TETSUYA(L’Arc-en-Ciel)、ニューアルバム「STEALTH」リリース後初ソロライヴのレポート到着

アーティスト

Live Photographer:Hideaki Imamoto

ソロデビュー20周年を迎え、約10年ぶりにソロアルバム「STEALTH」を発売したTETSUYAが10月10日、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で恒例のバースデーライヴ「TETSUYA LIVE 2021“THANK YOU”」を有観客で行ない、アンコールを含め全19曲を熱演しました。

ご存知の通り、現在L’Arc-en-Cielは<30th L’Anniversary TOUR>を開催しながら新曲「FOREVER」のリリースもあり、ラルクの活動でも多忙を極めるtetsuya。その彼が、この日は大文字TETSUYAとなってLINE CUBE SHIBUYAのステージに戻ってきました。

ライヴはアルバム「STEALTH」の1曲目「REGRET」で幕開け。冒頭からスクリーンの演出で魅せます。最初はキューブに閉じ込められたなかで歌っているように見えたTETSUYAが、ステージの薄い幕がなくなると現実なのか夢なのか判らない深い闇から抜け出し、「Make a Wish」で姿を表すとオーディエンスのペンライトも一斉に揺れだし、その光を受けて「READY FOR WARP」では近未来へとワープ。会場ごとキラキラ輝く宇宙の果てまで連れ出すという展開は本当に見事だった。

サングラスを外し「こんばんはー、TETSUYAです」と挨拶を告げたあと、冒頭の演出について「すごくキレイじゃない? 映像なのか実物なのか分かんなくて、僕もやってて感動しました」と感想を伝えます。ステージを見渡すと室姫 深(Gt)、中村 佳嗣(Gt)、IKUO(Ba)といういつものメンバーに加え、山崎 慶に代わってレコーディングメンバーである石井 悠也(Dr)、岸 利至(Key)は当日いなかったもののバンマスとしてアイデアを出してサウンドを監修、事前収録したシンセで参加するというイレギュラーな形のJuicy-Bananasがサポートするなか、アルバム収録曲を次々と披露。

「愛されんだぁ I Surrender」に続いて披露した「誰がために鐘は鳴る」では、イントロでジャケットのフードをぱっとかぶった瞬間から、ミステリアスなムードに包まれます。音源にバンドアレンジがほどこされているものの、エレクトロな雰囲気が際立っていて、そのなかで体を上下に大きくバウンスさせながらエフェクトした声で歌うTETSUYAはめちゃくちゃクールで斬新でした。「TIGHTROPE」「FATE」では、TETSUYAの中低音域の声が暗闇を支配するように襲いかかり、まるでアルバム「STEALTH」が内包する“蟻地獄”をライヴで味わえたような気がして最高でした。

MCでアルバムの話題になると「アルバムいいっしょ?」と嬉しそうに場内に話しかけ、そこでは収録曲のなかの「ARIGATO」は「COME ON!」のときにすでにレコーディングしていたという秘話も明かされました。

中盤戦は「REVERSE」からはロマンチックでせつないラブバラードを通して、TETSUYAの“美メロ”が観客をじっくり魅了していき、「lonely girl」へと続きます。この日はなんといっても歌に耳が奪われっぱなしでした。ラルクのツアー中ということも影響しているのか、抵抗感なく高音域までスムーズに伸びていく歌声の煌びやかさ、抑揚の付け方。そして、なによりもタフでパワフルさ増し増しになっていた声量感の迫力。TETSUYA史上、このヴォーカルの仕上がり具合は過去イチということを「Time goes on~泡のように~」で確信しました。歌い終えて「みんな小文字のtetsuyaは観た? 大文字のTETSUYA初めて観る人いる? 大文字の方もいいやろ?」と話し、「ベースの練習やりつつ、ラルクのコーラスの練習もやりつつ、TETSUYAの新曲も増えたから歌詞を憶えたり、歌も練習して」と、ここまで「小文字と大文字の自分の切り替えが大変だった」と心許すファンの前で本音を打ち明けました。そうして「まだまだいけんの?」と呼びかけると「LOOKING FOR LIGHT」のイントロが始まり、ライヴは後半戦へ。

「Can’t stop believing」「I WANNA BE WITH YOU」と続き、ジャケットを脱いだTETSUYAが、タオルを手にして始まった「Roulette」ではメンバーたちもフロントへと勢いよく飛び出してきて、白熱したプレイを展開しました。

本編のラストには「ARIGATO」をプレイ。“ありがとう さようなら”ーーそんな簡単な言葉を一言一言確かめるように大切に歌うTETSUYA。その伸びやかな歌声に滲ませた憂いが、この楽曲に込められた深い愛情を表しているように思えて、胸が締めつけられました。

鳴り止まない拍手に応え、アンコールは「白いチューリップ」で幕開け。曲が始まるとステージ後方の真ん中のパネルが開き、ミュージック クリップに出演していたダンサーが登場。白いブルゾンを着て出てきたTETSUYAとミュージック クリップを再現したようなこの日限りのとびっきりのパフォーマンスでファンを驚かせました。次に「Eureka」が始まり、“強く願う ただ それだけで すべては やがて上手くいくよ”と願いながら歌うこの曲が全員へのメッセージとなって届いたとき、アルバム「STEALTH」全曲披露はついに完結。そして、最後はいつものBananaman Brothersの2人も登場し、「Are you ready to ride?」でお祭りムードのなか、ライヴは終了。

再度アンコールを求める拍手に応え、ステージに姿を現したTETSUYA。「アルバムは全曲披露したけど、もう1曲新しく作った曲あるよね。な~んだ? もう1曲いく? 聴きたい?」といって「FOREVER」とタイトルコールをしたその瞬間、LEDには“HAPPY BIRTHDAY TETSUYA”の文字が映し出されました。運び込まれたケーキのローソクを吹き消すと、バンドメンバーから誕生日プレゼントとしてヘッドマッサージャーが贈られました。

そして最後はtetsuyaが作詞作曲をし、彼の誕生日に合わせてミュージック クリップが解されたラルクの新曲「FOREVER」をアクト。作った本人が歌うのだから、最高にならないはずがありません。それはここに集まってくれたファンへのとっておきのギフトのように思えました。「いいでしょ? 大文字のTETSUYAも。みんなに言っといて」と話したあとは「まったねー」といって客席に手を大きく振りながら、ステージをあとにしました。

アルバム「STEALTH」の世界観が加わり、ヴォーカリストとして絶好調であることも分かったいま、今後のTETSUYAの活動を心から期待して待ちましょう。

Text:Sachie Tojo

セットリスト

01. REGRET
02. Make a Wish
03. READY FOR WARP
04. 愛されんだぁ I Surrender
05. 誰がために鐘は鳴る
06. TIGHTROPE
07. FATE
08. REVERSE
09. lonely girl
10. Time goes on ~泡のように~
11. LOOKING FOR LIGHT
12. Can’t stop believing
13. I WANNA BE WITH YOU
14. Roulette
15. ARIGATO
EN-1. 白いチューリップ
EN-2. Eureka
EN-3. Are you ready to ride?
W EN-1. FOREVER(L’Arc-en-Ciel)

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