故サッチャー元英国首相へのiTunesを使った攻撃で「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ」が2位に

コラム 高橋裕二の洋楽天国

8日に亡くなった英国の元首相マーガレット・サッチャー。内外のメディアが「鉄の女」と持ち上げているが、亡くなってよかったというイギリスの人達もいる。毎日曜日の16時から始まる英国BBCラジオのレコード売り上げチャート番組。突然シングル・チャートで「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ(Ding Dong! The witch is dead)」が初登場2位になった。

70余年も前の1939年、映画「オズの魔法使い」で歌われた曲。サッチャーを良く思わない英国人が数多くいる。サッチャーの政策で貧富の差が拡大したと。サッチャーを魔女に見立てた。

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1990年、人頭税を導入して国民から大顰蹙をかった。人間1人ずつに課税する税金。所得が無い人にも課税する。生まれたばかりの乳児だろうがもうすぐ天寿を全うする老人だろうが関係ない。この強硬な法案成立で同年サッチャーは退陣に追い込まれた。1993年人頭税は廃止された。

あまりにも悪法の為、当時ミュージシャンも大反対をした。今回は亡くなったサッチャーに対して反対派がフェイスブックを使ってキャンペーンを始めた。曰く英国を悪くしたサッチャーの死を祝おうと。主な行動はiTunesで「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ」を購入し、シングル・チャートに入れる事。そして公共放送のBBCに放送させる事。

BBCが番組で使っているチャートはチャート制作会社オフィシャル・チャーツ・カンパニーのデータ。オフィシャル・チャーツ・カンパニーは背後にどんな理由があろうとも実売があったらチャートに入れなければならない。iTunesで「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ」は0.79ポンド(日本円で約119円)。チャート操作が良いか悪いかは別にして、簡単に出来る時代ではある。

結果BBCは番組内のニュース・コーナーで取り上げ、51秒の「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ」のフル・バージョンは放送しなかった。しかし初登場2位は間違いなく今週の話題になるだろう。

サッチャー元首相の葬儀は今週17日だ。

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