音楽関係6団体が「無許諾音楽アプリ」に関する利用実態調査報告書を公表、推計利用者数246万人の内10代と20代が約8割を占める

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日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽出版社協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽著作権協会、コンサートプロモーターズ協会の音楽関係6団体は9月15日、「無許諾音楽アプリ」に関する利用実態調査報告書を公表した。

アーティストなど権利者が想定しない態様による音楽配信を可能とする「無許諾音楽アプリ」の利用実態を明らかにすることを目的として「無許諾音楽アプリ実態調査委員会」を本年1月に立ち上げ、検討を行ってきたが、今回、調査結果を報告書として取りまとめた。

なお、今回の実態調査は、2020年3月時点の利用実態動向であり、その後のコロナ禍による生活様式や環境の変化がもたらす影響については把握がなされておらず、ネットの利用時間が増えれば、また異なる利用実態が存在するとしている。

また、利用者の利用動向や利用意識の実態からは「MusicFM」や「MusicBox」などの「無許諾音楽アプリ」の出現により「音楽は無料」という環境に慣れた利用者たち、とりわけ若年層では「無許諾音楽アプリ」を繰り返し利用することにより、音楽の購入や利用に対する支出やアーティストに還元する慣習や意識そのものを認識せず、音楽に触れている可能性があるとし、これらの健全化が図れないままであれば、この「無許諾音楽アプリ」を利用する利用者は今後も確実に増加することが想定され、それによる被害は確実に肥大化し、より深刻化すると危惧している。

そこで、音楽業界にとってこの事態そのものが被害や損失を超えた音楽市場の滅失に繋がることを再認識し、そのような市場の崩壊を防ぐため、海賊版リーチサイト・アプリ規制を盛り込んだ改正著作権法の施行と、適法な情報流通にも配慮した適切な運用による事態の早期の打開が望まれるとしている。

同時に、そのようなアプリの拡散を防ぐためアプリストアにおける対策を強化することや、より一層の実態把握に向けたアプリストアと音楽業界の協力関係の構築などにより、配布の事前防止策を講じるなどで音楽を取り巻く環境の健全化が早急に図られることが重要とし、音楽業界やプラットフォーム事業者など関係者による利用者への周知啓発や、特に若年層の利用者がより合法的に音楽に触れやすいビジネスモデルの構築などが進められ、デジタル環境で音楽業界が継続的に発展していくための環境整備が行われることが必要としている。

「無許諾音楽アプリ」利用実態 概要

  • 「無許諾音楽アプリ」の推計利用者数は246万人と、人口の2%。この内、10代と20代の合計は約194万人で、全体の78.7%を占める

 

  • 「無許諾音楽アプリ」による楽曲の推計年間再生回数は115億回。2013年からの累計再生回数は478億回にのぼる
    1日あたりの楽曲再生回数は「平日12.25回」「休日13.75回」

1日あたりの平均視聴時間(平日約49分、休日約55分)から、1楽曲4分換算で年間総再生回数を算出。

  • 「無許諾音楽アプリ」の収益が「アーティストなど権利者に還元されていないと知りながらも使い続ける」と回答した人は86.2% に及び、全体の6割超が「気になりながらも使い続ける」と回答

※各数値は小数点第1位を四捨五入しているため、必ずしも合計値と一致しない

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