the peggies、4月リリース「アネモネEP」ジャケ写公開 特設サイトで試聴も

アーティスト

the peggiesが、4月8日に新作「アネモネEP」をリリースするが、本日そのジャケット写真が特設サイトで公開された。アネモネの花を思わせる赤が印象的なジャケット写真に仕上がっている。

さらに、特設サイトにて収録曲全曲の試聴も開始された。合わせて、ライター小松香里によるディスクレビューも掲載。少しずつ見えてくる「アネモネEP」の全貌に期待しよう。

ディスクレビュー

当たり前のように近くにいると思い込んでいた存在が消えてしまった世界──スリーピースバンド、the peggiesの11ヵ月ぶりのCD「アネモネEP」の表題曲“アネモネ”は、断ち切れない想いが胸をぎゅっとつかんで離さない珠玉の失恋バラードだ。華やかなストリングスとパワフルなギターアンサンブルが手を繋ぎ、ドラマティックに温度を上げていく。

重ね過ぎた思い出がまだ/心に書き残されている/消しゴムで無理にこすっても消せなくて/真っ黒にぐちゃぐちゃになるだけだった》

人間には簡単にすべてを消去できるようなボタンはついていない。想いが強ければ強い程、消そうとする度にその想いは色濃くなってしまうものだ。瑞々しく伸びやかな歌声を聴かせる北澤ゆうほ(Vo・G)の歌詞は、そんな人間らしいどうしようもなさを鮮明に突き刺してくる。曲に込められた恋愛における普遍的な想いを、ひとりでも多くの人に届けるための壮大なストリングスアレンジ。手がけたのはバンド自身と、aiko、YUKI、いきものがかり等の楽曲で知られるJ-POPマエストロ島田昌典。切なく引き裂かれそうな想いを果てしなくエモーショナルに高めている。

「アネモネEP」は“アネモネ”以外の楽曲にも、the peggiesの進化が注ぎ込まれている。「輝き方が分からない」「面倒臭いが口癖になってる」「友人は上手くつくれない」「上手く笑えない」「隅っこの特等席」。そんな定位置にいたって、いつだって人生は逆転できる。ホームランまでいかなくたって、思いっきり空振りすることで前に進めることだってあるんだ──。勢い良く疾走するギターアンサンブルと北澤の高らかな歌声がそんなメッセージを痛快に放つ、映画『アルプススタンドのはしの方』主題歌“青すぎる空”。小気味いいギターのカッティングと、煌びやかなシンセサイザーの音が気持ち良いthe peggies流の洒脱なネオソウル“weekend”は、満たされない日々と答えのない現実を生きる「君」と「私」の日常賛歌。そして、乙女の妄想と暴走が滲む甘酸っぱいガールズポップ“ロンリー”──。さらに、インディーズ時代からの人気曲“いきてる”の弾き語りバージョンも収録されている。人間という生き物の業の深さ、他者と生きることの難しさがハダカの言葉で綴られている。北澤ゆうほのシンガーシングライターとしての巨大な力量に圧倒される1曲であり、the peggiesの根っこにある光と闇がはっきりと認識できる。

パワフルで痛快なバンドアンサンブル、フレンドリーなコーラスワーク、そして、闘争心と乙女心と毒っ気がないまぜになったリアルな歌詞。the peggiesの原点と進化形がほとばしる強力なEP。閉塞した日常にシャープな風穴を開けるであろうこの音楽は、《僕らの戦闘機はまだまだ大丈夫》で《見渡す青は 嫌になるほど果てしなく自由だったんだ》(“グライダー”)と思えるような、ピカピカの希望が鳴っている。

(文・小松香里)

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