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新体制のTENSONG、「自分と向き合う」ことで見せる夢への一歩

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撮影=桃子

たか坊(Vo)と拓まん(Gt)からなる音楽ユニット・TENSONG。2020年4月に大学の同級生同士で結成、精力的に活動を続けてきた彼らだが、今年1月になんばHatchで行われた『TENSONG 2025 ワンマンライブ「ゼロ」』でアルフィ(DJ)が脱退し、2人体制となった。2月には新体制初のシングル「いつだってそんなもんだろ」をリリース、結成5周年を迎えた現在は『ワンマンツアー 2025「わたしは私」』の真っ只中だ。『ゼロ』になって新しい一歩を歩き出したばかりのたか坊と拓まんに、近況と胸中を訊いた。

たか坊(Vo)

たか坊(Vo)

3人最後のライブから、次なるTENSONGへ

ーーまずは4月に結成5周年を迎えられて、率直なお気持ちは?

たか坊:続けられて良かったなという想いですね。この先も10年ぐらい、あわよくばその先も続けられたらなと思ってます。とりあえずは5周年を迎えて一安心だなという。

ーー区切りでもありますか?

たか坊:そうですね。友達から始めると大体が崩れてしまったりする中で、仲良く5年続けられたのは御の字かなと思います。

拓まん:友達としては音楽を始める前の18歳からの付き合いで、今年8年目なので、音楽の5周年は周りに言われて「あ、5年なんですね」ぐらいの感じですね。もちろん続けられて良かったですけど、まさか5周年を迎える目前にメンバーが抜けるなんて思ってなかったので、とんでもねえ5周年だなと思いますよね。

たか坊:そうだよね。

拓まん:TENSONG自体で言うと、5年続けられてるのはすごいなと思います。

ーー本当は3人で5周年を迎えたかったという想いは?

たか坊:願わくば、でしたね。最初はやっぱり2人になるのが不安だったんですけど、今回のツアーを通して「俺たち2人でやっていけるな」という自信がついたので、今は全く後ろめたさはないですね。

拓まん:うん、今はもうないですね。

ーー5周年で今までのことを振り返りましたか?

たか坊:いや、もう5周年が僕らの新体制の皮切りだったので、振り返るというか前に進むしかないという方が強かったです。

拓まん:2人になったからこそどういう見せ方をしていくかにシフトしていて。振り返りみたいなものは、1月のなんばHatchの公演の時にしきっちゃったので。それからツアーが始まる4月までの3ヶ月間は、もうずっと次の準備をしてました。

ーーなんばHatch公演は、改めてどんなライブでしたか?

たか坊:3人の集大成はちゃんと出せたと思うし、やっぱり3人でやった空間はすごく自分の中で居心地が良かったし、自分も来てくれた方々に全身全霊で歌を届けられたと思うので、すごく胸を張って「良かったな」と言えますね。

拓まん:僕もほぼ同意見ですね。

ーーお客さんにとっても大事な公演だったのかなと思いますが。

拓まん:間違いなくそうだったと思います。

たか坊:彼(拓まん)が泣いちゃうんでね。

拓まん:その日のライブで大泣きしたんです。全然泣くと思ってもないですよ。当然のように「こいつ(アルフィ)辞めるんか。でも最後、3人で頑張るか」ぐらいだったんですけど、いざ本番を迎えて最後の曲前のMCで一言言う時、「もうこれで終わりなんだ」と思い始めたら、急にぶわーっとなって。逆に僕はそのステージ上で全部出たから、今「3人で5周年を迎えたかったな」という気持ちは全くなくて。それぐらい濃いライブでした。

密なやり取りが形に表れた、濃厚なツアー

拓まん(Gt)

拓まん(Gt)

たか坊:確かになんばHatchはすごく特別なライブだったんですけど、今のツアーがめちゃくちゃ濃ゆいと思いますね。さっきも言いましたけど、2人になることで不安な気持ちがあったので、僕らもすごい準備して。ツアー初日の香川で「これいけるな」って少し掴んだものがあったので、正直なんばHatchよりも濃いライブができてるなという感じです。拓まんと息を合わせなきゃいけない部分がたくさんあるし、MCや曲間をつなぐSEも昔とは色々変わって。新たなTENSONGを見せられてるライブだなってすごく思います。

ーーなんばHatchが終わって、次のツアーはどういう構成にしようとか、TENSONGをどう見せていこうかという話し合いもされたんですか。

たか坊:結構、話しました。一緒にツアーを廻ってくれるサポートDJも話し合いに参加してもらって。「こういう音楽をやりたい」と話した時に彼も賛同してくれるので、彼の存在はすごく助かってますね。

ーー前と比べてどういうふうに濃くなったと思われますか?

たか坊:より拓まんと音楽に対して話すことが多くなりました。もともとはアルフィが真ん中にいて、音楽的なことは分担作業みたいな感じだったんですけど、それが全部一緒になったので、拓まんと意思疎通するために、今までしてこなかった会話をステージ上でも裏でも頻繁にやってる気がします。前まで一緒に住んでたんですけど、今は別々なので、2人でZoomミーティングしますもんね。

拓まん:1時間以上。Zoomしながら曲作ったりしますね。トラックに「こういうメロディーや歌詞で絡んでいく?」と話したり。

ーー曲作りに関してもライブに関しても、密なやり取りがされているんですね。

たか坊:密ですね。

ーー覚悟が決まったみたいなところはあるんでしょうか。

拓まん:覚悟というか、多分お互いがTENSONGについてより考えるようになったと思います。あと見せ方として「じゃあお前こうしろ」というのがどストレートに言えるようになって。理想のTENSONGに近付くために「MCでお前がこう言った方がいいんじゃないか」「じゃあギタープレイはこういうことやった方がいいんじゃないか」ということを密に話すようになりました。

ーーなるほど。

拓まん:今回のツアーは「この公演はうまくできたけど、この公演ダメだった」とかはなくて、毎公演「うまくいったな」みたいな感じで、調子が良い。「じゃあまた新しい目標を立てよう」というムーブができてる。何より楽しいですね。

たか坊:お客さんのノリ方も去年のツアーに比べると全然違って、だいぶアガった。それは自分たちがステージ上で楽しそうにしてるからかなと思ったりもするし。一体感が強くなった気がしますね。

ーーライブ映像を拝見すると、ボーカルの表現力も増してるんじゃないかと思いましたが、ご自身ではどうですか?

たか坊:歌ですか?

ーー歌の部分、もちろんギタープレイに関してもですが。

たか坊:ギタープレイは……。

拓まん:何でお前が俺のギタープレイ言うねん。びっくりしたわ。

たか坊:ちょっと歌わかんないんですけど。

拓まん:何でやねん。逆やろ。

たか坊:でもギターは結構バシバシ前に前に、音でもわかるぐらい目立とうと頑張ってる。歌もそれに負けないようにしようと。まあ、負けないんですけど。

拓まん:負けないですけどね。

たか坊:僕も負けないんですけど。

ーーお互いにね。

拓まん:僕は負けない。

たか坊:いや負けない。

拓まん:多分これで30分は使います。

一同:(笑)。

拓まん:前はDJを含めてのサウンド感を出さないといけないから、ギターが前に出るところ出ないところは、うちの事務所の社長がPA卓に立って調整してくれてたんですけど、今はボーカルとギターが大きく聴こえるように調整してくれてる。そういう意味でも表現力がより伝わりやすくなったのかもしれないですね。

自分自身や現実と向き合う姿を見せることで、何かを感じてもらいたい

ーーツアータイトルの『わたしは私』は、どういう想いでつけたんですか?

たか坊:ほんとにそのままです。「自分は自分」というところで、今まで3人でTENSONGと言ってたけど、たか坊はたか坊だし、拓まんは拓まんというか。「一個人の魅力が集まってTENSONG」というふうになりたくて。だから拓まんはギターとしてしっかり目立たなきゃいけないし、僕はボーカリストとして目立って、それがより強くなって集まったものがTENSONGでありたい。自分と向き合って、ステージ上でも個人としての自分をお客様に見せることによって、来てくれた皆さんが自分と向き合うキッカケになったらいいなとも思うし。日本人は特に、自分に嫌悪感を抱く人が多いと思うんです。だからこそ自分を好きでいる努力をして、ネガティブな自分も受け入れて、生まれ変わっても自分でいたいと思えたら御の字じゃないかなと思って。それをちゃんと表現できたらいいなってすごく思いますね。正直こんな僕らでも、ステージに立った時はポジティブですけど、裏では孤独を感じたりネガティブに思うところも必ずあるし。表も裏も赤裸々に全部見せることで、お客さんが少しでも感じてくれるものがあればいいなという想いで、このツアーを廻ってます。

ーー「自分と向き合う」というワードが出ましたが、新曲「いつだってそんなもんだろう」にも<向き合うことに逃げてきた現実が>というフレーズがあるみたいに、「向き合う」はお2人のキーワードでしたか?

たか坊:キーワードだと思います。目を背けたくなる現実が必ずあるんですけど、見なきゃいけない時は見なきゃいけないので。今は「現実を見てる」って伝えようかなと。そんなツアーですね。

新体制の象徴となる「いつだってそんなもんだろ」

ーー新曲「いつだってそんなもんだろ」は、なんばHatch当日のライブ前にMVが公開され、そのライブのアンコールで2人で初披露されたそうで。ある意味サプライズ的な感じで出たんですね。

拓まん:そうですね。サプライズです。これは2人で作った曲です。新しいTENSONGをなんばHatchの日に皆さんの前で見せておきたくて、アンコールは2人だけで出ました。

ーーどんな想いで作られましたか。

たか坊:僕の中では、アルフィに向けて作った曲なんです。アルフィが脱退するとなってわからないことだらけだったし、今でもわからないことがたくさんあるんですけど、結論はそれでも前を向いて進むしかない。多分この曲では、答えみたいなものを1つも言ってないんですよ。正直、何を言ってるかわからないというワードしか並んでないんですよね。でも最後の<だから前向くんだよ>という言葉が全てだなと思ってて。「前を向くことがいつだってそんなもんだろ」という曲ですね。それ以外説明できないです。

ーー「いつだってそんなもんだろ」は前のシングル「ゼロ」の次に出す2人体制初の曲です。感情があらわに表現されていますが、自然に出てきた言葉だったんですか?

たか坊:そうですね。「ゼロ」は「リリースしよう!」と確立されて作った曲ですけど、「いつだってそんなもんだろ」は、ふとした時に出た感じはしますね。「アルフィの曲を作ろう」と思って、パッと作った感じです。

ーー応援歌でもあり、TENSONG自身のことにも感じられる曲で、<共に生きたかった>はアルフィさんのことを思っているんだろうなと思いましたが、<もっとできたはずの苦しみを もっと知っておけばよかった>とか、<この道だと決めた覚悟が 足りなかったせいで><今となって気付くことばかりで もう後戻りはできない>という歌詞はすごく共感しました。きっと誰にでも当てはまる楽曲だと思います。

拓まん:もうおっしゃる通りですね。自分たちのプロデューサーに、結成してすぐの頃に「今のうちに頑張っておけ。あとあと後悔するから、今やれ」と、会うたびに言われてたような気がして。いざアルフィが抜けますとなった時に「もっとやっとけばよかったな」みたいなことを2人で話をして。だから<もっとできたはずの苦しみを>とかは、まさに自分たちが言われてきた言葉です。

ーーでも若い時って、抗ったりもしたいですよね。

拓まん:そうなんですよ。やっぱり欲のまま、どうしてもちょっと逃げちゃったりというのは全然ありましたけど。逆にアルフィがいなくなってより刺さるというか。俺も「こういう歌詞の方がいいんじゃない?」とは言いましたけど、確かにプロデューサーの教えが結構反映されてるところもあるのかなと思います。

たか坊:実はこの曲は最初、全然違うテイストで作ってたんですよ。トラックはもともとあって、自分のお母さんの歌、その前は恋愛で作ってて。でも何やってもハマんなかったんですよ。何でハマらんのやろうと思って、ふと書いたのがアルフィの曲で。「いつだってそんなもんだろ」は完全に歌詞先行なので。

ーーサウンドが疾走感があって前向きだから、歌詞もすごく入ってきますよね。<どうせ>は、後ろ向きだけど前向きというか。

たか坊:<どうせ立ち止まれない>が出た時、自分の中で一番しっくりきました。

ーー<そんなもんだろ>も、後ろ向きにも前向きにもどっちとも取れますね。

たか坊:どっちに転んでもいいなと思うんですよね。ほんとに正解はないと思うので。この曲を聴いてネガティブになる人も絶対いるだろうし。

ーーあとはボーカルの感情の込め方も印象的でした。2番の<何で?何で?>のところは、より感情を込めてられている感じがします。歌い方でこだわったポイントはありますか?

たか坊:今おっしゃった部分もそうですけど、サビも結構こだわりましたね。特に息継ぎがマジでむずくて。ブレスの位置はすごく自分の中でこだわったし、あとキーが高いのでしんどいんですけど、そこに持っていくための喉の作り方は頑張りました。レコーディングも最初は大変でしたけど、途中からどんどん筋肉も緩んできて。今はライブで歌いまくってるんで、慣れてきましたね。でもなんばHatchの時は初披露で歌詞が飛んじゃって。プロデューサーからは「歌詞ミスったら、いつだってそんなもんじゃないぞ」と言われてたんですよ。「いつだってそんなもんじゃないぞ、ミスんなよ」。ミスりましたね。いつだってそんなもんじゃなかった。

拓まん:ステージが終わった後「お前、やったな」って言いました。

たか坊:素直に「ごめん」って(笑)。

ーー綺麗なオチ(笑)。ギターはどうですか?

拓まん:自分たちの曲では珍しく、ドロップDというチューニングでレコーディングさせていただきました。「否否」(2023年1月)という曲ぶりの変わったチューニングで。さっき疾走感があると言っていただいたんですけれども、サビでストロークをアコギとエレキでちょっと変えて、疾走感が出るようにしました。あと最後のギターソロは元々入ってなくて。ただ新体制初の曲になるので、ポジティブなギターソロを弾きたかったんです。それで簡単なフレーズですけど、メジャーの音をバチバチに入れて、最後はめちゃめちゃ明るく前向いてるんだよというギターソロを入れましたね。

ーー改めて、どんな1曲になりましたか?

たか坊:ほんとに新体制の象徴となる1曲になったと思ってますし、曲の最後のフレーズ通り、前を向いてこれからも進んでいきたいという想いですね、そんな曲です。
拓まん:同意見でございます。

TENSONGを続けること自体が、夢の架け橋

ーーでは最後に。なんばHatchでも「夢、見続けますので」とおっしゃっていて、2人の今思う夢をお聞きしたいなと。先ほど「一個人の力を集めてTENSONGでやりたい」と言っていただきましたが、具体的な夢、これからやっていきたいこと、思い描くことはありますか。

拓まん:武道館です。

たか坊:武道館は立ちたいですね。音楽をやってる者の聖地はやっぱり武道館。せっかく音楽をやったなら、ちゃんと目指したい想いはあります。それこそなんばHatchでは「夢を見続けるんで」というMCの前に「夢を見続けるためには、続けないと無理だから」とも言ったんです。僕らの中ではここが全て。大学からずっとやってきたメンバーで、チームも18歳からの付き合いなので、これからもチームで30歳、40歳、あわよくば死ぬまでできたら超御の字だなって思いますね。だから何よりもTENSONGを続けること自体が、僕らの夢の架け橋かなと思ってます。それ以外はもう特にないです。

拓まん:でも武道館、マジっすよ。

たか坊:武道館に立てたら嬉しいし、目指してますよ。武道館に行くことは通過点だと思ってる。

拓まん:俺は武道館、アリーナを飛ばして東京ドーム、ドームツアーなんで。夢は大きく持っておこうかな。リアルに俺はここ5年が勝負だと思ってるんで。2~3年後に超爆発的ヒット曲を生み、さらに2年後には武道館、東京ドーム行ったろうかなと思ってますね。

たか坊:じゃあ良い曲作ってくださいよ。

拓まん:任せてください!

取材・文=久保田瑛理 撮影=桃子

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