米インターネット・ラジオ公平法、公聴会にパンドラCEOら出席

コラム 高橋裕二の洋楽天国

インターネット・ラジオの最大手パンドラが支持する「インターネット・ラジオ公平法(Internet Radio Fairness Act)」案が米下院司法委員会の委員で提出されようとしているが、今日(28日)ワシントンの上院司法委員会の「知的財産、競争、インターネット」の小委員会で公聴会が開かれる。

パンドラからジョー・ケネディー最高経営責任者、全米放送事業者協会のブルース・リース会長、レコーディング・アカデミーのジミー・ジャム会長、サウンド・エクスチェンジのマイケル・フッペ会長が出席する。全米放送事業者協会はラジオ業界からの意見を、レコーディング・アカデミーは音楽業界の意見を、サウンド・エクスチェンジはデジタル・メディアから音楽使用料を集める公的団体としての意見を述べる。

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アメリカでは音楽(レコード)を使ってビジネスをしても、ラジオ局はレコード会社とアーティストに一銭も使用料を支払わない。作詞作曲家と音楽出版社には著作権使用料は払っている。衛星ラジオ局とケーブル・ラジオ局は売り上げに対して使用料をレコード会社に払っている。パンドラの主張は、パンドラや他のインターネット・ラジオが使用料について、レコード会社への支払いがあまりにも高いから下げてくれというもの。

衛星ラジオ局のシリウスは売り上げの8%をレコード会社に支払っているが、パンドラは売り上げの50%を支払っている。どうしてこういう事になったのか。音楽業界のみならずアメリカではよくある商売のやり方「willing buyer/willing seller」だ。買いたい人と売りたい人が値段を決める。パンドラはビジネスを立ち上げる時にレコード会社に有利な条件を提示し、インターネット・ラジオでの成功を夢みた。レコード会社がどうして50%以上もの使用料を提案し飲ませたかは分からないが。

音楽業界誌ビルボードによるとカリフォルニア大学のジョン・ヴィラシノア教授は、「様々なテクノロジーに様々な使用料率があった。今では多くの人達が、レコードを使ったサービスでこれ程使用料に差がある事はおかしいと思っている」とコメントした。

パンドラによる音楽使用料の公平性(実質は大幅な使用料の縮小)を問う裏には色々ある。特にアップルだ。アップルもインターネット・ラジオ・サービスを始める予定。大手のレコード会社と音楽使用料の件で交渉している。アップルとしてはパンドラの様な驚く程気前のいい使用料を払う気は無い。大手レコード会社には、「パンドラから当社のiTunesに来て買ってもらうよりは、当社のインターネット・ラジオからiTunesに来てもらうほうが消費者にとってはとても便利。iTunesでレコードが売れるのだから安い使用料でお願いします」という事だろう。

この公聴会で何かがすぐ決まるわけではない。下院司法委員会の「インターネット・ラジオ公平法」案も議会に提出されるのは来年(2013年)の事になった。

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