北欧の音楽市場動向、デジタルがフィジカル上回り全体増

コラム All Digital Music

2012年のスウェーデンの音楽市場、Spotify効果でデジタル音楽が成長し全体売上が13.8%増加

Spotify大ロゴ

スウェーデンの音楽業界団体「GLF」(英語ではSwedish Recording Industry Association)が発表した同国の 2012年の音楽売上によれば、デジタル音楽がフィジカルを抜いて市場の50%以上を占めるメインストリームな収益源となりました。

スウェーデンの音楽売上は9億4300万クローネ(約1億4480万ドル)となり2011年から13.8%の成長を遂げました。そのうちデジタル音楽が占める売上は全体の
64%を占め
、2011年から12%アップするという(2011年はシェア51%)、デジタル音楽は驚異的な成長を見せました。

デジタル音楽の売上の90%はSpotifyなどサブスクリプショ
ン型音楽ストリーミングサービスからで、2011年の82%から8%上がってさらにシェアを拡大しました。音楽ストリーミングサービスの売上は5億4200万クローネ(約8350万ドル)で、2011年から55.4%と大きな伸びでした。

スウェーデンは地元のサービスであるSpotifyのほかに、Rdio、Deezer、WiMP、Music Unlimited、Xbox Music、Rara.comのサブスクリプション型音楽サービスが存在します。

CDの売上は14%減少し3億2800万クローネ(約5050万ドル)と下がる一方ですが、Spotifyなど定額制音楽サービスの伸びが損失をカバーしています。スウェーデンは音楽ストリーミングサービスが全体の売上減少を逆転するトレンドを昨年に示した、世界初 の音楽マーケットです。

一方、デジタルダウンロードは音楽ストリーミングサービスの成長を受けて、2011年から24%ダウンし5700万クローネ(約880万ドル)と大きく減少しました。
*単位は1000

2012年の売上9億4300万クローネ(約1億4480万ドル)のうち、アルバムは全体の売上35%を占めています。またアナログレコードも顕著には伸びて59%成長を示しましたが、全体の売上ではわずか1.4%でした。

レコード会社やパブリッシャーの人達は無料でも聴ける音楽ストリーミングサービスがCDの売上を減少させてしまう「カニバリゼーション」を危惧してきましたが、スウェーデンのケースでは全く逆で、ストリーミングサービスの売上がなければ音楽ビジネス自体も成立しないというほど、デジタルが存在感を示しています。これではむしろCDの存在自体が邪魔になってきますね。

スウェーデンで今後考えられるのは、iTunesなどデジタルダウンロード陣営の戦略です。なぜならストリーミングサービスがデジタルダウンロードをカニバライズし始めているからで、アップルなどダウンロードサービスしか持たない企業は今後どうやってMP3を売って行くのでしょうね?大変気になります。もしかしたら、数年後にはスウェーデンではMP3自体も古いフォーマットになっているのかもしれませんよ。

■記事元http://jaykogami.posterous.com/2012spotify138


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ジェイ・コウガミ:
音楽とテクノロジーの時事を扱うブロガー。海外のデジタル音楽情報をテーマに、ソーシャルな音楽サービス, 業界の動向、クリエイティブなデジタルPR事例をいち早く日本で紹介している。
学生時代は米国オレゴン州で生活。高校でネットラジオ、大学でNapsterを体験、以来オンライン x 音楽コンテンツ x 人の在り方について関心を持つ。
音楽好きと音楽業界に、新しい音楽体験情報を届け、幅広いインディーズ系アーティストを応援。現在プロジェクトチーム「soundtribe」で活動中。

 


 

ノルウェーの2012年の音楽市場、デジタル音楽がフィジカルを上回り8年ぶりにプラス成長

音楽ビジネスの業界団体「IFPI Norway」(International Federation of Phonogram and Videogram Producers)が発表したノルウェーの2012年度の音楽売上では、フィジカルの売上をデジタルが上回り、音楽ストリーミングサービスによる売上が業界全体の売上を後押ししていることがはっきりとわかりました。

2012年にノルウェーの音楽売上は2011年から7%上昇し5億4530万クローネ(約9840万ドル)となりました。

CD(アルバム、シングル)、音楽DVDを合わせたフィジカルの売上は、2億1020万クローネ(約3790万ドル)で、2011年から19%減少しました。

一方、デジタル音楽の売上は3億3510万クローネ(約6040万ドル)で、2011年から35%増加しました。

2011年のフィジカル・デジタルのシェアは、フィジカル51.2%とデジタル48.8%でした。2012年は、フィジカル38.5%とデジタル61.5%で景色が完全に変わりました。

2012年売上のシェアは、音楽ストリーミングサービスが全体の45%(2011年は32%)、ダウンロードが16%(2011年は17%)、フィジカルが39%(2011年は51%)となります。

2012年ノルウェー

IFPI Norwayのマルテ・トーンビイCEOは、「2012年はノルウェーの音楽市場、2004年以来8年ぶりに成長を遂げました」と述べています。

驚異的なのはサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスで、2012年の売上は1億8920万クローネ(約3420万ドル)で驚異的な216%の成長を遂げました。この売上額はフィジカルの売上に匹敵するほどの額で、成長スピードは未だに続けている分野です。

ノルウェーにはSpotifyのほかに、Rdio、Deezer、WiMP、Music Unlimited、Xbox Music、Rara.comのサブスクリプション型音楽サービスが存在します。

音楽ダウンロード販売は8870万クローネ(約1600万ドル)で、2011年から6%成長しました。

音楽業界にとってはノルウェーの状況は、今後の音楽ビジネスの成功事例の一つとしてモデルケースにできると思います。最も顕著に現れているトレンドはこちらになるでしょう。

【音楽ストリーミングサービスの価値】
フィジカルの売上を食ってしまうと言われていたサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスが、実際にはフィジカルの損失を補完しデジタル音楽が中心の音楽シーンを形成する要因になっています。CDやDVDの売上が低下したり違法ダウンロードなどの問題があり売上が年々落ちていた状況が続いていた中、デジタル音楽が確実に浸透する環境を音楽サービスを使って(ノルウェーの場合は音楽ストリーミングサービス)築いてきた戦略は参考にできるとおもいます。特にレコード会社や出版関係にとっては大きなビジネスのヒントになるのではないでしょうか?

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■記事元http://jaykogami.posterous.com/20128


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学生時代は米国オレゴン州で生活。高校でネットラジオ、大学でNapsterを体験、以来オンライン x 音楽コンテンツ x 人の在り方について関心を持つ。
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