KIRITO、全国ツアーファイナル終演「楽しみながら素敵な景色を作っていきますので、ついてこいよ。最大の愛と感謝を込めて」

アーティスト

KIRITO

2022年にKIRITO名義でのソロワークスを始動し、楽曲制作とライブ活動いずれも長年Angeloで行なってきたペースと同様に一切手を緩めることなく、11月のアルバム「NEOSPIRAL」発売と「KIRITO Tour 2022-2023「THE CREATING REAL WORLD」」のスタートによって、正真正銘の本格始動と相成ったKIRITO。さらには、自身最小編成でのアコースティックライブや初のディナーショー開催といった新たな試みも行うなど、濃密な1年間を過ごしてきた彼が、2023年1月7〜8日東京・Spotify O-EASTにて“ツアーファイナル”を迎えた。

ステージ後方には「NEOSPIRAL」の巨大な立体モチーフと、それを囲むように菱形に組まれたトラスが設置されており、会場の大型LEDを活かした映像演出も加わるファイナルにふさわしいステージとなったこの日。まずはアルバムの収録順と同様に「NEOSPIRAL」の12曲が繰り広げられていった。本作はリード曲「Discord」をはじめ攻撃力の高いナンバーが並ぶ作品であり、当然それはステージにも反映されるわけだが、本編終盤に投入された既存曲の「Clue」「Aim」といったヘヴィーナンバーも過去最大の威力を発揮したことは、サポートを務める海(G/vistlip)、JOHN(G)、Masa(B/NOCTURNAL BLOODLUST)、Allen(Dr)とのバンド感の向上と「NEOSPIRAL」あってこそのものだと言えよう。

また、中盤でのバラードナンバー「雫」、それに続くKIRITO自身のことが描かれた「Storyteller」の流れはどうしても胸を打つものだった。これまで幾度も道を切り開いてきたKIRITOだが、そこにはいつも信じてくれる“あなた”がいたから、いくつもの選択肢の中“ここ”に立つことを選んだのだと、そんなメッセージを歌う。さらに、本編ラストナンバーとなった2006年発表の「TEAR」では〈君がそこに確かにいるなら やっと先に進める気がして/もう迷わず唄える気がして〉と歌ったわけで、それはKIRITOの胸にある大切な人たちへの思いは変わらないばかりか、あの時から約17年もの時を共に積み重ね、より確かな存在となっていることの証でもあった。なお、「TEAR」では2022年に発表してきた楽曲たちのミュージックビデオを組み合わせた映像が映し出されるというドラマティックな演出があったことも付記しておきたい。

ちょうど1年前の1月8〜9日は同会場でのAngelo活動休止前ラストツアーのファイナルだったという事実もあり、KIRITOは「DECIDE」を歌う直前こう話したのだった。「あれからもう1年。不安だったり、どうしたらいいかわからないという気持ちの人が多かったと思いますが、今は安心していると思います。どんな時であれ、KIRITOは有言実行の男として、必ず言ったことは現実にします。そうやって生きてきました。だから大丈夫。これから先ももっと攻撃的で、君たちにとって当たり前の居場所をどんどん作っていくからね。またここで約束します。いつでも決断と、そこからの現実が大事ですから、ここで深い決断を歌います」

そして、「来年、再来年、振り返った時にKIRITOについてきて良かったと、そんな自分が誇らしいと、そう全員に思わせることを約束します。これからまた命懸けで戦っていきます。同時に楽しみながら素敵な景色を作っていきますので、ついてこいよ。最大の愛と感謝を込めて」という言葉から、雲が流れる青空と今ツアーのタイトル「THE CREATING REAL WORLD」が大きく映し出される中「EXIT」を歌い終えると、胸に手を当てフロアを見渡し、最後に拳を固く握り締めて頷くKIRITOの姿が印象的だった。

今ツアーの開催に際してKIRITOは「色々なことが証明されると思う」と話していたわけだが、「NEOSPIRAL」に象徴される攻撃性、50歳という年齢に逆行したハードなステージ、ソロでありバンドであること、名義が何であれKIRITOはKIRITOであること、ファンへの深い愛情…多くのことを証明してくれた。そしてツアー中、「概念/GAI-NEN」という言葉が半ばネタのように多用されてきたが、実際のところ真理だと感じているのは何も筆者だけではあるまい。数々の証明がある通り、まさにこれがKIRITOという概念なのだ。

今後のKIRITOの動向としては、先述のCLUB CITTA’振替公演のほか、自身の誕生日当日となる2月24日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて恒例のバースデー公演が開催される。また、1月8日Spotify O-EAST公演の模様を収めた映像作品のリリースも新たに決定した。KIRITOという概念をぜひ会場と映像で体感してほしい。

(文・金多賀歩美)

SETLIST

1. テロメア
2. ANTI-MATTER
3. Discord
4. BUTTERFLY IN A PHANTOM
5. VICTIM
6. INTO THE MIRROR
7. MASTERMIND
8. 雫
9. Storyteller
10. RAID
11. NEOSPIRAL
12. I BLESS YOU
13. Suicide View
14. Clue
15. Aim
16. DECIDE
17. TEAR
Encore
1. GARDEN
2. カンナビス
3. EXIT

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