[海外] デジタル音楽サービスがはらむ問題 〜 偏るアーティストへの収益
ロング・テールの終わり:スーパースター音楽経済
世界の音楽産業を分析するブログ「music industry blog」は、音楽コンテンツマーケットシェアの77%は、全アーティストのうちたった1%が占有しているという記事を発表した。
イギリスのコンサルティングファーム「MIDiA Consulting」の『ロング・テールの終わり:スーパースター音楽経済』というレポートを元にしたこの記事。2000年から2013年にかけて、世界的に音楽コンテンツにおけるアーティストの収入は3.8億ドルから2.8億ドルへと落ち込む一方、その全体におけるアーティスト収入の占める割合は14%から17%に増加しているという。
デジタル音楽革命によって、消費者はあらゆる音楽作品へのアクセスが容易になり、スーパースター(トップアーティスト)へのマーケットの偏りはロングテール効果で緩和されることが期待された。だが現実は、消費者はそれに即した行動をとることはなく、デジタル化が進むにつれ、偏りはより顕著になっていると述べている。

img via The Death of the Long Tail — music industry blog
実際、マーケットではトップ1%のアーティストは、2013年においてもCDで75%を占め、サブスクリプションにおいても79%を占めている。

img via The Death of the Long Tail — music industry blog
このような状況の原因として、デジタル機器(特にモバイルデバイス)のトップページの情報量の限度の問題と、選択肢過多の問題の二つをあげている。
「スーパースター音楽経済」は常に存在し続けてきたとする筆者、昨今のストリーミングサービスのカタログ拡充競争は問題をより悪化させることであり、偏りを改善するにはプレイリストなどデジタル音楽サービスにおけるカタログの取り扱いに工夫が必要であると指摘している。(Jiro Honda)
■music industry blog:http://musicindustryblog.wordpress.com/
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