が上がり、まるで肉体を脱ぎ捨てていくように、音の輪郭は朧げに、より形而上学的なサウンドアプローチへと変化していく。興味深いのは、すべての音が電子的な変調を経ているのに、それらがまとまった時には機械的どころか実にオーガニックな香りを放つ、ということ。瞑想のBGMにふさわしいのは間違いないが、難解で高尚だと身構えず、ヒーリングを求める全ての人に届いてほしいアルバムとなっている。

デュオとしての今後のライヴ活動にもSUGIZOは意欲的。アルバムでつくりあげたスピリチュアルでアンビエントな世界観をただ再現するのに留まらず、その場で鳴った音に絶えずインスパイアされHATAKENと二人で未だ見ぬ新しい物語を紡いでいくような、即興性の高いステージになるとのこと。

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