明日海りおインタビュー 宝塚退団後初のソロコンサート『1st Concert -ASUMIC LAB-』は「役ではない“明日海りお”を堪能していただけるコンサートに」

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宝塚歌劇団花組で、独特の非現実感と熱い表現力を持った男役トップスターとして一時代を画した明日海りお

退団後もそのとことん突き詰めていく熱量の高い芝居力と、ふんわりと柔らかな素の魅力を併せ持った表現者として『ポーの一族』のエドガー、『マドモアゼル・モーツァルト』のモーツァルトなど、明日海りおにしか成しえないミュージカルの主演舞台をはじめとして、映像、また配信番組などにも活動の幅を広げている。

そんな明日海の宝塚退団後初となるソロコンサート『明日海りお1st Concert -ASUMIC LAB-』が、2021年11月20日(土)神奈川・ハーモニーホール座間、11月26日(金)~27日(土)兵庫・神戸国際会館 こくさいホール、12月5日(日)静岡市民文化会館大ホール、12月9日(木)~10日(金)東京国際フォーラム ホールAにて開催される。

「明日海りお」を構築している、四つの世界観を掘り進めていくという構成で、明日海が歌い上げる珠玉の楽曲たちと、ふんだんに盛り込まれたダンスシーンで彩られるステージだ。更に最終日の12月10日(金)には、宝塚時代に共に過ごし、先般やはり宝塚歌劇団月組トップスターの重責を果たして退団した珠城りょうが、スペシャルゲストとして出演することも決まっていて、いま各地での公演に大きな期待が集まっている。

そのソロコンサートを控えた明日海が、役を演じるのではない「明日海りお」として臨むステージに懸ける並々ならぬ思いを語ってくれた。

 

新しい明日海りおを紐解いてみようというワクワク感

──『マドモアゼル・モーツァルト』を大盛況のうちに終えられたところで、いま振り返っていかがですか?

この状況で全ての上演期間を全うできたというのが、まずありがたい、奇跡のようなことだったなと思っています。もちろんそれだけではなくて、自分自身が日々更なる可能性を貪欲に求めていける作品に出会えたこともですし、同じ熱量でやっていってくれるカンパニーの皆さんに出会えたことが本当に幸せで、ひと公演ひと公演が忘れられないものになりました。

──早くも、是非再演をという声も大変多くあがっていますね。

そう言っていただけることも含めて、本当にすべてに感謝しています。

──そんななかで、千秋楽から日を置かずに、宝塚歌劇団退団後の初コンサート『明日海りお 1st Concert -ASUMIC LAB-』が開催されるということで、こちらにも大変大きな期待が集まっていますが。

演出家さんが、「皆さんが普段ご覧になっている『俳優・明日海りお』の演じている姿だけではなくて、色々な魅力を見てもらったらいいのでは?」と言ってくださって、このコンサートから「新しい明日海りおを紐解いてみよう」というワクワク感を味わって欲しいと思ったので、「LAB」、実験室と名付けさせていただきました。

──実験室という言葉そのものが、既に広がりを感じさせますね。

そうですね。「明日海りおを構築する四つの世界観」と銘打って、新しい私、振り切った姿、素顔の部分、そして懐かしいと感じていただけるもの、と言っても宝塚時代と同じではなくて、そこから更に進化したものをご覧いただきたいと思い、様々なナンバーを盛り込んでいます。ひとつのコーナーの中でも、ナンバーごとに衣装も含めて全く雰囲気が異なっていきますので、四つの世界観と言っても決して四つしかパターンがないと言う訳ではなく、色々な私をご覧いただきます。特にLEDなどもふんだんに使った豪華なステージを作ってくださっているので、是非楽しみにしていただけたらと思っています。

 

──明日海さんはこれまでの舞台公演でも、常に「千秋楽まで進化していきたい」とおっしゃっていますが、こうしたコンサートでも新しい面、更に進化したものを追求したいというお気持ちなのですか?

宝塚時代にも何回かコンサートをさせていただきましたが、特に宝塚を卒業して「男役」ではなくなったことで、できることがとても増えたんです。ですから今までのコンサートにはなかったより新しいもの、より良いものを追求して楽しんでいただきたいという思いは強いですね。

特別に感じられる神奈川、神戸、静岡、東京での開催

──そうしたお話からもどんな新しい明日海さんに出会えるのだろうとの気持ちが募りますが、今回は東京だけでなく、宝塚史上初めてのアリーナコンサートを実現させた神奈川、故郷の静岡、宝塚のある兵庫と、明日海さんにとって特別な意味のある各都市での公演も決まっています。

コロナ禍で、なかなかプライベートでは県境を越えることが難しい、意識的になるたけ控えようという時期が長く続いていましたから、こうしてコンサートを各地で開催できることが特別に感じられます。神奈川のハーモニーホール座間からスタートさせていだたいて、兵庫の神戸国際会館こくさいホールへ。『マドモアゼル・モーツァルト』は関西での公演がありませんでしたので、このコンサートで関西にいけるのが本当に嬉しくて! そして次の静岡はおっしゃってくださったように、私の生まれ育ったところで、静岡市民文化会館大ホールは小さい頃から、色々な発表会でお世話になった思い入れのあるステージなんです。そこに帰れるのはとても幸せですね。そして、最終地東京の、東京国際フォーラムは、宝塚時代、そして退団後の『ポーの一族』と何度も立たせていただいたステージですが、コンサートをさせていただくのは初めての挑戦になるので、心して臨みたいと思っています。

 

──その東京国際フォーラム ホールAの最終日には、元月組トップスターの珠城りょうさんがゲスト出演されることも大きな話題ですね。

りょうちゃん(珠城)とは一緒にお稽古ができるということから、まず楽しみで仕方ありません。若手時代を月組で共に過ごし、私が花組に組替えになって、お互い違う組でトップになり、いま二人共卒業して、また巡り会えるのが幸せですね。彼女も本当に立派なトップスターとして月組を率いてきましたが、私の目から見るとまだどこかあどけないと感じられる、全く変わらないなと思えるところもあるんです。その彼女と新しいものを一緒にお稽古できる。色々な経験を経て、りょうちゃんがどんな風になっているんだろうな、いまのりょうちゃんと私が合わさったら、どんなコラボレーションができるかなと、今からとても楽しみです。

自分が「明日海りお」だと思い出す

──ビジュアルもとても素敵で、こちらのフライヤーがなかなか手に入らない、争奪戦という状態になっていますが、撮影時のエピソードなどは?

この1枚の写真のなかに、四つのテイストを盛り込んでくださっていますが、衣装ごとにヘアメイクや小物もガラッと変えて撮ったので、撮影には長時間かかりました。ですが、とても楽しかったですね。赤いスカートではメガネをかけてガーリーな雰囲気で撮影していますし、ピンクの部分ではメイクに羽根をあしらったりしていて、パンフレットには他のパターンの写真も満載なので、そちらも多くの方にご覧いただけたら頑張った甲斐があるなぁと思っています。

──そうなんですね!それは是非拝見したいですが、ではこのフライヤーが完成した時、ご自身ではいかがでしたか?

自分ではどうなるのか全くわからなかったので、素敵に作ってくださったなぁというワクワクした気持ちになりました。イメージが広がるものにしてくださったと思っています。

 

──クール・エレガント・アバンギャルド・フェミニンと、本当にいま見えていない部分を想像させるフライヤーですね。更に先ほど、演じている明日海さんとは別の面を、というお話もありましたが、役として舞台を務めている時と、こうしたコンサートとではどんな違いを感じられますか?

今、振付などが進んでいてそこで感じるのは、ちょっと表現として正しいのかどうかわからないのですが、自分が「明日海りお」だということを思い出すという感覚なんです。役を演じている時には、役の世界観のなかに没入しているので、すべてを役として感じて表現しています。でもこうしたコンサートの形で、新しい振付を受けていると「あーそうだった、明日海りおだった」という感じになって(笑)。

──あぁ、なるほど!

ご覧になる方々も「明日海りおのコンサート」を観に来てくださるので、どこかではちゃんと自分らしさを出して、自由にいられるんです。振付のニュアンスも「こうです」と言われたら「私だったらこう表現する」という自分なりの料理の仕方をして、どのナンバーも作っていけたら。特に私は仕事という意味で言うと「歌手」という肩書は持っていません。ですから逆に明日海りおならこう歌うということに捉われることなく、歌詞に込められたストーリーをお聞かせしたり、場面によって違う人のように見えたり、といったものをどんどん作っていけたら、より私らしく見えるのではないかな?と。そこに理想があるのですが、まだまだそこまで到達できるかどうか、いまの段階では不安も大きいです。でもそこを目指してやっていきたいと思います。

──日々進化する明日海さんですから、きっとどんどん理想に近づき、更に超えていかれることと思いますが、いま、自分らしさとおっしゃったものは、宝塚時代の舞浜や横浜アリーナでみせてくださったものともまた異なるのでしょうか?

先ほども申し上げたように、いまは宝塚の男役ではなくなったので、基本的には違うものなのですが、それでもとてもカッコイイ振付をいただいている場面もあって、「このテイストなら男役で培ったものでバシッと決めよう」と思っているナンバーもあります。ただ一緒に踊ってくださるダンサーの方々が、女性ダンサーだけではなく男性ダンサーもいらっしゃいますし、女性ダンサーの方と踊っても、あくまでも娘役さんではなく女性ダンサーなので、そこから受けるものが全く違うので楽しいです。とてもダンサブルな場面もありますので、いまの私を感じていただけると思います。「新しい」も「懐かしい」もあるという感じですね。

 

──ミュージカル、映像、また配信などでも様々に活動の場を広げられていますが、こうしたコンサート活動も、継続してやっていこうというお気持ちですか?

今回の仕上がりによっては「もうやってはいけません」と言われてしまう可能性もあるのですが(笑)。

──そんなことはないと思います!(笑)

自分としては「明日海りお」でいられるコンサートも大好きなので、続けてやっていいよと言ってもらえるように頑張りたいです。

──皆さんもきっとそう望まれていると思いますから。

本当に求めてくださるお客様がいらっしゃらないと成り立たないものなので、是非応援をよろしくお願いします! コロナ禍もようやく落ち着いてきてくれているのかな?という期待も膨らんでいますし。

──そうですね。そう信じていきたいですね。そのなかで今後他にもやってみたいことなどは?

人と会いたいです。まず「会わない?」と誘い合えるようになりたいですし、「ファンミーティング」なども是非復活させたいです。コロナ禍でできなくなった色々なことを少しずつしていきたいですね。このコンサートもまだコール&レスポンスとまではいかないですが、こうして会場で皆様と「明日海りお」としてお会いできるのは本当に嬉しいので、熱量をいっぱい飛ばしていきたいです。

──客席からも思いのこもった拍手が送られると思います。では改めてこのコンサートを楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

役ではない明日海りおとしてのパフォーマンスを存分に堪能していただけるステージになるよう、精一杯歌って踊ります。特に退団後踊ることはあまりしていなかったので、久しぶりに踊る私もご覧いただきますので、皆様と一緒に盛り上がりたいです。全身全霊でお待ちしております!

 

取材・文=橘涼香 撮影=池上夢貢

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