米ビルボードが音楽業界人パワー度ランキングを発表

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音楽業界誌ビルボードが1月28日にアメリカ音楽業界人のパワー度をランキングにして発表した。ビルボード誌によると、社内で15人の編集者が、売り上げやマーケット・シェア、ビルボードのレコード売り上げデータやコンサート収入等でランクを決定したそうだ。ランキングは100位まであるが、ここでは10位までを紹介する。

驚くに値しないかもしれないが、レコード会社のトップより興行やマネージメントの経営責任者が上位に入った。

1位) アーヴィン・エイゾフ(ライブ・ネイション・エンターテイメント会長)
興行最大手ライブ・ネイションの会長であり、アーティスト・マネージメントの最有力会社フロント・ライン・マネージメント・グループの会長兼最高経営責任者。イーグルスのマネージャーとして頭角を現した。フロント・ライン・マネージメント・グループにはイーグルスの他にクリスティーヌ・アギレラ、ニール・ダイアモンド、ヴァン・ヘイレン、ジャーニー他約200程のアーティストがいる。最近オーディション番組「Xファクター」のクリス・ルネと契約した。

ライブ・ネイション・エンターテイメントは世界最大の興行会社であり、数多くのホールや施設を管理し、コンサートやイベントのチケット販売を行っている。マドンナが360度契約をしたのもこの会社だ。

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2位) コーラン・キャプショウ(レッド・ライト・マネージメント共同創業者)
1991年にデイヴ・マシューズ・バンドとレッド・ライト・マネージメントを立ち上げた。アーティスト・マネージメント会社としてフェイス・ヒル、ティム・マッグロウ、アリシア・キーズ、エイモス・リーやチープ・トリック他約100アーティストが在籍する。レコード会社も所有し、TBDレコードにはレディオヘッド他が、ATOレコードにはマイ・モーニング・ジャケット他が在籍する。

3位) ルシアン・グレンジ(ユニバーサルミュージック・グループ会長兼最高経営責任者)
2010年、ユニバーサルの親会社であるヴィヴェンディによってダグ・モリスの後任となった。結果ダグ・モリスはユニバーサルミュージックから追い出されることになる。ルシアンはその前まではユニバーサルミュージックの国際部門の最高経営責任者だった。コスト・カッターとして評価され、今回のEMIミュージックのレコード部門買収も高いポイントになったようだ。

4位) マーティン・バンディアー(ソニー/ATV音楽出版会長兼最高経営責任者)
音楽出版(著作権)業界の大ベテラン。友達と作った音楽出版社SBKをEMI音楽出版に売り、EMI音楽出版では約18年間もトップを務め、2007年にソニー/ATV音楽出版の最高経営責任者になる。今回ソニー・チームがEMI音楽出版を買収したことによりソニー/ATVは世界最大の音楽出版社になった。

5位) ダグ・モリス(ソニーミュージック・エンターテイメント最高経営責任者)
伝説のレコード・マン。1980年ワーナーミュージック傘下のアトランティック・レコードの社長になり、1995年MCAレコードの社長に就任。MCAレコードがユニバーサルミュージックに買収されたためその後ユニバーサルミュージックの最高経営責任者に収まる。昨年(2011年)ソニーミュージックの最高経営責任者に迎えられた。ユニバーサルで部下だったL.A.リードを引き抜いた。L.A.リードは「Xファクター」出身アーティスト達で大暴れしそうだ。

6位) マイケル・ラピーノ(ライブ・ネイション・エンターテイメント最高経営責任者)
アメリカの巨大ラジオ・メディア、クリアー・チャンネルの国際部門にいた。2005年に興行最大手のライブ・ネイションの社長兼最高経営責任者に就任。ライブ・ネイションとチケット販売最大手のチケットマスターの合併に大きな力を発揮した。合併の結果、新しい「ライブ・ネイション・エンターテイメント」の最高経営責任者となった。

7位) ロブ・ライト(クリエイティヴ・アーティスツ・エイジェンシーのマネージング・パートナー)
タレントやアーティストの代理業務を行うアメリカで最大手のエージェンシー。映画関係で有名だが音楽でも数多くのアーティストやミュージシャンを抱える。ロブ・ライトは音楽関係の責任者で、ボン・ジョビやブルース・スプリングスティーン、レディオヘッドやケイティ・ペリー他900ものクライアントがいる。

8位) レン・ブラバトニク(ワーナーミュージック・グループのオーナー)
昨年(2011年)音楽業界で最も有名になった人物。ウクライナ人で、ロシアで石油事業が大成功を収めた。昨年彼のアクセス・インダストリーズがワーナーミュージックを買収した。EMIミュージックも買収して業界3位になろうとしたが失敗に終わった。会長だったエドガー・ブロンフマンは追い出され、代わりにリオ・コーエンが会長兼最高経営責任者になったが、ビルボード誌によると全ての権限はレン・ブラバトニクが握っているそうだ。

9位) ティム・レイウェケ(アンシュルツ・エンターテイメント・グループ社長兼最高経営責任者)
略してAEGと呼ばれている。マイケル・ジャクソンのThis Is It興行を企画した、ライブ・ネイションと並ぶ興行最大手。ボン・ジョビやテイラー・スウィフト他のツアーを手がけ、近未来に実現するであろうローリング・ストーンズのツアーに手を挙げている。ロサンゼルスのステイプルズ・センターやロンドンのO2等の施設の運営やコーチェラ・フェスティバル他のイベントのプロデュースも行っている。

10位) ジミー・イオヴァイン(インタースコープ・レコード共同創業者)
ユニバーサルミュージック傘下のインタースコープ・レコード。レディー・ガガやエミネム、U2やクインシー・ジョーンズを抱える。最近はLMFAOの「パーティー・ロック・アンセム」が大ヒットした。アメリカのレコード業界で最も音楽が分かる最高経営責任者と言われている。昨年(2011年)からはアメリカン・アイドルの出場者の指導も行っている。最近マドンナのアルバム発売でライブ・ネイションと契約した。

100位中アーティストで最高位はジェイ・Zとビヨンセの抱き合わせが13位。大暴れしそうなL.A.リードはまだ37位。故マイケル・ジャクソンの弁護士ジョン・ブランカは72位。全体に弁護士のパワー度は低い。レディー・ガガは84位、「Xファクター」のサイモン・コーウェルはぎりぎりの100位だった。

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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