サイモン・フラー、パーロフォン・レコードを買収か

コラム 高橋裕二の洋楽天国

ユニバーサルミュージックがEMIミュージックを買収する条件として、ヨーロッパ地域の日本で言う独占禁止法に抵触する為、EMIミュージック傘下のパーロフォン・レコード他を切り売りしなければならなくなった。パーロフォンはビートルズの故郷だが、ユニバーサルミュージックはビートルズとそのソロ・アルバムを確保して、残りのパーロフォンを売りに出した。業界誌ヒッツがうごめく噂話を伝えている。

先週の金曜日(10月5日)、そのパーロフォン・レコードを買収したいとサイモン・フラーが明らかにした。サイモン・フラーは元スパイス・ガールズのマネージャー。今はオーデション番組「アメリカン・アイドル」のプロデューサー。アメリカン・アイドルの優勝者達のレコードを発売する「19エンターテインメント」のオーナーとして巨万の富を得た。「19エンターテインメント」はケリー・クラークソン、ジェニファー・ハドソン、キャリー・アンダーウッド、アダム・ランバート、スコッティー・マクリーリーやオリアンティの原盤権を持つ。

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業界誌ヒッツによるとサイモン・フラーはアイランド・レコードの創業者クリス・ブラックウェルや投資ファンドとチームを組んで買収するという。クリス・ブラックウェルはアイランド・レコードを起こし、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマーやボブ・マーリーを世に送り出した。今回の買収案件にはクリス・ブラックウェルのライバルだったクリサリス・レコードも含まれる。ジェスロ・タル、プロコル・ハルム、キャット・スティーブンス他良質なロック・アルバムが多数ある。

一方EMIミュージック買収に破れたワーナーミュージックは何が何でもパーロフォンを取りに行くと音楽業界関係者は見ている。ワーナーミュージックはヨーロッパの市場で弱い。パーロフォンがあれば市場占有率を確実に高める事が出来る。ドイツの音楽出版社BMGライツ・マネージメントも買収に参入する。ソニーミュージックはパーロフォンがバーゲン・セールされたら交渉を始めるくらいだろうとヒッツは書いた。

欧州委員会やアメリカの連邦取引委員会はパーロフォン他のEMIミュージックが切り売りするレーベルは6ヶ月以内に売却しなさいとしている。業界誌ハリウッド・レポーターによると、年内の遅い時期(11月か12月)にユニバーサルミュージックは売却先に価格の打診する。交渉がまとまるのは来年(2013年)の春だそうだ。パーロフォン・レコード所属のコールドプレイが怒るわけもわかる。

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