LAMP IN TERREN、未来を開花させたワンマンライブ「Bloom」完遂 新たなタームへ突入

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ワンマンライヴ「Bloom」Photo by 浜野カズシ
ワンマンライヴ「Bloom」Photo by 浜野カズシ

LAMP IN TERRENは1月13日、ワンマンライヴ「Bloom」を東京・マイナビBLITZ赤坂で開催した。昨年末まで彼らは、バンド史上最長となるワンマンツアー「Blood」を敢行。そこで得たすべてを「開花」させるべく、彼らはワンマンライヴ「Bloom」に挑んだ。

ステージ中央に置かれたオンシジウムの花束にオーディエンスの注目が集まる中、SEと共に入場した彼ら。メンバーそれぞれのために小さな舞台が組まれたステージで、各々が立ち位置に着くと、松本大(Vo,Gt&Pf)が叙情的に鍵盤を奏で始める。松本と花束だけが照らされる中、紡がれたのは“花と詩人”。その曲名通り、花と共に「開花」を目指すライヴはスタートした。

兎にも角にも、この日はハイライトの連続でライヴが進んでいった。ツアー「Blood」において、オーディエンスとより肉薄した関係性を目指す中で生まれた“Is Everything All Right”や“ほむらの果て”などの最新曲は、ワンマンライヴのライヴハウス会場としては最大キャパシティの赤坂BLITZを飲み込む、ロックバンドとしての自力を誇示。“地球儀”では、松本がオンシジウムを掲げながらフロアを完全熱狂の世界へ誘い、「一緒に踊って」という花言葉を完全回収するパフォーマンスで魅せた。そのどれもが、川口大喜(Dr.)と中原健仁(Ba.)のリズム隊のグルーヴが年々強固になってきたことが非常に大きく、自然とオーディエンスの身体を揺らすライヴパフォーマンスの礎は、間違いなく彼らの力のよる所が大きい。また、再加入当初とは別人のようなプレイ強度を見せるようになった大屋真太郎(Gt.)は、どこか緊張した面もちの中原のところに近寄ってリラックスを煽るなど、ステージングとしてもギタリストとしての風格が出てきていた。

プレイだけでも自然と彼らの歩んできた旅路を感じることができたのだが、最もこの日彼らの歩みが凝縮されたシーンがある。メジャーデビューアルバムのパイロットソングであり、彼らがシーンで注目を浴びるきっかけとなった“緑閃光”と、今現在の代表曲である“BABY STEP”が肩を並べて披露されたセクションだ。<何度でも見つけてみせるよ>と自分自身を探す旅の途中を綴った“緑閃光”に対し、<僕が僕として生きることこそが/偉大な一歩目だから>と一つの旅の答えを得たことで、他者に対しても肯定の光を当てた“BABY STEP”。彼らの旅の象徴のような曲が繋がった形で披露されたことは初めてのことで、彼らが辿ってきた軌跡が約10分間に凝縮されたかのような、不思議な時間となった。“BABY STEP”を歌い上げたあと、松本は急にステージ上で涙を流していた。「走馬灯みたいになって込み上げて」……そう零した松本の言葉と涙は、“BABY STEP”という歌に偽りなく、彼が衒いのない自分自身のまま、ステージ上に立つことができるようになったという彼の歩みの証だった。

何時だって「特別ではない」ワンマンライヴなど存在しないが、この日のワンマンは殊に特別なものとなった。それは「5周年を掲げ続けるつもりはない」と松本自身は話していたとはいえ、この夜がメジャーデビュー5周年を祝すライヴに相応しい、今現在のテレンのモードを明確に宣誓するものとなったこと。今までの彼らの歩みがギュッと凝縮されたようなシーンが生まれたこと。ーーそして、昨日Music Videoが公開された“いつものこと”という楽曲が披露されたことも大きい。松本大という人間のパーソナルな日常が、情けないほど素直に綴られた同曲は、どこか不可侵のオーラを纏っていた今までのテレンの楽曲とは一線を画す。リスナーにとっては、より「自分ごと」として大切に携えることができる歌になるだろう。同曲を含めた3曲という収録曲でありながらも、昨年末より発売されたLimited e.p.「Maison Diary」という1枚は、フィジカル/メンタル双方に対して、よりダイレクトに聴き手に届けようとする彼らの新たなモードを感じるには、非常に明確な答えを持った1枚と言える。

ハイライトの連続となったライヴは、メンバー自身も名残惜しいものがあったようで、ダブルアンコールまで走り抜けることに。悔しさが残った、2016年11月の赤坂BLITZでのワンマンでも本編ラストに披露した“L-R”をストレートに放ち、デビュー5周年イヴのライヴは大団円を迎えた。同じようなライヴの終焉を迎えながらも、清々しい結末を迎えることができた要因は、彼らが自分自身の姿と音楽を、当時とは比べ物にならないほど強く信じてステージに立てていたから。デビュー当時にあった、若さ故の根拠のない勢いとは違うーープレイヤーとしての成長も含め、歩んできた道程に対する確信を、一歩ずつ積み上げてきたからこそ生まれた自信である。今、LAMP IN TERRENというバンドは、本当に頼もしい。

「今年はアルバム出したいと思ってる!」そう話した松本は無邪気な笑顔を見せていた。その素直な表情にこそ、彼らが今まさに描き始めた未来の眩しさが花開いていた。

Text by 黒澤圭介

Photo 浜野カズシ

セットリスト

1.花と詩人
2.Water Lily
3.New Clothes
4.涙星群の夜
5.Is Everything All Right
6.凡人ダグ
7.at(liberty)
8.Beautiful
9.緑閃光
10.BABY STEP
11.ほむらの果て
12.ホワイトライクミー
13.ワンダーランド
14.Dreams
15.オーバーフロー
16.地球儀
17.メイ
En1.いつものこと(新曲)
En2.キャラバン
W-en.L-R

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