SEKAI NO OWARIデビュー10周年記念イベント「THE PARADE」開催、マキシマム ザ ホルモン・BiSH・Vaundyら4組が出演

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PHOTO:YOSHIFUMI SHIMIZU

SEKAI NO OWARIのデビュー10周年記念イベント「THE PARADE」が、4月24日に千葉・幕張メッセで開催。マキシマム ザ ホルモン、BiSH、Vaundyらも参加し4時間30分に及ぶ熱いパフォーマンスを繰り広げ、集まった2万人のオーディエンスを沸かせた。

「THE PARADE」は2020年春、SEKAI NO OWARIのインディーズ・デビュー10周年を記念し開催を予定されていたが感染症拡大の状況下、発表前に開催を延期。その後も何度か延期を繰り返し、2年越しにようやく開催が実現したもの。

「THE PARADE」に集まったマキシマム ザ ホルモン、BiSH、Vaundyは、いずれのアーティストもSEKAI NO OWARIとジャンルや音楽性が異なった個性が際立つミュージシャン揃い。この日会場に集まったオーディエンスは、4つの章に分かれた「THE PARADE」というひとつの作品が初披露される貴重な瞬間に立ち会うことが出来た。

「THE PARADE」は廃墟の遊園地がテーマになっている。ステージ天空には巨大な円盤状の照明システム、中には大きさの違った3つの環が舞台下方に向けて円錐状に伸びている。ステージ左右の壁には鎖状の電飾灯が垂らされ、壁には出演メンバーとサーカスの象やライオンにメリーゴーランドの絵が掲げられ、海外のどこかの廃墟遊園地を思い起こさせる装飾が施されている。

開始を告げる鐘が鳴る。冒頭、ノスタルジックな遊園地の風景をざらついたフィルムで映した「THE PARADE」のイメージ映像が流れる。続いてスクリーンにはVaundyのロゴが映し出され、深海を思わせるディープ・ブルーの照明の中、Vaundyとバンドが表れる。1曲目は代表曲でもある「不可幸力」。広いステージの左右をゆっくりと歩きながらエモーショナルな歌声を聴かせる。囁くような低音のウィスパー・ボイス、伸びやかで艷やかなハイトーンと変化自在に響き渡せるボーカルを支えるのはギター、ベース、ドラムの最小編成で構成されるソリッドな音を出すバンド。そしてサウンドとシンクロするように縦横無尽に動くライト群。VaundyのステージはSOUNDとVISIONが一体化し、全体を俯瞰しながら見て聴くアート作品だ。

MCでは会場を見渡しながら「俺には皆んなが小さく見えるので、緊張しなくてすみます(笑)」とはにかみながら話し、アップチューンの「恋風邪にのせて」、スケール感のある壮大な「しわあわせ」と続ける。ロック、ヒップ・ホップ、R&Bにポップ・ミュージックとあらゆるジャンルの音楽を内包させながらボーダーレスな独自の解釈で発信してきたVauudy。「そろそろ終わっちゃう。また、会いに来て下さい」とラストに歌ったのは目の覚めるようなアッパー・ロックチューンの「怪獣の花唄」。ここまではグルーヴに身を委ねながらクールなステージを展開してきたが、ここでは終始客席を煽りながら圧巻のパフォーマンスを見せつけ40分のステージを降りた。

「THE PARADE」の第2幕はSEKAI NO OWARIとも親交があるマキシマム ザ ホルモン。SPACE COMBINEの「marchin’mint flavors」のSEが轟く中、上手よりメンバーがステージに猛ダッシュ。ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)の「アタマ振れるか!!」を合図にカウントが始まりオープニング曲「シミ」に突入。音がでかい。轟音だ。一文の空きもなく4つの声と4つの楽器が埋められていく。物凄い“圧”は、のっけから客席を圧倒。まずは挨拶代わりにち2曲を叩き込み、ナヲ(ドラムと女声と姉)が「ここに来たからには、みんな思いっきりパレードして帰って下さい」と告げ、間髪入れずに次の曲になだれ込む。

Saoriとナヲ、Fukaseとマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)のプライベートなエピソードも飛び出す。DJ LOVEは以前からマキシマム ザ ホルモンのライブにもよく足を運んでいた。両者の共演は2013年に彼らがアルバム「予襲復讐」をリリースした際、新木場と川崎で対バンを果たして以来だそう。ダイスケはんによると、あの時の対バンは「凄ぅ〜く嬉しかった!」そうで久しぶりの対バンに「俺たちめちゃくちゃ気合入れてきたぜ!」と嬉しげに話して「ぶっ生き返す」「絶望ビリー」と続ける。ここでダイスケはんはオーディエンスにスマホ・ライトの点灯を促す。全員がスマホ・ライトを掲げる光景は壮観だ。「このスウィートな空間でやります!恋のスウィート糞メリケン!」はナヲのスウィートなボーカルで始まるハード&ポップ・ナンバー。マキシマム ザ ホルモンの楽曲、一聴するとラウドだが、メロディはキャッチーな曲も多い。4人でのコーラス・ハーモニーも美しい。

「八王子から、恋のおまじないを持ってきました!みなさん、これ強制参加ですからね!」と続く「恋のスペルマ」での観客参加形のアクションを指南。気がついたらお客さん、まんまとマキシマム ザ ホルモンの虜にされ、最後は全員がメンバーと一緒にアクション。見事にステージと客席をひとつにして「また遊ぼうぜ、マキシマムザホルモンでした!」とステージを降りた。

「THE PARADE」の3組目は“楽器を持たないパンクバンド”のBiSH。豪快なディストーション・ギターがかき鳴らされると、ステージ下手よりBiSHの6人が元気全開で走って登場。オープニングは代表曲でもある「BiSH-星が瞬く夜に-」だ。ハシヤスメ・アツコが「最高の夜にしようぜ!」と叫び、メンバーが横一線に並んでのヘッドバンキングを披露すると場内もこれに続く。1曲めから既に会場はヒートアップ。「DEADMAN」「遂に死」ではマキシマム ザ ホルモンばりにラウドロックを畳み込み場内を圧倒。

BiSHは2023年をもって解散することを発表しており、1月から12ヶ月連続シングル・リリースを敢行。セントチヒロ・チッチが「大人も子供も関係なく、この言葉(ごめんね)を素直に言えるようになればいいです」と紹介し歌ったのは、連続リリース第4弾となる4月20日に発表されたばかりの新曲「ごめんね」。

10周年記念のライブイベントで新しいアーティストとの出会いをコンセプトで選ばれたBiSH。MCでモモコグミカンパニーは、”OWARI”という言葉には、「終わったあとに見えるその先の光を感じます」と話し、あらためてSEKAI NO OWARIとこの日集まったオーディエンスに出会えた感謝を伝える。

後半はメンバー全員で歌い継ぐ「FiNAL SHiTS」、疾走感溢れる「オーケストラ」と鉄板のアグレッシブなナンバーを間髪入れずに歌う。一糸乱れぬフォーメーションは見る目にも鮮やか。そしてこのままの勢いを持ってBiSH定番のラストナンバー「beautifulさ」に突入。サビでは両手を頭の上に掲げながら指を動かす「トゲトゲダンス」を花道左右いっぱいに広がって披露し場内を盛り上げていく。正統アイドル歌謡メロディながら、サウンドはしっかりロック。これが違和感なく溶け込み、オーディエンスの耳に残るエンディングに相応しい楽曲だ。最後は演奏が止まるタイミングに合わせて全員でジャンプを決め、声を揃えて「BiSHでした!またどこかで!」と残し、続くSEKAI NO OWARIに繋げた。

「THE PARADE」のイメージ映像が流れたあとステージは暗転。ギターのアルペジオがループで流れる中、Fukaseの声が響き渡る。オープニングは「スターライトパレード」だ!ぱっと照明が明るくなると、Fukaseが「心の中で一緒に歌いましょう!」と呼びかけ、この瞬間、場内は多幸感に包まれる。これから始まるステージへの高揚と期待を煽る高らかなファンファーレだ。ラストのサビ前にはSaoriのピアノを挟むようにNakajinとFukaseが顔を寄せる様子は、いよいよ始まるパフォーマンスに向け、気合を込める円陣を組んでいるよう。

フォレスト・グリーンの照明の中、スパニッシュ・ギターが響き渡り、その後はブルーとレッドを基調にしたダークネスなカオスな空間に突入する「Death Disco」。虹色のライトがビートに合わせて飛び交うポップ・チューン「虹色の戦争」は、インディーズ時代のファースト・アルバムに収録されたナンバー。広大な大地を彷彿させケルト音楽の香りも漂う「Dropout」はライブ初披露楽曲。「ANTI-HERO」ではヒップ・ホップやソウル・ミュージックをエッセンスに盛り込みグルーヴ感溢れるステージを展開。間奏でのSaoriの流麗なピアノにオーディエンスを惜しみない拍手を贈る。ここまで「ブライト」と「ダーク」な曲調の楽曲を交互に演奏し、デビューから現在までのSEKAI NO OWARIをオーディエンスと共に辿っていく。

MCでNakajinは場内を見回し「熱気がすごい!メガネが曇りまくり(笑)」と興奮を隠せない。

ピアノ・ソロでチェンバロのような気品を漂わせるクラシカルで崇高な「RAIN」、DJ LOVEが両腕を大きく掲げて促すと、オーディエンスもクラッピングで応えステージと客席が一体化していく。Fukaseの「新曲やります!」で始まった曲は、映画『ホリックxxxHOLiC』の主題歌で4月28日に配信リリース予定のブランニュー・ソング「Habit」。もちろんライブでは初披露。

攻撃的なギターリフにのせて、場内へアジテーションするように歌詞が畳み掛けられていく。20世紀前半のアーリー・ジャズのシャッフルビートに乗せて演奏される「Monsoon Night」はグッド・オールド・ファッションな1曲。ステージに置かれた12本のファイヤートーチが火を放ち、真っ赤な照明と相まって場内を情熱的に彩る。圧巻は舞台前面に置かれた特効キャノン砲台。なんと曲のリズムに合わせて炎が次々に飛び出す。この光景にオーディエンスの興奮も伝わってくる。もっとも演奏している方にとっては「こんな熱いステージない!あれはサウナのロウリュ浴びてるよう」だったそう。あらためてこの日のイベントを振り返りFukase は「最高のメンツじゃなかった?」と感無量。ここからは大ヒットナンバー「silent」、そして冒頭に続いて再び場内を多幸感と祝祭感に包み込む「炎と森のカーニバル」で終了。

客席からのアンコールに応えて再びステージにSEKAI NO OWARIの4人が登場。Nakajinから「素晴らしい1日でした!こういう機会もめったに無いので、みんなで記念撮影をしましょう!」とVaundy、マキシマム ザ ホルモン、BiSHらを呼びこみ客席をバックに撮影。出演メンバーがステージを降りると「みんなでジャンプしましょう!Dragon Night」とFUKASEが叫び演奏がスタート。Nakajinはギターにバンジョー、ドラムロールと八面六臂の演奏をみせ、Saoriはアコーディオンを抱え花道の左右を歩く。FUKASEの「ジャンプ!」に合わせオーディエンス全員がその場でジャンプ、圧倒的な盛り上がりの中、4時間30分に及んだ「THE PARADE」は終了。