日本発アーティスト、Spotify Viral Top 50で存在感拡大 コロナ禍以降のデジタル発信がアジア市場を席巻
2020年のコロナ禍以降、YouTubeやTikTokといったデジタルプラットフォームを軸に新しい音楽シーンが形成されてきた。
YOASOBI、Vaundy、Adoなど、動画サイトを出自とするアーティストが急速に台頭。その流れはいまや国境を越え、Spotifyの「Viral Top 50」において、日本人アーティストの名前がアジア各国で日常的に見られるようになっている。
2025年日本アーティスト アジア圏のSpotify ViralTOP50 にランクインした現象記事まとめ
ziproom「Dive」
■楽曲
Spotifyが、今年ブレイクが期待される国内の新進アーティスト10組を「RADAR:Early Noise 2025」に、また次世代のポッドキャストクリエイター5組を「RADAR:Podcasters 2025」に選出した。その中に、インディーシーンで注目を集めるziproomも含まれており、国内外でのさらなる認知拡大が期待されている。
ziproomの楽曲「DIVE」は、トラップビートを軸に、従来のクールさに加えて突き放すような緊張感をまとう一曲だ。細かく刻まれるハイハットやタイトなキックが張り詰めた空気感を生み出し、音数を極限まで削ぎ落としたサウンドデザインが楽曲の凛とした輪郭を際立たせる。「DIVE」は、近寄りがたいほどの凛々しさを宿した、ziproomの新たな魅力を提示する楽曲だ。
■プロデュース
彼らの楽曲はSNSや音楽配信での拡散力も高く、次世代の音楽カルチャーを担う存在として注目を集めている。
楽曲「DIVE」のヒットは、盤石な制作体制にある。マスタリングエンジニアには、エド・シーランやアヴィーチー、チャーリーXCX、ディスクロージャーといった著名アーティストを手掛け、日本のヒップホップシーンでも高く評価されているスチュアート・ホークスを起用。
また、音源と映像コンテンツの同時展開も重要な要素で、ダンサーとしても活躍するヨシハラ・カイを起用することで、楽曲と映像美を同時に追求。表現者同士のイメージ共有が、作品全体の完成度を極めて高めている。
■Profile
神戸を拠点に活動するArichとShimonの2人によるヒップホップコレクティブ。ヒップホップ、エレクトロ、実験音楽、ダンスミュージックへの造詣が深く、日常、スタジオ、ダンスフロアでの体験を楽曲に昇華し、全ネットワークに発信している。
REJAY(リジェ)「Too Late」
■楽曲
日本のインディーポップシーンに新たな風を吹き込むシンガー、REJAYの楽曲が、Spotifyの「台湾バイラル・トップ50」にて3曲同時にランクインした。
ランクインした楽曲は、「Too Late」「Meant to Be」「Remedy」の3曲だ。さらに、「Too Late」は「香港バイラル・トップ50」にもランクインし、アジア圏での存在感を高めている。
浮遊感のあるボーカルと耳に残るメロディ、そして等身大のリリックは、SNSを中心に支持を広げ、国内外で着実にリスナーを増やしている。
■プロデュース
そんなREJAYをトータルプロデュースしているのは、日本のネオ・シティポップシーンを代表するバンドNulbarichのボーカル、JQだ。Nulbarichは、台湾の大型フェス「Spring Wave 2023」への出演や現地でのワンマンライブを成功させるなど、アジアでも高い人気を誇る。REJAYの声に魅了されたJQが、自身の感性を注ぎ込みながら、アーティストとしての世界観を共に創り上げている。
7月16日にリリースされた新曲「Stand up」は、孤独や混乱、疲弊といった現代を生きる中で抱えるリアルな感情と向き合いながらも、それに飲まれることなく、「それでも立ち上がる」という静かな決意を描いた一曲で、ミュージックビデオでは、全編にわたってトレンド感と洗練されたスタイリングが際立ち、同世代を中心に大きな注目を集めている。
また、2025年フジロックやSWEET LOVE SHOWERへの大型夏フェスへの出演や、最近ではNIKEのシーディングイベントに招待されるなど、ファッションアイコンとしても存在感を高めつつある。
■Profile
北海道ニセコ出身の19歳。オーストラリア人の父の影響で、幼少期から様々なジャンルの音楽に触れて育つ。13歳から作詞作曲を始め、YouTubeにアップしたカバー動画がNulbarichのJQの目に留まり、彼のプロデュースのもとで活動を始める。影と透明感という両極を兼ね備えた唯一無二の歌声を持つ。
Lavt(ラフト)
■楽曲
作詞・作曲・編曲をすべて一人でこなすシンガーソングライターLavt。インディーシーンで注目を集める代表曲「L4DY」は、ギターリフと伸びやかなボーカルを軸に、ベースとドラムが軽快に駆け抜けるダンサブルなナンバーだ。昨年、台湾のSpotifyバイラルTOP50にランクインし、国境を越えてリスナーを獲得。
キャッチーなメロディと、生楽器のグルーヴを活かしたダンサブルなサウンドが特徴で、ボカロPとしての活動経験もあり、そのルーツがポップな親しみやすさにつながっている。
■マーケティング
SNSでのバズをきっかけに、国内だけでなく海外でもリスナーを増やしている。2024年には台湾のSpotifyバイラルTOP50に「L4DY」がランクイン。また、LINE MUSICの「NEXT SPIKE」やAmazon Musicの注目アーティストに選出され、Spotifyの「RADAR:Early Noise 2025」にも選出されるなど、音楽プラットフォームからのプッシュも後押しとなっている。
■Profile
大阪市出身の22歳、シンガーソングライター。小学2年生の時にASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴いてベースを始める。ボカロP「蒼透」として活動後、本名の「海」をインドネシア語に翻訳した「Lavt」名義で活動をスタート。2025年には初の自主企画ライブを開催するなど、ライブ活動も本格化させている。
ブランデー戦記(Brandy Senki)
■楽曲
ブランデー戦記のサウンドは、独特の「気だるさ」や「ルーズさ」を特徴とし、昭和歌謡を彷彿とさせるメロディが融合している。ギターボーカル蓮月のアンニュイで憂いを帯びた歌声が、ロックンロールやガレージパンクの衝動的なバンドサウンドと重なり、唯一無二の世界観を創出している。彼女たちの音楽は、ニルヴァーナやザ・ストロークスといった洋楽ロックから、日本のポップスまで幅広いルーツに影響を受けている。また、哲学的なテーマや若者らしいもどかしさを描いた文学的な歌詞も、多くのリスナーの共感を呼んでいる。
■マーケティング
YouTubeにメンバー自身が撮影・編集したMV「Musica」を公開したことが、初期の大きな注目を集めるきっかけとなった。このMVは1カ月で100万回再生を突破し、結成直後からブレイクの兆しを見せた。
その後、日本テレビ「バズリズム02」の「これがバズるぞ!2024」で2位に選出されたことで、さらなる知名度を獲得。Spotify RADAR: Early Noise 2025やFender Next 2025へ選出されるなど、その人気は国境を越え広がりつつある。大型ロックフェスへの出演を重ねることで、ライブシーンにおける存在感も着実に高めている。
■Profile
2022年8月に大阪で結成された3ピースバンド。メンバーは蓮月(G, Vo)、みのり(Ba, Cho)、ボリ(Dr)。2023年1月に本格的な活動を開始し、同年8月には1st EP「人類滅亡ワンダーランド」をリリース。2024年8月には2nd EP「悪夢のような1週間」をリリースし、東名阪ツアーを成功させるなど、精力的に活動を展開している。
Billyrrom
■楽曲
SOUL、FUNK、ROCKといった幅広いルーツを融合させ、次世代のポップミュージックを創出するBillyrrom。彼らのサウンドは「トーキョー・トランジション・ソウル」と称され、常に進化し続けている。
「Nightglow Dreamer」は、同じギターフレーズやファルセットのフレーズが繰り返されることで耳に残りやすくなっている。反復によってキャッチーさが増し、聴き手の脳に刷り込まれる。YouTubeでは、9作品のミュージックビデオが100万回再生を突破。さらに、日本、台湾、香港、ベトナムのバイラルチャートでTOP10入りを果たし、アジア9カ国のプレイリストにも多数収録されるなど、その楽曲は国内外で高い評価と人気を集めている。
■マーケティング
国内外で注目されるアーティストとして、積極的なプロモーションを展開。世界で1000組以上から選出される「Fender NEXT」、中国のNetEase Cloud Music「年度新声推薦」、そしてSpotify「RADAR:Early Noise 2025」に選ばれるなど、その存在感は各メディアで取り上げられている。ライブ活動も盛んで、毎年開催されるワンマンライブは常にソールドアウト。昨年は「FUJI ROCK FESTIVAL」をはじめとする大型フェスにも出演し、動員数を着実に伸ばしている。
■Profile
次世代へと進化し続けるサウンドを奏でる、新時代を切り拓くアーティスト。バンド名は、敬愛するビル・エヴァンスの「流されないマインド」と、移動型民族であるロマ族の「自分たちの音楽を様々な場所から発信していく」という信念から名付けられた。2025年には本格的なアジア進出を視野に入れ、活動規模をさらに拡大。そのライブ活動の動向から目が離せない、快進撃を続ける存在だ。
YouTubeからTikTokへ、“バズ”が新しい才能を生む
コロナ禍でライブ活動が制限された2020年、アーティストたちはYouTubeチャンネルを中心に楽曲やライブ映像を発信し、そこからファンベースを築いた。YOASOBIやAdoといった新世代が短期間でシーンを席巻したのも、デジタル発信が大きな要因だ。
2021年以降はTikTokの成長とともに、サビやワンフレーズを軸とした“ショートサイズの音楽体験”が普及。ここでのバズが音楽ドリームの入り口となり、無名の新人が一夜にして世界的に注目されるケースも増えていった。
Spotify Viral Top 50で可視化される“瞬発力”
音楽の聴かれ方は、従来のセールスチャートやストリーミング総再生数だけでは語れなくなっている。Spotifyが提供する「Viral Top 50」は、単なる再生回数ランキングではなく、楽曲が“どのくらいシェアされ、拡散されているか”に重点を置いたチャートだ。
Twitter(X)、Instagram、TikTokなど外部SNSでの共有やプレイリスト追加の勢いが加味されるため、まさに今この瞬間に熱を持って広がっている曲を可視化する仕組みとなっている。
“再生回数”ではなく“拡散力”が評価軸
総ストリーミング数が数千万回規模に達していなくても、短期間でSNSに投稿され、ユーザー同士で急激に共有された楽曲が突如チャート上位に現れることがある。
例えば、サビの一節がTikTokで「音源化」され、数万件単位のショート動画に使われた瞬間、再生数の蓄積に先んじて「Viral Top 50」では一気に急浮上する。
この構造は、既存ファンダムの大きさに依存しない“新しいヒットの可視化”として、アーティストのブレイクに直結している。
日本人アーティストの事例
近年、日本人アーティストもこのチャートを舞台に存在感を増している。
Psychic Fever「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」TikTokでのダンスチャレンジを契機に、シンガポール・マレーシア・フィリピンのViral 50でTop 5入り。再生数より先に“拡散の勢い”が評価された象徴的な例。
Aimer「残響散歌」
アニメ「鬼滅の刃」主題歌としてリリースされた楽曲が、台湾や香港のViralチャートに浮上。作品配信開始と同時にSNSで爆発的に引用され、アニメカルチャーの越境力を証明した。
Rejay / Billyrrom / Lavt
新鋭アーティストたちが台湾やベトナム、東南アジア諸国でViral Top 50入り。国内ではまだ無名に近い段階でも、アジアの音楽コミュニティで急拡散し可視化される“逆輸入型のヒット”を生み出している。
瞬発力が持つ意味
Viral Top 50に入ることは、アーティストにとって次の三つの意味を持つ。
グローバル進出のシグナル短期間で特定国のリスナーの心をつかんだ証拠であり、海外レーベルやメディアにとって“発見の指標”となる。
ファンダム形成の起点
一度チャート入りすれば、国内外で新規ファンがSNS上にコミュニティをつくり、持続的なファンダムへ発展する可能性が高まる。
次なる戦略投資の判断材料
レーベルやマネジメントが「どの国で熱量があるか」を把握し、現地でのPRやコラボ施策を投入するきっかけになる。
今後の展望
Spotify Viral Top 50は、従来の“ヒット=再生回数の蓄積”という評価軸を覆し、「誰かがいま薦めたくなる曲」を可視化する場となっている。
この仕組みがあることで、日本人アーティストは国内で芽吹いた楽曲を、SNSを通じて一気にアジア市場に広げることが可能になった。
瞬発力の可視化は、一過性の話題で終わるか、持続的なグローバル展開につながるかを見極める重要な指標として、今後さらに音楽業界に影響を与えていくだろう。
増える事例と拡散要因
これらの成功の裏にはいくつかの共通項が見えてきた。
TikTokでの拡散力:ダンスチャレンジやリールでのUGCが楽曲人気を牽引。
多言語性:英語や韓国語フレーズを取り入れた歌詞が国境を越えて共感を呼ぶ。
アニメ・映像との連動:日本発のアニメやドラマ作品が海外配信されることで自然に音楽も広がる。
これらの要素が絡み合うことで、日本の新進アーティストが短期間でアジア市場へ拡大する動線が整ってきた。
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