龍真咲が1年9ヶ月ぶりにステージ復帰『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』林はるか&そよかと共演に「言葉にできない熱い気持ちがこみあがる」

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『クラシックコンサートの新しいカタチ” チェロ&ピアノ&ヴォーカル『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』〜クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで〜』

『クラシックコンサートの新しいカタチ” チェロ&ピアノ&ヴォーカル『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』〜クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで〜』

大阪府出身で東京藝大卒の姉妹クラシック音楽家、林はるか(チェロ)と林そよか(ピアノ)と元宝塚歌劇団月組トップスターの龍真咲がコラボレーションする『クラシックコンサートの新しいカタチ” チェロ&ピアノ&ヴォーカル『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』〜クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで〜』が2022年2月19日(土)に大阪・サンケイホールブリーゼで開催される。龍にとっては初舞台から20周年の時期であり、さらに1年9ヶ月ぶりにステージで歌うとあって、ファン待望の機会として大きな注目を集めている。そんな龍と音を紡ぐ林姉妹も、はるかは鉄道好き、そよかは宝塚の熱烈ファンとかなりの個性派。今回は、同コンサートで司会を務めるカンテレ・関純子アナウンサーもまじえて、公演にかける思いを訊いた。

『クラシックコンサートの新しいカタチ” チェロ&ピアノ&ヴォーカル『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』〜クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで〜』

『クラシックコンサートの新しいカタチ” チェロ&ピアノ&ヴォーカル『はるかそよかの音楽に恋して meets 龍真咲』〜クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで〜』

●林姉妹が目指すところは「龍が歌いやすい環境づくり」●

龍:2021年9月の箕面市立文化芸能劇場での公演『箕面が生んだ姉妹音楽家~クラシックから日本のうたまで~』を鑑賞させていただいたのですが、自然と涙が出てきて、幸せな気持ちになりました。コロナ禍で自分でも気が付かない間に、溜まっていたものがあったのか、とても浄化された気持ちになったんです。その時はぼんやりと、いつかご一緒出来たらと思っていたところ、今回のイベントが実現しました。本当にご縁に感謝です。

はるか:龍さんからそのようなお話があったと聞いて、とにかく驚きました。今回の公演は龍さんの歌、私のチェロ、そよかのピアノというシンプルな組み合わせですが、「どんな音楽ができあがるんだろう」と想像がものすごく膨らんでいます。刺激的な公演になりそうですし、興奮しています。

そよか:私自身、宝塚歌劇が大好きで、それをきっかけに「作曲家になりたい」という気持ちになったので、龍さんから演奏のご感想をいただき、本当に嬉しいです。ご一緒できるのは夢のようなお話。本番では、龍さんに見とれてしまって演奏を忘れそう(笑)。

『箕面が生んだ姉妹音楽家~クラシックから日本のうたまで~』

『箕面が生んだ姉妹音楽家~クラシックから日本のうたまで~』

関:そこはしっかり演奏をお願いします(笑)。私は9月の箕面公演で司会をつとめさせていただきましたが、はるかさん、そよかさんは音楽家としてだけではなく、芸人的なおもしろさも持っていらっしゃいますよね。クラシックのコンサートで、お客さんを笑わせにかかる演奏家はそんなにいませんから。はるかさんは鉄子(鉄道好きの女性)だし、そよかさんは即興演奏しながら顔芸もまじえて演奏するピアニスト。そんな芸達者なおふたりに龍さんが融合するなんて。「これは類稀なるステージになるぞ」と楽しみでなりません。

龍:だけど、やってみなければ分からないところもありますよね。ボーカルとしておふたりに尋ねたいことは、音のバランスについて。演奏する場所、空間によって音の響きも違うでしょうし。どのように正解を見つけ出したら良いんだろうと。

はるか:チェロは旋律楽器と呼ばれていてメロディラインに沿って演奏するので、今回はまずは龍さんの歌に合わせて演奏することを心がけていきます。おっしゃるようにやってみなければ分からない部分もありますが、一緒に音楽を奏でる楽しさがあればすぐに馴染めるはず。どう交わっていけるか、期待感の方が大きいです。

そよか:私も、龍さんが歌いやすい環境を作っていきたいです。それに今回は龍さんにとって1年9ヶ月ぶりの公のステージ。責任重大ですし、みなさんの期待を上回る演奏をしなければいけません。

●「二人の演奏にどんな色にも染まる一輪の花となれたら」(龍)●

龍真咲 Photographer=嘉茂雅之 Hair&Make up=黒田啓蔵

龍真咲 Photographer=嘉茂雅之 Hair&Make up=黒田啓蔵

龍:みなさんとはまだ直接顔合わせはしていませんが、お会いしたらやりたいことがあるんです。おいしいご飯を食べに行きませんか? 心の部分から打ち解けたくて。おふたりの出身地の箕面グルメがおいしいと聞いていますし(笑)。

はるか:龍さんと初めて会ったら何からやれば良いんだろうとずっと考えていたんですが……確かに食事が一番良いですね! 私もこれまでいろいろなアーティストの方と演奏してきましたが、振り返ってみるとただリハーサルを重ねるのではなく、一緒にご飯を食べながらいろんなお話をすることで相手の感性をつかむことができました。心のつながりが、音のつながりになります。

そよか:会っていきなりリハーサルをすることもありますが、普段の様子が分からないまま音を合わせるのは事務的な感じがするんです。音を合わせる前にそうやって団欒の時間を設けてお話をさせていただくことで、より良い演奏になると思います。

関:食事の場でみなさんのパーソナリティが明かされていくわけですね。先ほど少し触れましたが、はるかさんはいつから鉄道好きになったんですか。

林はるか

林はるか

はるか:私が鉄道に興味を持ったきっかけは、駅スタンプなんです。演奏活動で各地へ行くようになったのですが、忙しいので観光ができないんです。それじゃあまりにも寂しいから、鉄道移動が多いので旅の記念に駅のスタンプを集めるようになりました。集めていくうちに「いろんな駅へ行ってみたい」という気持ちになり、今は鉄道に乗ることが好きになりました。あと、列車内や駅のメロディでクラシックがたくさん使われていることを知って、親近感がわきました。そういったことを多くの人に知ってもらいたくて、YouTubeやコンサートで鉄道にまつわる企画をやるようになりました。

関:鉄道と音楽の繋がりを発見されたんですね。そよかさんは宝塚歌劇の大ファンということで。

そよか:中学2年生のときに初めて観劇し、華やかな世界に心惹かれてどハマりしました。ハロウィンでは宝塚をイメージしたお姫様の格好をしたりして。あと、何と言っても男役のカッコ良さですよね。間近に宝塚の空気に触れたくて、学校帰りに劇場周辺を歩いたり、ショップに立ち寄ったり、時には観劇することもありました。

関:宝塚駅本線の列車発車時の合図音は、「すみれの花咲く頃」ですよね。龍さんがボーカルゲストでもありますし、イベント本番で「すみれの花咲く頃」を演奏しませんか?

そよか:余計に緊張しそうです!

関:龍さんは、はるかさん、そよかさんのようにハマっていることはあるんですか。

龍:なんでしょう。無趣味……かな(笑)。だけど以前から「何色にも染まる」という意識でやっていましたから。今回もはるかさん、そよかさんの演奏に、どんな色にも染まる一輪の花を添えたい。誰も見たことがない新しい花を咲かせたいですね。無色で何色でも染まる形でステージに参上するつもりです。

●地元関西での公演で「ファンの方たちに恩返しがしたい」(龍)●

龍真咲

龍真咲

関:龍さんは宝塚時代の男役のトップスターのイメージがありますけど、今は女性としてとても魅力的。退団後『1789 -バスティーユの恋人たち-』(2018年)で演じられたマリー・アントワネット役はドレス姿も似合っていて、本当に美しかったです。

龍:そう言っていただけて嬉しいです。そうですね、燕尾服は置いてきてしまいましたね(笑)。

関:今回の公演では新しい龍さんが見られそう。トップスター時代の色気、そして現在の龍さんが漂わせる色気。それらが混ざりあったり、逆にまったく別のものとしてあらわれたりして。私たちはきっとその魅力のとりこになると思います。あとみなさんはコロナ前、各地を飛び回ったりすることが多かったはずですが、こうやって関西で公演をおこなうことに特別な思いがあるのではないですか。

はるか:私とそよかは箕面出身なのですが、東京を中心に活動するようになってから地元の良さに気づくようになりました。住んでいるときは気づかないものなんですよね。箕面は滝道や山を歩くと季節の移り変わりを体感できて、日々の疲れが癒えます。常にマイナスイオンが溢れているような居心地の良い場所です。

そよか:そういえば仕事で北海道へ行ったとき、商店街に箕面ビールが売ってあったんです。全国的にも人気が高いと知って、地元を誇らしく感じたこともあります。姉が話すように、そういうことって地元から離れて暮らすようになってから気づくんですよね。

林そよか @Hisato Tatsuoka

林そよか @Hisato Tatsuoka

龍:ホームタウンはすごく大切な存在ですよね。私も今回の公演を関西で実現できることが感慨深くて。というのも2021年は私にとって宝塚初舞台からちょうど20年。「ファンの方たちに恩返しがしたい」とずっと考えていたけど、コロナのこともあってなかなか前に踏み出せませんでした。だけど公演のお話をいただき、「今しかない」と。どの場所でも全力で舞台に上がっていますが、やっぱりホームタウンの関西は格別。言葉にできない熱い気持ちがこみあがってきます。

関:しかも久しぶりの公演ですもんね。

龍:私のなかで1年9ヶ月というのはとても長い時間でした。実は少しモヤモヤしていたんです。だからこそ精一杯がんばりたい。「ずっと待っているよ」、「今後の活動はどうなるのですか?」といろんな声をいただきました。こうやって姿を見せることが、私のひとつの務めなのかもしれません。

はるか:龍さんの初舞台から20周年。しかも1年9ヶ月の舞台。あらためて興奮、ドキドキ、とにかくいろんな感情が混ざり合って、今ちょっと大変なことになっています……。

そよか:私もです! でも本当に「音楽をやってきて良かった」と実感できるコンサートです。3人という少ない演奏人数ですが、龍さんのバックで、私とはるかがオーケストラに負けないくらい力一杯の演奏をしてみせます。

龍:私はこれまで、いろんなヒストリーが混ざり合った複雑なものを作り上げる方が好きだったんです。だけど今回はすごくシンプルな座組。自分にとっては難しいチャレンジになります。一歩を踏み出しづらい世の中ですが、前に進むために新しいことを始めたい。はるかさん、そよかさんの演奏家の魂、私の歌い手としての魂、司会を担当してくださる関さんの話し手の魂。そのうちのひとつで良いので、来てくださるにお客様に持って帰ってもらえるようなステージを披露します。

取材・文=田辺ユウキ

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