iTunes Radioがついにスタート&パンドラの著作権使用料訴訟に決着

コラム 高橋裕二の洋楽天国

今週アメリカで、インターネット・ラジオが大きな話題になった。

アップルのiTunes Radioが18日からサービスを開始した。このサービスが他のインターネット・ラジオにどう影響を与えるのかはまだ分からない。しかしながらレコード会社にとっては、iTunes RadioからどのくらいiTunes Storeに移動するのかは大変興味深いだろう。

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インターネット・ラジオの最大手パンドラが音楽著作権の使用料が高すぎるとASCAPを裁判で訴えていた。ASCAPは実演権団体。アメリカには数多くのラジオ局やTV局がある。そこで使われる曲の権利は実演権と呼ばれ、ラジオ局は膨大な数の楽曲を使う場合、いちいち作詞作曲家から許可をとらなければならない。しかし現実的には不可能なので許諾や使用料の徴収を行うASCAPとBMIという2大実演権団体が生まれた。パンドラは音楽著作権の使用料を主にこの2団体に支払う。この2団体とも非営利団体だ。集めた使用料はかかった経費を差し引いて直接作詞作曲家と音楽出版社に分けて支払われる。

今回の裁判でパンドラがASCAPに勝訴した。ポイントは使用料の料率もそうだが、ASCAPが取り扱う音楽出版社の「全部かどうか」という事のようだ。最近ソニー/ATV音楽出版やユニバーサル音楽出版は、ASCAPへデジタルの権利を与えないと決めた。従来のラジオやテレビからの徴収はお願いするが、インターネット・ラジオ等は自分達が直接条件を決めて契約すると。今回の裁判所判断は、音楽出版社がASCAPと契約している以上、全ての楽曲についてパンドラはASCAPと契約しているので使用出来ると。業界誌ビルボードによると、パンドラと直接契約を結んだソニー/ATVでも、パンドラとASCAPの契約がある2015年12月末迄は今回の裁判所の指示に従わなければならないという。

またパンドラは12日に新しい会長兼最高経営責任者にブライアン・マックアンドリュース氏の就任と、その後に新株発行のニュースが流れ、昨日(19日)の株価が、ニューヨーク・ダウが0.26%ダウンしたにもかかわらず、6.67%もアップし上場来高値の27.35ドルで引けた。アップルのiTunes Radioがどう影響したのかは定かではないが。

今週末インターネット・ラジオのiHeartRADIOが今年もラスベガスでフェスティバルを開催する。一昨年(2011年)から始まったミュージック・フェスティバル。今年も9月20日(金曜日)と21日(土曜日)、ラスベガスのMGMグランドで開催される。iHeartRADIOはアメリカのラジオ業界最大手クリアー・チャンネルが運営するインターネット・ラジオ。インターネット・ラジオのリーダーであるパンドラを追撃する為のイベントだ。ポール・マッカートニーやジャスティン・ティンバーレイクも出演する。

ちなみにASCAPとは米国作曲家作詞家出版者協会(American Society of Composers, Authors and Publishers)の略だ。今回の裁判結果、アーティストからは非難の声が上がるだろう。

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