チケットマスター、ブロックチェーンを活用する電子チケット・スタートアップ「Upgraded」を買収

コラム All Digital Music

世界最大のチケットサービス会社「チケットマスター」は、ブロックチェーンを活用するチケット技術のスタートアップ「Upgraded」を買収した。買収額は非公開。Upgradedはイベント運営会社やチケット販売会社に対して、ブロックチェーンを用いて違法なチケット売買やダフ屋行為を防ぐチケット管理技術を開発している。

Upgradedはブロックチェーンで暗号化したバーコードをチケット購入者個人に発行することで、紙チケットやPDFで配布されるチケットでは防ぎきれない違法な転売や、他社への安易な受け渡しを管理する。また、チケット購入者がどこでチケットを転売したか、実際にイベント会場に来場したか、など以前は把握しきれなかった消費者の動向もデータで管理することが可能になる。チケット購入者は、個別のバーコードが付与されるので、イベント会場での入場の本人認証もスムーズに行うことができる。

2016年にUpgradedを設立したCEO、Sandy Khaundは「Upgradedはブロックチェーン技術を活用してチケット購入者には信頼を、コンテンツオーナーには管理と柔軟性を、チームとパフォーマーにはデータを提供することが可能です。これまで開発してきた製品を誇りに思います。チケットマスターの素晴らしいチームと協力しながらビジネスをスケールしていくことを楽しみにしています」と語る。
 

 

チケットマスターは、イベント体験においてチケット販売プロセスを重要な顧客体験として重要視している。その証拠にチケットマスターでは、独自の電子チケット・システム「Ticketmaster Presence」や、ダフ屋行為を防止しファンのチケット購入を促す予約システム「Verified Fans」を開発し、リアルタイムで顔認証を実現する生体認証スタートアップ「Blink Identity」に投資を行い、イベント運営のサービス強化を図ってきた。Upgradedの買収もこの一貫で、ファンのイベント体験やチケット流通を向上し、会場の運営や安全性を高める技術革新の導入は今後さらに進む。

チケットマスターはすでにアメリカのNFLの公式チケット・サービスパートナーとして、Ticketmaster Presenceを会場に導入して、チケットの電子化から、チケットの公式転売サイトの運営まで手がけている。NFLファンはスマホで配布されるQRコードで会場に入場ができるだけでなく、広大なスタジアムで座席を探すマップ機能などモバイルデバイスでイベント会場内を行き来できるようになった。そしてNFLやチームは、ファンのデータを獲得でき、さらにはパーソナライズされたコンテンツや特典も配布できるようになり、ファン体験を高めることができるという、これまでのイベント運営ではできないメリットがある。

Ticketmaster Presenceはすでに1300万人以上に利用され、北米175会場以上に動員されている。

またVerified Fanは100以上のトップアーティストたちがツアーやライブのチケット予約で導入してきた実績を持つ。
 


 

jaykogami
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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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