公演初日のオフィシャルレポートが到着「MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2025」
2025年12月5日(金)~7日(日)まで「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2025(MJFJ 2025)」が開催された。
1967年からスイスで行われている「モントルー・ジャズ・フェスティバル(MJF)」のスピリットを継承した日本版大型ジャズ・フェスの2025年は“An Opening Night”と題した5日のステージからスタートし、翌日の“JAPAN ARTISTS EVE SHOW”を経て、今年4月に85歳を迎えたジャズ・ピアニスト、ハービー・ハンコックが大トリを務めるメイン・ステージの7日へと続く3日間。多彩な出演アーティストがそれぞれの個性で白熱のパフォーマンスを展開し、オーディエンスも大興奮となったMJFJ 2025の模様を2回に分けてリポートする。
まずは、12月5日(金)に行われた100名限定のスペシャルな“An Opening Night”から!
会場となった東京・南青山にある円形ホールが人気のsong & supper<BAROOM(バルーム)>のステージに登場した最初のバンドはスイス・ジュネーヴ出身の“L’Osmose(ロスモス)”だった。彼らは2024年に行われたMJFレジデンシー(次世代アーティストの育成と交流を目的としたプラットフォーム)に出演し、見事、オーディエンス・アワード(観客賞)を受賞した新進気鋭のオルタナティヴ・バンド。
結成は2020年、すでにヨーロッパ各地でツアーを成功させている6人組の彼らが披露したナンバーは、昨年リリースしたデビュー・アルバム『Maggiore 800』と今年11月に発表したばかりのセカンド・アルバム『First Dog』からの厳選曲で、初来日ステージに相応しい名刺代わりといえるラインナップ。
1曲目の「IN PARADISE」からメンバー全員が上半身を激しく前後に揺らし、各楽器から独創的なサウンドを大放出していく!エレキギター、ベース、パーカッション、アナログ・シンセサイザー、ボコーダーなどを駆使しながら、ジャズやサイケデリック・ロック、フォーク&エスニック・ミュージックといった多彩な音楽要素をミックスし、オリジナリティ溢れる世界をパワフルに創り上げ、観客を壮大なフィールドにナビゲート。無国籍なリズムや心に残るメロディ、時折、懐かしさを漂わせた瞬間に観客は釘付けだ。ほとんどのオーディエンスがこの日、初めてL’Osmoseのパフォーマンスを体感したはずだが、そこに居た誰もがみな、熱い拍手を送っていた。
続いては、既成の枠を飛び越え、独自の道を進みながら唯一無二の歌唱とピアノ・プレイで幅広い層のファンを魅了しているシンガー・ソングライター、さかいゆうの登場だ。彼のスキャットとピアノがスタートを告げ、いきなり、空気が一転した会場内。浮遊したヴォイスが次第に言葉を持ち「桜の闇のシナトラ」へと発展していく。起伏に富んだ歌声、ドラマーの望月敬史と綴る力強く厚みのある音と強烈なリズムがクレッシェンドし、1曲目からクライマックス状態だ。勢いそのままに“モントルー・ジャズ!”と叫んださかいはメジャー・デビュー曲「ストーリー」から2008年リリースのシングル「SHIBUYA NIGHT」を披露。途中、オーディエンスに“声を聞かせて”と言ってコール&レスポンスの場面も作り、4曲目の「Midnight U…」まで一気に歌い上げた。グルーヴ感あふれる「Get it together」から山下達郎が生んだ名曲「SPARKLE」のカヴァーに繋ぐ流れも実にナチュラル。演奏後にさかいは“ピアノで「SPARKLE」を弾き語りした奴は俺だけじゃない?”と満足気に笑いながら語っていたのも忘れられない。
ここで、アメリカ・バージニア州出身のマルチ・アーティスト、ディアンジェロの楽曲を4曲メドレーでカヴァー。ディアンジェロといえば、モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演したことのある大人気ミュージシャンだが、今年10月に51歳の若さで他界してしまい、世界中のファン及びミュージシャンが涙を流した。さかいは“自分の何パーセントかはディアンジェロでできている”と言葉にするほどリスペクトしていたようで、初の試みという前置きの後に「Africa」「Spanish Joint」「Brown Sugar」「Untitled (How Does It Feel)」を歌いながら彼なりの表現でディアンジェロを追悼し、そのまま自身の楽曲「君と僕の挽歌」を熱唱した。さかいが親友に捧げて書いたナンバーがここではディアンジェロへのメモリアル・ソングに聴こえ、胸が熱くなる。床に手が付くほどお辞儀をするさかいに惜しみない拍手を送る観客。
アンコールに応え、ステージに再登場したさかいはオーディエンスのひとりひとりを確認するように会場を見渡した後、“今日はモントルー・ジャズ・フェスティバル、フェスティバルは祭りでしょ、祭りといえば<よさこい祭り>”と言って、彼の故郷、高知県の民謡をさかい流に再構築した**「よさこい鳴子踊り」で大盛り上がり。観客を煽り、みんなと合唱するなどステージと客席が一体化したところで終了かと思いきや、ファイナル・ソングは「アンパンマンのマーチ」だった。大歓声&大喝采が渦巻く円形ホール。
MJFJ 2025はL’Osmoseとさかいゆうのパフォーマンスによって最高のスタートを切った。
(文:菅野聖)
(写真:(c)SHUN ITABA)
MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2025 -An Opening Night at BAROOM-
セットリスト
L’Osmose @montreuxjazzartistsfoundation(Opening Act)
01. IN PARADISE
02. GIVE UP
03. BAGARRE
04. TOUCH
05. MINORE
06. 400
さかいゆう
01. 桜の闇のシナトラ
02. ストーリー
03. SHIBUYA NIGHT
04. Midnight U…
05. Get it together 〜 SPARKLE
06. 【Medley】D’Angelo
07. 君と僕の挽歌
08. よさこい鳴子踊り
09. アンパンマンのマーチ
公演概要
【公演名】MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2025
(モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2025)
【開催日】2025年12月7日12:00開場 13:00開演
【会場】ぴあアリーナMM(〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-2-2)
出演者
ハービー・ハンコック 85th Anniversary Special(guest:小曽根真、馬場智章、石若駿)
ペルソナ5 スペシャル・ビッグバンド
ネイト・スミス フィーチャリング マイケル・リーグ アンド ジェイムズ・フランシーズ
MJFJ TB×ER UNIT with BIGYUKI(guest:Jeremy Quartus、石若駿)
蓮沼執太フィル
L’Osmose @montreuxjazzartistsfoundation
【公演名】MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2025 -JAPAN ARTISTS EVE SHOW-
【開催日】2025年12月6日13:30開場 14:30開演
【会場】ぴあアリーナMM(〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-2-2)
出演者
Kroi
Jeremy Quartus
BREIMEN
luv
【主催】MJFJ実行委員会
【後援】J-WAVE・THE WESTIN YOKOHAMA・Embassy of Switzerland スイス大使館
【問い合わせ】ライブインフォメーション:0570-017-230(平日12:00~15:00)
【公式サイト】https://montreuxjazzfestival.jp/
【公式X】https://x.com/mjfj_official
【公式Instagram】https://www.instagram.com/mjfj_official/
【公式YouTube】https://www.youtube.com/@montreuxjazzfestivaljapan7164
公式Spotifyプレイリスト
【公演名】MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2025 -An Opening Night at BAROOM-
【開催日】2025年12月5日18:30開場 19:30開演
【会場】BAROOM(〒107-0062東京都港区南青山6-10-12 1F)
出演者
さかいゆう
望月敬史
L’Osmose @montreuxjazzartistsfoundation(Opening Act)
ポッドキャスト概要:
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