TOC、リスナーへ希望を託した川崎クラブチッタ公演が大盛況

アーティスト

TOC 川崎クラブチッタ公演
Photo by 能美潤一郎

メジャー進出作となった「SHOWCASE」から2年ぶりとなった、1月29日リリースのTOCの4thソロ・アルバム「立国宣言」。文字通り、TOCが自らの国を立ち上げ、自分自身についても語る構成がコンセプトとなったこのアルバムの、全国5箇所を巡るリリース・ツアーとなる「TOC TOUR 2020『立国宣言』」の中盤戦となる関東公演が、2月15日に神奈川・川崎クラブチッタにて行われた。

この日のステージは、ライヴDJのDJ AgetestuがサウンドをコントロールするDJブースのみというシンプルな構成ながら、ステージからフロアに向けて花道が作られ、TOCとオーディエンスの距離の近い、ライブ感を重視したレイアウトにまず目が引かれる。

DJ AgetetsuがオープニングSEを流すと、明かりの落ちたステージにTOCが登場。そしてスポットライトの光を浴びながら、ライヴは“Sprechchor”、“不自由”と、ニュー・アルバムの収録曲からスタート。アルバム音源とはひと味違う、ライヴならではのエネルギーを帯びた楽曲には、オーディエンスからは大きな歓声が上がる。

「このたび国を立ち上げさせて貰いましたTOCです。本日は入国して頂いてありがとうございます。自分で国を作る、自分でルールを作る、自分の思いを込める……。そういった自分の国を立ち上げるに重要なのは、武器と勇気だ」というMCから、アルバム「SHOWCASE」収録の“武器と勇気”を披露。続いてはメロウな感触のある“Slow Dance”と、硬軟織り交ぜた展開でライヴは進行していく。

そして以前にTOCのバックDJを務め、2019年にはDJの世界大会で優勝を果たしたDJ松永(Creepy Nuts)と制作した”ミスターキャッチー feat. TOC / DJ 松永”や、“DISOBEY feat. TOC / 下拓”など、客演楽曲として制作され、「立国宣言」にも新たに収録された楽曲や、アカペラでの“入国ヲ禁ズ”、そしてハードダンスな“メシア”と、アルバム曲を矢継ぎ早に披露し、アルバムをライヴとしても再構築していく。

そして「TOCのソロが始まって6年になります。俺の圧倒的なスキルを見せようか」と“Swag in my skill”や”Atonement”、“BirthDay”など、過去曲かつラップ・スキルの高さをしっかり見せつける楽曲をショートミックスで展開していくTOC。そのまま「どんなに尺が短くても、俺は女性をステージに上げる癖があるんだ」というMCに続き、会場から「お妃候補」になりたい女性を募り、その女性をステージに上げ、ティアラをつけさせ“HATE”を共に踊りながら披露。会場からは歓声と羨望の声が上がった。

「この曲も久々にやりたいな」という言葉からは“I’ll Light You”。ハードな内容や、リスナーの背中を押すというよりは、背中を張り手するようなタフな楽曲が多いTOCのディスコグラフィーの中でも、柔らかな感触を持つこの楽曲の披露は、この日のライヴの中でもアクセントとして強い印象を残した。

そしてラストは「生まれたての子鹿のようになるまで足を動かして行こうと思います。ついてこれるのか!」という言葉から“リスキーダイス”、“メシア”と縦ノリ楽曲を連続して披露し、フロアの熱気を最高潮に高めた。

その熱気を帯びたまま、大きなアンコールがフロアから響く中、“過呼吸”のトラックに乗せて再びステージに登場し、丁寧にソロ・メジャー・デビュー曲となったこの曲を歌い上げるTOC。続くMCでは、「今年で3回目となるTOC生誕祭は10月9日にTSUTAYA O-EASTで行います。今年もTOCとHilcrhymeの二組で行うから楽しみにしててね。例年に行ってた、俺の誕生日の10月4日には、また別の嬉しいニュースがあると思うから、期待してて下さい」と、これからの動きについてオーディエンスに伝え、会場からは大きな拍手が上がった。

そして「TOCとHilcrhymeのスタンスの違いは『立国宣言』で出せたと思うし、すごく思い入れの強いアルバムになりました。だからTOCの活動は、スパンは長くなるかも知れないけど、続けていきたいと思います」と、これからのソロの動きについてアナウンスするTOC。

そのまま話は彼の学生時代の話に進み、“Sprechchor”の歌詞を引用しながら、「俺は周りから『変な奴』だって思われたんだけど、そんな自分を否定せずにこれたから、いまここにいることが出来たんだと思います。だから、そういう境遇にいる人は、担任からはハナマルは貰えないかも知れないけど、俺からハナマルをあげたい。そして、そこに汚い心がなければ、自分のことを信じて突き進んだやつが勝ちだと思うし、その結果、俺はいつしか愛を歌うようになっていた……止まらなくなってきたから、最後の曲いこう。またあいましょう。TOCでした」という熱いメッセージをオーディエンスに届け、ラストは“JENGA”。TOCとしての強さとこれからの動きに期待させられる、充実のライヴはこうして幕を閉じた。

ライター:高木“JET”晋一郎

セットリスト

Opening SE
1.Sprechchor
2.不自由
3.武器と勇気
4.Slow Dance
5.ミスターキャッチー
6.入国ヲ禁ズ
7.DISOBEY
8.メシア
9.Swag in my skill
10.SAFARI PARK
11.MIGHTY CODE
12.夜クライム
13.World View
14.Atonement
15.BirthDay
16.HATE
17.NEW RULE
18.Ray
19.I’ll Light You
20.リスキーダイス
21.メシア
アンコール
1.過呼吸
2.Bird
3.JENGA

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