ユニバーサル ミュージック、保有するSpotify株の半分を売却 自社株買いの資金に
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)は4月29日、自社が保有するSpotify株式の半分を売却し、その売却益を総額10億ユーロ(約1,572億円)に規模を拡大した自社株買いプログラムの資金に充てることを取締役会が承認したと発表した。
UMGは4月7日、米富豪ビル・アックマン氏が率いる投資会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントから約558億ユーロで買収提案を受けていると発表。これに先立ち、3月30日には5億ドル規模の自社株買い戻しに着手した。UMG取締役会は、アックマン氏の買収提案についてまだ決定を下していない。
Spotify株の売却益は、アーティストにも分配される。UMGの2025年12月末時点でSpotify株648万7,000株を保有(同社発行済み株式の3.10%相当)。UMGが保有するSpotify株式の50%の価値は、4月28日の終値に基づくと約12億ユーロとなる。
UMG取締役会は、自社株価が「業績および将来性に対して過小評価されている」とみなしており、パーシング・スクエアも同様の考えを示している。
UMGのマット・エリスCFOは今回の決定について「さらなる成功を推進するために弊社が必要とする柔軟性を維持しつつ、株主価値の向上させるものだ」と説明している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
注目したいのは、UMGが保有Spotify株の半分の売却益(4月28日終値ベースで約12億ユーロ・約1,886億円)を、アーティストにも分配すると明言した点だ。Spotifyが2008年に欧州で立ち上がる際、当時の欧州UMGのトップだったグレンジ現UMG CEOがメジャーで先頭を切って全面支援し、その関係の中でUMGはSpotify株を取得した経緯がある。当時の戦略的判断のリターンを、レーベルが独占せずアーティストにも分配する設計は、ストリーミング時代の利益配分の進化として捉えられる。背景には4月7日にパーシング・スクエア・キャピタル(米著名アクティビスト投資ファンド)がUMGを買収する提案(約558億ユーロ・約8兆7,700億円規模)に対し、10億ユーロ(約1,572億円)規模の自社株買いプログラムで対抗した経緯があり、株主還元と並走する形でアーティスト分配も維持された格好だ。配信プラットフォーム立ち上げ期のリスクテイクが、20年近く経っていまアーティスト還元として循環する事例となる。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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