コレサワ、「サマーエンドツアー」東京公演のライブレポート到着

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写真:小坂茂雄

コレサワが、ミニアルバム「サマラブ」を携えたワンマンツアー「コレサワ LIVE 2022 サマーエンドツアー」を開催。大阪・心斎橋BIGCAT、愛知・名古屋THE BOTTOM LINE、東京で行われた3公演のうち、ツアーファイナルの11月4日東京・EX THEATER ROPPONGIの模様をレポート。

3年ぶりとなるバンド編成のツアーは、寸劇を織り交ぜたパフォーマンスを展開。東京公演は見事ソールドアウトし、満席の会場でコンセプチュアルなライブをファンに届けた。

鳥のさえずりが聞こえる中、ステージに現れたのはコレサワの家に荷物を届けに来た宅配便。配達員が呼び鈴を鳴らしていたところ、ひぐちけい(Gt)、なかむらしょーこ(Ba)、U(Dr)、にしのえみ(Key)というお馴染みのバンドメンバーが登場。「コレちゃん起きてる? 今日ライブだよ!」と呼びかける。会場に来ない彼女を、観客と一緒に迎えに来たという。

眠い目をこすりながら部屋着風の衣装で姿を現すコレサワ。荷物の中身はライブ用の衣装だったが、着替える間もなくそのままライブに突入する。「それにしても、いい天気。みんなよくここまで来たね。今日は楽しんでいってね」というナレーションで1曲目「きっと夏」が始まる。郵便屋さんのチャイムで起きた夏の日曜日――寸劇の内容は、歌詞とリンクしていたのだ。メロウなバンドサウンドは涼風を感じさせ、会場はたちまち夏の空気に包まれる。

さらにコレサワが「東京ー!」と煽り、ライブ定番曲「あたしを彼女にしたいなら」でフロアを一気に盛り上げる。「サマーエンドツアー東京公演ファイナルにお越しのみなさん、おはようございます」と、物語の時間設定に合わせて挨拶したコレサワ。「みんな、座って聴くつもり?」と呼びかけると、観客は待ってましたとばかりに立ち上がる。そして「長女の人ー?」「今日めちゃくちゃ楽しみにしてた人ー?」と挙手形式のコール&レスポンスを行ったのち「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」を披露。ハンズクラップを交えて会場には一体感がもたらされていく。

爽快なロックチューン「それってつまり」では飛び跳ねたりフロアを煽ったりと、無邪気な表情を見せるコレサワ。続く「最後の彼女になりたかった」ではバンドメンバーとの強固なアンサンブルで観客を引き込んだ。そして夕暮れを彷彿とさせる照明とともに、童謡「夕焼け小焼け」のチャイムとカラスの鳴き声が聞こえてくる。ここでコレサワやバンドメンバーはツアーの思い出を振り返り、コレンズ(コレサワのファンの呼称)が考案した“サマエンポーズ”をお披露目。メンバー紹介を経て、拓殖大学とのコラボ企画で制作した受験生応援ソング「ゆびきりげんまん」と、「あたしが死んでも」「ぷんぷん」を立て続けに披露した。

冒頭で届いた荷物を持ってコレサワが舞台袖に行くと、ステージはサイケデリックな照明に包まれる。グルーヴィなベースや情熱的なギターサウンド、タイトなドラム、緊迫感のあるキーボードといったバンドの圧巻のプレイは、コレサワの着替え中も観客を魅了。さらに、ひぐちが「SPARK!!」のイントロのギターをかき鳴らすと、ピンクのキュートな衣装に身を包んだコレサワがキックボードに乗って登場。勢いそのままにフロアを沸かせていく。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、物語は終電の時刻に。「彼氏はいません今夜だけ」の演奏が終わるとバンドメンバーが「ヤバい! 帰らなきゃ」と退場してしまう。残されたコレサワは、過去の苦い思い出について明かした。

デビュー前、EXシアターで行われたイベントにオファーされた彼女。大舞台でのライブということで期待に胸を膨らませたものの、行き違いがあったようで、実際に立ったのはロビーに設けられた小さな仮設ステージだったという。同世代のアーティストがEXシアターのステージで演奏するさまを目の当たりにした彼女は「絶対、いつかここでワンマンライブしたるぞ!」と決意する。

その夢は2020年の「コレサワ LIVE TOUR 2020 HEART BREAK TOUR!!」で叶うはずだったが、コロナ禍の影響で中止に。そんな幾度もの逆境を乗り越え、念願叶ってこの舞台に立つ喜びはひとしおだろう。「今日は楽しい思い出で塗り替えてやろうと思う」と語った彼女は、インディーズの頃から歌い続けている「笑えよ乙女」を弾き語りで演奏。想いを乗せた歌声とギターの音色は、この日一番力強く響いていた。

その後、終電を逃したひぐち、にしのがステージに戻る。「世の中にたくさん曲が溢れているのに、いま自分の気持ちを表している曲がどこにもない夜があって。そういうときに作った曲です」と披露したのは「BGMにならない夜」。夜更けのような薄明かりの空間で、コレサワ・ひぐちが奏でるアコースティックギターの煌びやかな音色と、にしのの鍵盤ハーモニカによる温もりあるサウンドが融和。観客が灯した色とりどりのペンライトとともに、鮮やかに夜を彩る。

なかむら、Uも合流すると、コレサワが「みなさん、まだまだいけますか?」と観客を鼓舞。アッパーチューン「死ぬこと以外かすり傷」でフロアを再びヒートアップさせる。「みんながそれぞれ住みやすい世界で、楽しく暮らしてほしいなっていう気持ちで作りました」と想いを語った「君の住む街の天気が都合のいい空でありますように」では、寄り添うような温かなサウンドで会場を満たした。続けて彼女の代表曲であるバラード「たばこ」をしっとりと歌い上げる。

日の出の時刻を思わせるようにステージが明るくなると、新曲「さよなら恋人」を演奏。クリスマスや年越しなどイベントが多く人肌恋しくなる季節にフラれてしまった女の子の歌で、今の時期にぴったりのナンバーだ。大阪・愛知公演では弾き語りで披露していたが、本公演ではバンド編成で初披露。楽曲の主人公の心情と呼応するようにバンドサウンドが熱を帯び、歌詞の情景を豊かに描き出していた。また、本楽曲の配信リリースと2023年2月のバレンタインツアー開催を発表する。

エレキギターを手にしたコレサワは「最後までエネルギー、出しきれますか?」とフロアを煽り「サマーエンド」を演奏。夏の終わりに感じるセンチメンタルな気持ちを表現したサウンドで畳み掛ける。ラストの「SSW」ではコレサワのキャラクター“れ子ちゃん”のぬいぐるみを持ちながら、客席に向けてめいっぱい手を振る彼女。観客もこれに応えて大きく手を挙げ、最高潮の盛り上がりでライブは大団円を迎える。終演後、コレサワは溢れんばかりの笑顔を見せてファンに挨拶。朝の訪れを感じさせる鳥のさえずりとともに新しい1日が始まり、ツアーは幕を閉じた。

アンコールなし、全18曲を全力で駆け抜けたコレサワ。ポジティブなエネルギーに満ちたパフォーマンスは、このツアーを待ちわびていたファンの期待を大きく超えたに違いない。

なお、本公演で披露した「さよなら恋人」は11月11日より配信スタート。「コレサワ LIVE TOUR 2023 バレンタイン チョコっとツアー〜チョコの妖精と大魔王〜」は2023年2月7日大阪・BIGCAT、14日東京・Zepp Hanedaにて開催される。11月10日23:59までFC先行を受付中。

文:神保未来
写真:小坂茂雄

セットリスト

01.きっと夏
02.あたしを彼女にしたいなら
03.お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな
04.それってつまり
05.最後の彼女になりたかった
06.ゆびきりげんまん
07.あたしが死んでも
08.ぷんぷん
09.SPARK!!
10.彼氏はいません今夜だけ
11.笑えよ乙女
12.BGMにならない夜
13.死ぬこと以外かすり傷
14.君の住む街の天気が都合のいい空でありますように
15.たばこ
16.さよなら恋人
17.サマーエンド
18.SSW

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