音楽ビデオ専門サイトVEVOの行方

コラム 高橋裕二の洋楽天国

7月11日付の新聞ロサンゼルス・タイムズが「VEVOの創業者がグーグルに警告。良い条件を、さもなくば他所に行く」との見出しでソニーミュージックのダグ・モリス会長兼最高経営責任者のインタビューを掲載した。

2009年12月にスタートした音楽ビデオ専門サイトのVEVO。調査会社ComScoreによると、5月の動画を見る視聴者数(ユニーク・ユーザー数)の3位だった。カッコ内は視聴されたビデオ数。

1位) グーグル 1億5166万人(176億1839万)
2位) Yahoo 5776万人(8億4540万)
3位) VEVO 4826万人(6億5366万)
4位) マイクロソフト 4436万人(4億9094万)
5位) フェイスブック 4431万人(2億4697万)

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グーグルはYouTubeを含むのでダントツの1位だ。動画サイトという意味では、フェイスブックはグーグル(YouTubeを含む)に全くかなわない。またグーグルのビデオ視聴数はYouTubeの投稿ビデオが殆ど。動画サイトでも音楽ビデオでみればVEVOがトップだ。

VEVOはユニバーサルミュージック時代にダグ・モリスが提唱し、ソニーミュージックとアブ・ダビの政府機関が出資した。MTV他にタダで使わせていた宣伝用音楽ビデオから利益を得る仕組み。ビジネス・モデルは簡単だ。視聴者はタダで大量の音楽ビデオを見ることが出来る。YouTube(グーグル)はVEVOに有料でプラットフォームを使わせる。VEVOは広告収入で利益を上げる。ちなみにドメインのvevo.comはユニバーサルミュージックが所有している。 YouTube(グーグル)との契約は3年なので、今年末で契約がいったん切れる。

ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューでダグ・モリスは、「プラットフォーム(YouTube)の使用料金が高い。VEVOとしては下げて欲しい。もしそれが出来ないと言うのなら我々も考える。3社以上からプラットフォームを提供したいというオファーがある」と答えた。関係者によるとオファーしている会社はフェイスブック、マイクロソフト、アップルとアマゾンだそうだ。YouTubeは音楽ビデオによる広告収入の30%〜50%を要求するという話がある。VEVOとの契約条件は定かではない。

ロサンゼルス・タイムズ紙のダグ・モリスに対する、VEVO誕生迄のエピソードもインタビューした。

Q:オンラインで音楽ビデオをビジネスにしようと思ったきっかけは?

A:家で孫がYahooでドクター・ドレーの音楽ビデオを見ていた。会社(ユニバーサルミュージック)に電話したらYahooからは一銭もお金は入ってきませんと言われた。すぐにYahooのテリー・セメル(当時最高経営責任者)に電話した。Yahooで音楽ビデオが流れたら1回につき1セントの80%、0.8セントを払わないか、そうでなかったらYahooから音楽ビデオを引き上げる言いました。すると彼は引き上げて結構と言ったので私達はそうしました。

Q:YouTubeに同じ条件、1回につき0.8セントを提示する前にVEVOの構想がが生まれた?

A:ある土曜日の午後、(住んでいるニューヨークの)ロング・アイランドの小道を散歩していたときの事です。違法ダウンロード等で音楽業界が縮小するなか、タダで提供していた音楽ビデオでビジネスが出来ないかと考えた。我々も利益を得られ、関わったアーティストに利益を分配できる。すぐにU2のボノに電話し、(当時)グーグル(YouTube)の最高経営責任者だったエリック・シュミットを紹介して貰った。月曜日の朝10時半、エリックは私のオフィスにやってきた。30分ほどVEVOの話をして握手した。20分後、ソニーミュージックの最高経営責任者ロルフ・シュミット・ホルツと会った。彼等は話に乗った。

そしてその後アブ・ダビ・メディアに出資をつのり、EMIミュージックには音楽ビデオをライセンスで提供してくれるよう申し入れた。ワーナーミュージックは独自路線を進み、いまだもってVEVOには音楽ビデオを提供していない。今回のロサンゼルス・タイムズのインタビュー、グーグル(YouTube)に対する単なる脅しかもしれないし、最も噂がされているフェイスブックに行くかもしれない。

以下は当ブログの筆者が書いたVEVOレポート。

VEVOレポート1

VEVOレポート2

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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