音楽ビデオ専門サイトVEVOとYouTubeの契約が終了

コラム 高橋裕二の洋楽天国

12月9日(日曜日)、音楽ビデオ専門サイトのVEVOとプラットフォームを提供するYouTubeの3年間の契約が終了した。しかし急にVEVOがYouTubeから消えたわけではない。契約書には120日間の自動更新が盛り込まれている。契約期間終了前に当事者のどちらかが契約終了を言い出さない限り契約期間は自動的に延長される。今回のケースだと来年(2013年)4月迄、VEVOの音楽ビデオは従来通りYouTubeで視聴出来る。業界誌ビルボードが伝えた。

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今年7月11日付の新聞ロサンゼルス・タイムズが「VEVOの創業者がグーグルに警告。良い条件を、さもなくばよそに行く」との見出しでソニーミュージックのダグ・モリス会長兼最高経営責任者のインタビューを掲載した。

VEVOはユニバーサルミュージック時代にダグ・モリスが提唱し、ソニーミュージックとアブ・ダビの政府機関が出資した。MTV他にタダで使わせていた宣伝用音楽ビデオから利益を得る仕組み。ビジネス・モデルは簡単だ。視聴者はオンライン上で大量の音楽ビデオをタダで見ることが出来る、但し広告付きで。YouTube(親会社グーグル)はVEVOにプラットホームを提供する。双方は広告収入で利益を上げるしくみ。しかしその広告収入の取り分が揉めているのだ。双方とも取り分は大きい方がいい。

インターネット上で最大の音楽ビデオ専門サイトになったVEVOは強気だ。ブランド力もついた、フェイスブックやマイクロソフト、アマゾンやアップルからの誘いもあるようだ。そして新たなパートナーと組んだら広告費の単価の値上げも出来る。2009年の暮れからスタートし最近まででアーティストには使用料として合計160億円も支払ったという。

VEVOとYouTubeの契約難航はインターネット・ラジオとも関係するだろう。アップルはスマートフォンやタブレットの拡売の為インターネット・ラジオ・サービスをやりたい。しかしレコード会社に提示した条件がインターネット・ラジオ最大手のパンドラとは雲泥の差のようで、契約はまとまっていない。ちなみにVEVOとYouTubeのビジネス・モデルは広告収入を分け合う事だが、インターネット・ラジオからは売り上げの数10パーセントを使用料として徴収するというやりかた。パンドラが赤字でも、パンドラからは売り上げの50%程を使用料として徴収している。

来年(2013年)春には、レコード会社とIT企業の様々な力ずくのやりとりの結果が出るかもしれない。

世界各国で展開するVEVOだが、日本での展開は全く無理だろう。理由は様々ある。

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