パノラマパナマタウン、メジャーデビューを発表「Goodbye Chaos tour」ファイナル公演ライブレポ

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写真:浜野カズシ

 

パパノラマパナマタウンが10月14日東京・新宿LOFTにて開催されたワンマンツアー「Goodbye Chaos Tour」のファイナル公演にて、2018年新春にA-Sketchからメジャーデビューすることを発表した。以下、ライブレポート。

<ライブレポート>
今年の6月にリリースした「Hello Chaos!!!!」を掲げての東名阪ワンマンツアー、そのファイナル公演が10月14日、新宿LOFTにて開催された。「Hello Chaos!!!!」を掲げて、とは書いたが、バンドで初めて作った曲から未発表の新曲までを披露しながら全19曲をパッショナブルに轟かせていく様は、彼らの現時点での集大成にして新たな始まりを宣言するものだった。

「Hello Chaos!!!!」の冒頭も飾った自己紹介にしてカマす1曲、「PPT」からスタートしたライブ。序盤は岩渕想太(Vo&Gt)のフリーキーなラップとバウンシーなリズム隊、鋭いギターリフがマシンガンのように勢いよく転がるパノパナ印の楽曲群で会場のテンションを一気にアゲていく。<鳴らせ yeah 自由なビート 教科書なんていらないでしょ>、<描け yeah 一度の人生 夢の先だって掴めるはず>と焚き付けるように歌い放つ「リバティーリバティー」、音源にはなってないものの、バンドの原点にして彼らが世の中に出ていく契機となった「ロールプレイング」、陽気な裏打ちのリズムに乗って世に溢れる商業ポップに唾を吐く「エンターテイネント」と矢継ぎ早に浴びせかけた後、グッと重心を低くして攻めた「シェルター」や「Gaffe」など、相手を眼光鋭く見据えるような獰猛なロックバンドとしての側面も覗かせつつ、ヒップホップやガレージロックを自由にミックスしながら息つく間もなくエネルギッシュに、ダイナミックに、フロアを巻き込んでいった。

岩渕が自身の故郷=北九州に広がる過疎化したシャッター街への愛と寂寥を込めて歌い上げるソリッドなロックナンバー「真夜中の虹」、バンドの地元・神戸から東京へと上京する際の心象をも重ねたラブソング「パン屋の帰り」をじっくりと歌い鳴らした後、先日配信リリースした新曲「ラプチャー」を披露。ミドルテンポのマイナーコードに彩られた、シンプルながら静かに激情を募らせていくバンドサウンドに乗って歌われる、<生きたまま 死ぬんじゃねえぞ/心に ラプチャーの光>というシリアスで切なる歌が刺さる。「狂喜、歓喜」という意味の「ラプチャー」という言葉をキーにしたこの曲は、アニメ「十二大戦」のオープニングテーマとして書き下ろした彼らにとって初のタイアップ曲だが、ここで歌われた言葉からは、パノラマパナマタウンがこの1年の間にそれこそChaos=混沌と直面しながらも必死で抗い、自分達の信念を探り出し、試行錯誤しながらも挑戦を繰り返してきた上で、今この先の未来へ向かうための強く確かな意志表示が響いてきた。

終盤は再びアッパーモードへと突入。ダイナミックな四つ打ちでブチ上げる未発表の新曲「フカンショウ」も織り交ぜながら、一直線にクライマックスへと向かう。無鉄砲なまでの奔放さで縦横無尽にエネルギーを放出していくステージは、彼ら自身にとっても未だ未知なる世界に向かって全力で駆けていくような、そんなポジティヴな衝動を感じさせるものだった。本編最後の「MOMO」では、冒頭の歌詞をフリースタイルに変え、そこで2018年新春にメジャーデビューすることを発表。文字通り次なる闘いのステージへと進むバンドの決意を露わにすると同時に、ステージ上もフロアもこの日一番の熱狂を描いてステージを降りた。

アンコールを受けて再び笑顔で姿を現した4人。改めて岩渕の口からメジャーデビューをすることと、その想いが告げられた。少し長いが、その発言を引用しよう。

「俺らは2013年に大学の隅っこのスタジオで組んだバンドで。その時は4人とも楽器初心者だし曲も作ったことなくて、でもただひたすらカッコいい音を鳴らしたくて音を出し合ってて、最初はわけわかんなかったけど、ある時に「ロールプレイング」って曲ができて。俺らはその頃、周りのバンド全部ダサいし、俺らが一番カッコいいもの作ってるっていう根拠のない自信だけはあって、だからその曲をコンテストに出したら絶対に優勝できると思ってて、それで本当に優勝できて、今の事務所に入ることになって。それでバンド一本で生きてくぞって意志を固めて上京して……だけど正直言うと、上京してからは辛かった時期もあった。自分らを曲げそうになったこともあったし、自分らが作ってる音楽ってこんなに届かないんだとも思ったし。それで何回も4人で集まってどんなバンドになりたいか話し合ったんやけど、その4人で話し合うことすら辛いと思った時期も正直あった。ずっと俺らは無敵だぜって思いながらもそういう日々があって……でもメジャーデビューが決まって、気づいたら俺らが大学の片隅で4人だけでいいと思ってた音をいいと思ってくれる人がいっぱいいて、ライブの度に来てくれる人もいて、4人の熱狂がみんなのものになっていってる今があるってことに気づいて………だから俺はウジウジしてらんねぇと思って、そういう混沌とオサラバしたいと思って、今回のツアーを『Goodbye Chaos Tour』って名づけました。だから、俺はここで約束したい。俺ら4人はこの先、絶対にやりたいことを曲げない。そう約束するんで、これからもよろしく」

そんな言葉に続いて披露したのは「odyssey」。彼らが上京するにあたって4人だけのバンドの原風景と未来への想いを綴った、パノラマパナマタウン屈指のリリカルで美しい曲を落ち着いてじっくりと、けれどエモーショナルに歌い鳴らした後、岩渕がフロアへ降りてギターを掻き鳴らした「いい趣味してるね」からの「世界最後になる歌は」で再び全部をぶちまけ、歓喜の中でフィニッシュ。この先に向けた希望に満ちた闘志を力強く響かせ、節目となる一夜を締め括った。

「Goodbye Chaos Tour」ファイナル公演 セットリスト
1. PPT
2.リバティーリバティー
3.ロールプレイング
4.寝正月
5.エンターテイネント
6.シェルター
7.ねぇ、東京
8.Gaffe
9.ホワイトアウト
MC
10.真夜中の虹
11.パン屋の帰り
12.ラプチャー
13.パノラマパナマタウンのテーマ
14.SHINKAICHI
15.フカンショウ
16.MOMO
MC
En1.odyssey
En2.いい趣味しているね
En3.世界最後になる歌は

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