補聴器メーカーのオーティコン、補聴器「モア」シリーズにて音楽体験を72%向上させる新プログラムをリリース

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補聴器での音楽体験を72%向上させる新プログラムを発表

110余年の歴史を持つ補聴器メーカーであるオーティコン補聴器は、2021年2月に発売した世界初(2020年11月末時点)となる人工知能(補聴器専用DNN)を搭載した補聴器、オーティコン モア(Oticon More)において、補聴器での音楽体験を72%向上させる新音楽プログラム「Oticon MyMusic(オーティコン マイミュージック)」を9月21日にリリースする。様々なタイプの難聴を持つ音楽愛好家と共同で開発されたMyMusicは、生演奏からストリーミング音楽まであらゆる場面で補聴器ユーザーに優れた音楽体験を実現する。

補聴器で音楽を楽しむために、これまでも様々な取り組みがなされてきた。しかし、音楽は、会話音声と比較して周波数範囲と音の強弱の変化がはるかに大きく、急激な音の変化も含まれる。そのため音楽を処理するには、会話音の聞き取りに焦点をあてた従来の音声処理では対応が難しいことがあった。

図1:人間の可聴域の周波数-強度を音声と音楽の領域にプロットして視覚化したもの。画像はLimb(2010)より引用

会話の聞き取りに最適化された補聴器では、楽曲が持つダイナミクス(強・弱)をそのままに再現することは困難だった。騒音やハウリングを抑えことばの聞き取りを高める機能が、楽器の音に反応し予期せぬ音の抑制につながることもあったという。これは会話や社会的活動の上では最適化された信号処理方法でも、自然な音楽体験に必ずしも適するとは限らないことを示している。

これまでも補聴器のための音楽用プログラムはあったが、オーティコン モアでの技術革新を基に、長年にわたる音楽と聴覚の研究成果、近年発表された補聴器を音楽のために調整する際の一般的な推奨事項、さらに高度なハイファイ音響機器(ハイファイ・オーディオ)開発の現場で広く採用されている手法などを加味し、新たな視点からMyMusicの開発に取り組んだとのこと。

MyMusicの開発では、難聴者が日常的に接する音楽について、3つのシーンに分類し評価テストを行った。

  • シーン1「ライブ音楽」:コーラスやロックの生コンサートの臨場感を再現
  • シーン2「ステレオ音楽」:ステレオスピーカーからクラシックやポップ音楽が流れる一般的な自宅での音楽鑑賞を再現
  • シーン3「ストリーミング音楽」:電車の中やカフェなど、にぎやかな環境下でiPhoneから補聴器への直接ストリーミングされた音楽やポッドキャストを聴く場面を再現

3つのシーンでの音楽の聞き取りにおいてMyMusicは、従来の音楽プラグラムと比較して、72%高い評価を得たという。

MyMusicを含む補聴器プログラムの設定は補聴器販売店、クリニックなどで、補聴器専門家による設定が必要だ。補聴器プログラムは、補聴器本体、リモートコントロール、スマートフォンの「オーティコンONアプリ」などの併用で、必要なタイミングで切り替えることができる。

補聴器をアプリで操作

オーティコンは、新たな音楽プログラムMyMusicの発表とともに、多くの補聴器ユーザーに音楽体験を体感してもらうべく、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団前コンサートマスター、ダニエル・ゲーデ氏率いる「メランデ・ピアノ三重奏団」を迎え、11月5日19:00〜から開催の「みみともチャリティコンサート」のオンライン配信へ招待する。申込みは、9月22日公開予定の専用ページで案内される。または、購入した販売店を通じても申込みできるとのこと。

オーティコン補聴器 プレジデント 木下 聡氏コメント

補聴器で音楽の自然な音色や豊かな音を楽しむことは、様々な取り組みがあったにもかかわらず、まだ解決できていない課題の一つでした。MyMusicの登場で、Oticon Moreのユーザーは、ライブやご自宅のオーディオ機器で、またストリーミングでも上質な音楽を体感いただけるようになります。人はなぜ音楽を聴くのでしょうか、いくつかの研究では、心を和らげリラックスするためだけではなく、感情のコントロールに音楽を活用する人が多いことが示されています。また、音楽は人間の幸福に欠かせないアイデンティティ(自己同一性)や社会への帰属意識にも影響を与えることが明らかになっています。*7 オーティコンでは、聞こえの問題にとらわれることなく音楽を楽しむ機会の創出にも取り組んでいます。

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