Rei
Rei 10th Anniversary Acoustic Tour 2025 “Mahogany Girl”
2026.1.21 東京ヒューリックホール
2025年2月に、Reiはデビュー10周年を迎えた。10年という大きな節目を祝おうと、昨年はデビュー10周年を記念したベスト・アルバム『FRUIT』を制作。この作品を手に彼女は、『Reiny Friday-Rei & Friends-』と題した、アーティスト仲間を呼び入れたRei企画ワンマンライブ、『Rei 10th Anniversary Acoustic Tour 2025 “Mahogany Girl”』と命名した、ギター1本を手にした単独ツアー、そして、バンド編成による『Rei 10th Anniversary Tour 2025 “TUTTI FRUTTI”』と、立て続けにワンマンライブを行ってきた。本当なら、すべて年内で終え、あとは、3月7日と8日にTHEATER MILANO-Zaで行う『10th Anniversary Final “Rei at THEATER MILANO-Za”』公演を持って、10周年企画の最後を華々しく飾ることになっていたが…。
2025年10月に愛知県と東京で予定されていた『10th Anniversary Acoustic Tour 2025 “Mahogany Girl”』が、不測の事態により延期に。その振替公演を、Reiは1月に行った。ここでは、1月21日に東京ヒューリックホールで行われた、同公演の模様をお伝えしたい。
ステージの背景には、Reiの相棒のギターたちがズラっと並べられていた。彼女は、曲の表情に合わせてパートナーを持ち替え、その曲に似合う音色で、楽曲に命を吹き込んでいた。Reiにとって歌詞やメロディーが気持ちを伝える手段なら、ギターは、その気持ちを具現化し彩る血肉になる。どちらも、欠けては成立しない大切な存在だ。
ライブは、自身のアイデンティティーを言葉にした「ORIGINALS」から始まった。跳ねるように、いや、軽妙にステップを踏みながら踊るようなギターの演奏に乗せて、Reiが軽やかに、でも、秘めた情熱を少しずつ解き放つように歌い出した。いく筋ものスポットライトが照らす中、彼女は、ゆっくりと熱を帯びるように歌声や演奏を届けていく。
序盤のブロックの特色が、Reiのルーツとなるブルーズな音楽を、少しずつ色濃く表出していくところにあった。続く「JUMP」では、いつもの編成なら、観客たちもReiの歌う「JUMP JUMP」の声に合わせて飛び跳ねるところだが、今宵は弾き語りスタイルという理由もあり、大勢の人たちが彼女の演奏に合わせてクラップをしながら、身体を揺らし楽しんでいた。とはいえ、「JUMP」の演奏をきっかけに、Rei自身がグルーヴを力強く描き出したこともあって、騒ぐ気持ちをダイレクトにぶつける彼女の歌声に、同じように感情を揺さぶられていた。むしろそれが、心や身体を踊らせる合図だった。「1.2.3!!」の掛け声を合図に勢いよくぶつけた「COCOA」では、切れ味鋭いギターの音を高速でカッティングしながら、観客たちの身体にしなるビートを突き刺してきた。曲が進むにつれて音の圧が増していく。Reiが大きく手を振るのを合図に、観客たちが振り上げた手をずっと左右に振っていた姿も印象的だった。
生々しい音に胸が踊った「B.U.」では、自らドラムのキックを鳴らしてビートを作った上で、ボトルネックも巧みに用いてホンキートンクでブルーズな歌や演奏を披露。泥臭く見えて、カラッと晴れた演奏を響かせるところがReiらしい。その勢いを増すように「RUN, RUN, RUN」では、力強くギターをストロークする音が気持ちを加速させるアクセルになり、自身はもちろん、観客たちのテンションもグングン上げていった。場内中から熱いクラップが起きていたように、じっとしているのがもどかしいくらいに気持ちが沸き立っていた。
次のブロックでReiは、椅子に座り、アコギを抱えて演奏。弦を優しく爪弾きながら歌った「eutopia」では、ふわふわっとした温かい歌声や音色に触れながら、胸の内でいろんな思いを巡らせていた。続く「Smile!」では、太陽の日射しのように煌めくキラキラな音色の数々を、彼女は観客たちの身体へと降り注いでいった。曲が進むほどに心が煌き出し、誰もが笑顔を浮かべ、Reiの姿を見つめていた。煌めいた気持ちを優しく弾ませるよう歌い奏でた「Don’t Mind Baby」では、ゆったりとした、でもおおらかな歌声や温かい演奏に乗せて、今度は観客たちを明るい日射しが降り注ぐ外へと連れ出した。曲が進むごとに次第にテンポを上げ、気持ちを踊らせてくれたのが嬉しい。
Bee Geesの「How Deep is Your Love」のカバーでは、原曲の良さを生かしつつも、どこかけだるさも見せながら、彼女の気持ちが揺れ惑うままの呼吸で歌や演奏を届けていたのが印象的だった。続く、リズムマシンも用いたインストナンバーの「So?」では、テンガロンハットをかぶったReiが、この場に爽やかな南国の音の風を吹かせてくれた。
後半のブロックは、歌謡+ロックンロールな演奏に乗せ、観客たちをワイルドな姿で攻めた「Lonely Dance Club」から。少し奔放な女性に気持ちを染め上げ、Reiがギターを掻き鳴らし、高らかに歌う。その姿に興奮を覚えた観客たちも熱いクラップをぶつけ出す。この場に生まれた熱をさらに上げるように、Reiはホンキートンクでブルーズな「Route246」を歌い奏で、この場をカラッとした青空の広がるハイウェイの景色に染め上げ、観客たちをドライブへ誘い出した。ギターの音を繰り出すたびに、その演奏がアクセルになって気持ちを加速させる。じっとしているのがもどかしい。そんな観客たちの気持ちを揺さぶるように演奏した「Good Job!」では、高ぶる気持ちで「GOOD GOOD~」と歌うReiとシンクロするように、場内のあちこちで親指をピンと立てたGood Job!のポーズをしながら、一緒に気分を上げていた。
力強いドラムのキック音に乗せて、早口で言葉をぶつけるように歌った「Heaven」からは、Reiの煽りもあって、椅子に座っているのにもどかしさを覚えていた観客たちが一斉に立ち上がり、身体を揺さぶりだした。そこへぶつけてきたのが、ハード&ロックンロールな「What Do You Want?」だもの。これまでのもどかしさをすべて解き放つように、観客たち自身がアクションを起こし、Reiと一緒に「What Do You Want ?」と歌いながら、心を思いきり開放していった。
最初のアンコール曲となったソリッド&スリリングなビートも刺激的な「BLACK BANANA」でも、Reiと観客たちが「BANANANANANANA」と一緒に歌いながら、本編の続きを楽しむように、ノリノリの景色を作り上げた。そして…。
2回目のアンコールでReiはクラシックギターを手に、最後に、一人ひとりの心に音の木漏れ日を差すように「Sunburst」を穏やかに、温かく奏で、熱を抱いた観客たちの心を優しく包み込んでいった。
たった一人とは思えない、曲に合わせて表情豊かな姿と強い存在感を示してくれたRei。この勢いを持って3月7日と8日にTHEATER MILANO-Zaで行われる『10th Anniversary Final “Rei at THEATER MILANO-Za”』公演が、ますます楽しみになってきた。
Text by 長澤智典
Photo by 上飯坂一

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