人工知能で演奏家を支援する音楽スタートアップAntescofoが450万ドルの資金調達
人工知能を活用して、演奏家の練習やパフォーマンス向上を支援する、音楽スタートアップ「Antescofo」(アンテスコフォ)が450万ドル(約5億円)の資金調達を行った。
今回の投資ラウンドには元ソニーCEOで、クオンタムリープ代表の出井伸之、FacebookのチーフAIサイエンティストで、同社の人工知能研究機関「AIリサーチ・ラボ」を設立したヤン・ルカン(Yann Le Cun)、フランスのホテルリゾート大手AccorHotelsグループのチーフ・ディスラプション・オフィサー、ティボー・ヴィオート(Thibault Viort)らが参加した。ラウンドをリードしたのはDaphniとOneRagTimeだった。
フランスのパリに拠点を置くAntescofoは、クラシック音楽の練習や演奏をスマートフォンやタブレットでアシストするアプリ「Metronaut」で知られている。Metronautは、ユーザーが楽器を弾き始めると、人工知能が演奏のテンポやリズム、キーに合わせて、自動でピアノや特定の楽器、フルオーケストラによる伴奏音をつけてくれる。楽器演奏だけでなく歌のレッスンでも利用が可能だ。
Metronautはプロのミュージシャンによって録音された演奏が、テンポを変えても音質が落ちることなくリアルタイムで対応する。伴奏する楽器やテンポの指定もできるため、あらゆる人が一人で練習したり、演奏を改善したいというあらゆるニーズを支援する音楽版パフォーマンス改善アプリと言える。
人工知能の音楽利用では、作曲や作詞、楽曲制作といった人工知能の技術力を前面に押し出したクリエイティブな面に日本でも目が行きがちだ。だが、Antescofoの開発チームはアマチュアミュージシャンからプロのミュージシャンまで、あらゆる人の演奏体験や向上意欲を支援するという基本的な人間のニーズに対して、人工知能の技術とインタラクティブ性を適応させていることがユニークだ。

アプリはサブスクリプション型で週3.99ドル、または月額9.99ドルのプランで利用できる。
AntescofoのCEO ロラン・トラン・ヴァン・ルー(Laurent Tran Van Lieu)は「新たな資金は、特に中国市場を始めとする海外ビジネス、Metronautの伴奏コンテンツ制作を強化し、音楽業界でイノベーションの担い手としての私たちの地位をさらに強固にするでしょう」と答えている。
Antescofoは2018年のSXSWで開催されたスタートアップのピッチコンテスト「Accelerator Pitch Event」でエンターテインメント・コンテンツ・テクノロジー部門のファイナリストに選ばれた1社だった。
またAntescofoはフランスのインキュベータープログラムStation FによるFounder’s Programのメンバーでもある。

記事提供:All Digital Music
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