SoundCloud、2013年の業績は損失31億円

コラム All Digital Music

SoundCloud、2013年の業績は損失31億円。成長目指し投資を継続、メジャーレーベル契約や広告強化で収益化も視野に

音楽共有サービスSoundCloudは月間リスナーが1億7,500万人を超えるほど、2007年の設立以来急成長を遂げています。しかし成長スピードに反し、同社の黒字化は難航しています。

2013年度の年次報告書によれば、SoundCloudの売上高は1,120万ユーロ (約15億1,600万円)を計上し、2012年度の800万ユーロから40%も大幅にアップさせました。

一方で、2013年度は2,310万ユーロ (約31億2,700万円)の純損失を計上、これは2012年度の純損失1,240万ユーロの2倍以上に拡大しているのでした。

SoundCloudは報告書の中で

「私たちはSoundCloudを、音を聞いたり、制作して共有できるプラットフォームの市場リーダーに成長させるフェーズにいます。そのためには、テクノロジー、人材、マーケティングへの投資が必要不可欠です。私たちのコストは売上よりも速い速度で増えています」

と述べています。

SoundCloud、2013年の業績は損失31億円

スウェーデン人のアレキサンダー・リュング (Alexander Ljung)とエリック・ウォールフォース (Eric Wahlforss)が設立したSoundCloudは、本拠地のベルリンに加え、ロンドン、サンフランシスコ、ソフィアに拠点を構え、224人の従業員を抱えています。これまでに投資家などから1億2330万ドルの資金を調達しています。

SoundCloudはマネタイゼーション戦略の本格化を目指して、現在メジャーレコード会社とライセンス契約の交渉を進めていると言われています。しかし、先日レポートしたように、交渉は難航しています。またもう一つの収益源確保には、広告戦略を強化しています。SoundCloudはブランド向けに新たな広告プログラムを開始し、Red Bull やジャガー、Comedy Centralなど有名ブランドをパートナーに迎え入れています。レコード・レーベルとのライセンス契約と広告プラットフォームを強化することでSoundCloudはクリエイターや権利関係者へのレベニューシェアや、プレミアムプランなど有料会員向けサービスを強化していくと予想されています。

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SoundCloudはDIYアーティストやトラックメイカーからメジャーレーベル所属のアーティストまでが幅広く音楽プロモーションに活用する音楽共有サービスです。SoundCloudには毎分12時間分のオーディオが投稿されています。「音楽を共有する」意味ではSoundCloudは他のデジタル音楽サービスとは一線を画しています。例えば、これまで定番と思われてきたTwitterやYouTubeの代わりにSoundCloudで新曲をリリースするアーティストも数多く出現しています。この背景には、SoundCloudユーザーのエンゲージメントの高さとソーシャル機能からのバイラルの影響があげられます。

しかしSoundCloudはクリエイターや権利関係者がロイヤリティや売上を満足に受け取るモデルを持ち合わせていません。そのためSoundCloudはメジャーレーベルとのライセンス契約や広告戦略の強化を急いでいます。しかしアーティストの中には、この動きはSoundCloudのクリエイター支援のスタンスを変えてしまうのではと懸念する声を上げる者もいます。

■記事元http://jaykogami.com/2014/10/9517.html


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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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