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TiDE、和久井沙良、SUKISHAが奏でた、驚きと幸せに満ちた極上アンサンブルーー『T.B.O presents #長堀界隈 ver1214』レポート

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『T.B.O presents #長堀界隈 ver1214』2025.12.14(SUN)大阪・CONPASS

2025年最後の界隈シリーズである『T.B.O presents #長堀界隈 ver1214』が、心斎橋・CONPASSで行われた。才能豊かで上質な音楽を鳴らす若手アーティストをブッキングし続けてきた、主催の夢番地・大野氏。今回集ったのは、TiDE、和久井沙良、SUKISHAの3組だ。今年の締め括りにふさわしい極上アンサンブルに心満たされ虜になった一夜であり、今年3月20日(金祝)に開催される『梅田界隈 THE CIRCUIT ’26』にも繋がる希望の日となった。

TiDE

トップバッターで会場の熱をぐんと引き上げたのはTiDE(タイド)。2023年に東京で結成された、井上大悟(Vo.Gt)、しょにー(Gt)、小宮紹滉(Ba)、小島祥平(Dr)からなる4人組バンドで、大阪でのライブはこの日が3回目だ。

まずはサポートにキーボードを迎えた5人編成で「Day Trip」「Dawn」とシームレスに楽曲を披露したのだが、SEからの一連の流れが計算されたように滑らかなひとつなぎで、心地良いリズムにロックオンされて自然に身体が動いてしまう。フロントに一列に並ぶ4人の佇まいとプレイはあまりにスタイリッシュで、演奏力の高さとハイセンスぶりを見せつけられた。アーバンな「Rise」は楽曲の展開が多く、ヒップホップ、ロック、ソウルとジャンルをクロスオーバーしてメリハリを生み出していく。

井上が「TiDEです。『長堀界隈』呼んでいただきありがとうございます」と軽く挨拶し、「リラックスできる曲を1曲」と述べて、ここからはパーカッションも加わった6人編成でミドルナンバー「ほとり」を演奏する。井上の表現力の幅広さにも脱帽しつつ、ただ心地良い音に包まれて酔いしれた。ファンクバージョンで披露された「nostalgia」では、小宮と小島による鉄壁のボトムラインの上に、しょにーの派手ではないがしっかりわななくソロが重なり、アクセントをきかせていた。

フロアから贈られた拍手を浴びて井上は「あたたかいお客さん。非常に楽しくやらせてもらってます」と嬉しそうにはにかみ、昨年12月3日に3rd EP「胎動」をリリースしたことをアナウンス。「結成して2年半、僕らも徐々に自分たちの核となるものが見えてきた」ということでバンド名と韻を踏んだタイトルを付けた、とEPへの想いと自信を伝え、ラスト3曲はEPに収録された曲たちを惜しげもなくぶつけていった。

ハンドマイクで歌声を響かせたリードトラック「Airo」、切ないメロディーとソウルフルで気怠げな歌声が沁みる「やさぐれ」に続き、ラストチューン「祝祭」では「皆さんでこの場に祭りを巻き起こしたい」とフロアに呼びかける。井上がアカペラで<さあ今祝祭をあげよう>と声を張り上げ、やがてバンドがジョインすると音圧が一気にアップ。中盤では<ラララ……>とシンガロングでひとつに。後半はよりパーカッシブに、土着的で民族的なサウンドの渦の中にフロアごと巻き込んでいった。

和久井沙良 with Shunsuke Uehara

和久井沙良(Vo.Key)は、盟友・上原俊亮(Dr)とのデュオで登場。ステージの端と端で向かい合うような格好でスタンバイすると、まだ音源化前の楽曲「moon」からライブの幕を開けた。静かにゆっくりと奏でられた2人のサウンドは重なり、絡み合いながらじわじわとパワーを増し、テンポも加速する。2人とも手数がめちゃくちゃ多いのだが、あまりにもさらりと鳴らすため、見ているこちらがバグを起こしそうになってしまう。もはや上原は目を閉じてドラムを叩いている。それなのに息ぴったりなのだから本当にすごい。即興のようにも見えるが、目を閉じても演奏できるくらい、複雑な展開が完全に頭に入っているということなのだろう。初期の頃からの付き合いである2人の盤石の信頼関係が可視化された瞬間でもあった。和久井も気持良さそうに上を向いたり、いたずらっぽい笑顔を浮かべ、心底楽しそうに鍵盤をはじく。続く「Beat Birds」はライブアレンジも入れながら、優しくもパワフルにプレイ。初見とおぼしきオーディエンスも「これは只者ではないぞ……」と理解して2人の演奏に釘付けになっていた。

MCで和久井が「大阪、ついに来ました!」と挨拶すると「最高!」とフロアから歓声が飛ぶ。「これでもかというほど2025をぶちまけていくので、皆さんも負けずについてきてください!」と気合いを見せて、「QREA」「Deformare」をアグレッシブに解き放つ。可憐に跳ねる高音、燃えるような情熱、高揚感、強烈なメリハリ。描かれるサウンドスケープも物語のように目まぐるしく変化する。

ここまではインストでシンセサウンドをメインに楽曲を披露してきたが、「Rust」は和久井がボーカルをとる。ドラマチックな照明の中で聴こえてくる、透き通る歌声とピアノ然とした美しい旋律。曲の後半は上原のドラムも躍動し、あたたかな余韻が会場に染み渡った。

早いもので「次で最後の曲です!」の声にオーディエンスは「えー」と惜しむ声をあげる。和久井は「皆さん楽しんでくれましたか? また大阪にも来たいなと思いました」と述べて、「tietie」をハイスピードで叩き込んだ。ダイナミックかつ繊細な和久井の妙が光り輝き、ラストは思い切りフィニッシュ! 大喝采の中一度ステージをはけたものの、持ち時間を勘違いしていたようで「あと1曲いけるって!」と再びステージに飛び込み、昨年10月にリリースされたアルバム『The Little Cycle』にも収録されている「Bulldozer」で圧倒した。最後まで息ぴったり、圧巻のパフォーマンスで魅せてくれた和久井と上原だった。

SUKISHA

トリを飾るのはSUKISHA。東京を拠点に活動するシンガーでトラックメイカーのHiroyuki Ikezawaによるソロプロジェクトが、昨年9月ぶりに大阪にカムバック。この日の出演者の中では最もメンバーの数が多い7人編成。サポートメンバーの山近拓音(Dr)、吉田雄也(Ba)、Kohei Shimizu(Gt)、小野ヒロフミ(Gt)、Yukiko Yamamoto(Key)、Misa Misaki(Cho)とSUKISHA(Vo.Key)がスタンバイし、板付き状態でライブをスタートした。

1曲目はバンドに漂う朗らかな空気を体現したような「Sunshine」。爽やかなメロディーと歌声、分厚いアンサンブルが会場を包み込んでいくと、SUKISHAは「今年最後の大阪なもんで、全力で歌って踊って弾いて帰るんで、皆さんも楽しんで帰ってください!」と挨拶し、軽快に「Baby Baby Baby」を投下。Yamamotoのキーボードソロが心地良く指先から繰り出されていく。たっぷりとした音の波に身を任せ、オーディエンスもダンス。ゴキゲンに一体感を増していった。

MCでは「今年2度目の大阪、バンドメンバーを引き連れてやってまいりました」と『長堀界隈』出演のキッカケを明かす。9月にCONPASSで行われたワンマンライブ『Art of Tiny Miracles』を観た大野氏がSUKISHAに惚れ込み、ラブコールをして今回の出演が実現したそう。「最後まで残って楽しくワイワイやってくれるリスナーの皆さんに深い敬意を表し、大きな感謝を伝えたいと思います!」と、SUKISHAの人柄と仲間の絆が伝わるMCで和ませると、コーラスのMisakiがボーカルを担った「Rainbow Town」、<大阪で楽しく遊ぶコツを>と歌詞を変えて歌った「おうちであそぼう」とヒップホップ色の強いナンバーを連投。さらに少しスロウな「不確かな夜」でハイトーンボーカルを響かせ、ライブならではのムーディーな空気を醸成していった。

約7分にも及ぶ「Treasure Hunter」では、小野の超絶ギターテクが炸裂。特に長尺のソロプレイの細やかで伸びやかな音色はすさまじい。さらにSUKISHAのキーボードと山近のビートが絡み合い、その心地良さにじわじわと境界が溶けていく。没入空間に誘われた後は、ラストチューン「釈迦の手のひら」でとびきりエモーショナルに染め上げた。

充実の表情を浮かべたSUKISHAは「楽しくなっちゃって、もう1曲やらせてください。イタリアンで“食後酒”という意味です。気持良くクッといって、ああ良い1日だったという感じで終わりましょう」と急遽「Grappa!!」を追加! メンバー全員のソロ回しも贅沢で、<踊りましょう 祝いましょう>とこの場所に喜びをもたらすように、グルーヴィーでソウルフルであたたかなサウンドを奏でたのだった。

こうして2025年最後の『長堀界隈』は最高にハピネスな空気で大団円を迎えた。3月20日(金・祝)に開催される『梅田界隈 THE CIRCUIT ’26』には、TiDEの出演も決まっている。当日の開催を楽しみに待とう。

取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供

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「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。

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