imase、自身初のオンラインライブ「POP ROOM」開催 バンドセットで魅せたメモリアルなライブに

アーティスト

撮影:Yoshifumi Shimizu

TikTokによるバズをきっかけに音楽活動開始約1年でメジャーデビューを果たした岐阜出身の22歳、新星アーティストimase。TikTok人気急上昇チャート1位などのバズを巻き起こした「Have a nice day」でメジャーデビューを果たしてからちょうど1年。12月19日、imaseが自身初のライブ「ONLINE LIVE『POP ROOM』」を開催した。

岐阜の自宅からアップする動画で人気を集め、SNSで多くのリスナーとつながるimaseが初ライブの場所に選んだのは、オンライン。imaseらしい演出のオンラインライブで、改めてimaseがミュージシャンの在り方に選択肢を増やす存在であることを示す内容となった。アーカイブ配信は12月31日23:59まで。

幕が開くと、そこに映るのはいつもの投稿動画と同じ、二段ベッドの下で機材を叩きながら歌うimase。縦動画の中で何度もカメラに目線を向けて、imaseらしいファンとの距離感で「逃避行」を歌う。

2曲目「アナログライフ」が始まってとびっきりの笑顔を向けてくれたかと思うと、画角が横へと広がりバンドメンバーが映る。自室から世界へ飛び出していったimaseのこの1年のライフストーリーを表現するかのごとく、二段ベッドの下からライブスタジオへと一気に空間が広がっていく。

imaseの初ライブのバンドメンバーは、松本ジュン(Key、Manipulator)、モリシー(Awesome City Club / Gt)、林あぐり(Ba)、そしてBOBO(Dr)。imaseのベッドルームミュージックが4人の演奏によって躍動感満ち溢れるものへと変貌していた。

「『POP ROOM』へようこそ! こんばんはimaseです」と挨拶を挟んで「あべこべ」へ。ダンスミュージックにimaseのファルセットやBOBOのドラム、モリシーの歪んだギターソロなどが絡まり合って贅沢な音像に。まさに「今」の感覚であらゆるジャンルの要素をナチュラルに混ぜた音楽が鳴る。演奏後、「心が踊っちゃいますね。みなさんも踊っているんじゃないでしょうか」とimaseからも言葉がこぼれる。

コロナ禍や忙しない日々に一息つく瞬間をプレゼントするチルミュージック「でもね、たまには」では、ラップパート以外はファルセットで歌うという挑戦的な構成も滑らかにいく。そして、TikTokで4000本以上の動画に使われているほどの人気を誇るにもかかわらず未だに音源化されていない「I say bye」のフルバージョンを初披露。ファンにとっては待望の瞬間となった。

「I say bye」の曲中に部屋を移動。廊下での衣装チェンジを演出にしてしまうところも、自然体で親近感と共感を集めるimaseらしいスタイルだ。到着した部屋には、1st EP「POP CUBE」のジャケットのキューブに見立てたようなセットが。それが緑色と赤色に光る中、渋谷スクランブルスクエアX’masキャンペーンソングとして書き下ろしたクリスマスソング「Holy Light」を弾ませる。そしてBOBOの強靭なドラムが鳴る中、“imase with PUNPEE & Toby Fox”名義でポカリスエットのCMソング「Pale Rain」へ。地声とファルセットをナチュラルにつなげる歌とラップ、アクセントを際立たせたパーカッシブな歌い方こそ、imaseの特徴であることを決定付けるパフォーマンス。

そして、世界各国のSpotifyバイラルチャートにランクインするほど海外でも人気を集める「NIGHT DANCER」。「人はどこでだって踊れる」――そんなことを音楽に乗せて、自宅の一室にいるこちらへ画面越しに伝えてくる。最寄り駅からも遠いほどの田舎で暮らし、しかも10代の終盤とコロナ禍が重なったimaseは、今年に入るまでライブを体験したことがなかったという。この日のimaseのオンラインライブは、imaseと同じようにリアルでライブを体験したことがない人たちも招き入れて音楽の幸福感を分かち合えるものだった。

最後に、友達の影響でアコースティックギターを購入した2年前から今日までを振り返って語り、人生が変わるきっかけとなったメジャーデビュー曲「Have a nice day」を披露。さらには、2023年3月30日、渋谷WWWにて、初の有観客ライブを開催することを発表した。音楽業界の慣習が立ち行かなくなったコロナ禍に、それまでの常識にとらわれない手段で世に出たimase。肩肘張らないスタイルの中でもしっかりと身体と心を踊らせるimaseのチルポップミュージックが、バンドを携えた演奏ではさらにダンサブルになることを目の当たりにし、この先の楽曲の進化にも目を離すことができないと思わせてくれる初ライブだった。

テキスト:矢島由佳子
写真:Yoshifumi Shimizu

ONLINE LIVE「POP ROOM」セットリスト

M1. 逃避行
M2. アナログライフ
M3. あべこべ
M4. でもね、たまには
M5. I say bye ※未発表曲
M6. Holy Light
M7. Pale Rain
M8. NIGHT DANCER
M9. Have a nice day

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