ザ・フー、“「四重人格」以来最高のアルバム”と語る13年ぶりの新作「WHO」発売 ピートの長文コメント公開も

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本日12月6日、前作から13年ぶりとなるザ・フーのニュー・アルバム「WHO」がリリースされ、デラックス・ヴァージョンに収録される“失われた”楽曲についてピート・タウンゼントが語る長文コメントの日本語訳も公開となった。

本作「WHO」は、ロジャー・ダルトリー(Vocal)本人が「WHO」を彼らの最強作と位置付け「1973年の『四重人格』以来最高のアルバムを作り上げたと思う」とコメントし、英メディアも“「四重人格」以来の最高傑作”(Uncut誌)、“1975年の「ザ・フー・バイ・ナンバーズ」以来の最高傑作”(The Times紙)など、大絶賛が寄せられている。

アルバムのデラックス・ヴァージョンに収録されるボーナス・トラックとして、これまで“失われた”楽曲とされていた1966年の2曲「ゴット・ナッシング・トゥ・プルーヴ」と「サンド(デモ)」が収録される。「サンド(デモ)」は3枚組カラー・ヴァイナルのみに収録される曲だが、日本盤CDにもボーナス・トラックとして収録される。

ピート・タウンゼント(Guitar)はこの楽曲について当時を振り返って言う。

「2曲とも、1966年の夏頃にできた曲で、バンドのメンバーには拒絶されなかったかもしれないが、私の創作上のメンターでもあるザ・フーのマネージャー、キット・ランバートが受け入れてくれなかったんだ。1967年に曲がお蔵入りになりそうになったとき、私は“ゴット・ナッシング・トゥ・プルーヴ”を、1965年にマーキーで僕らのサポート・アクトをしてくれたジミー・ジェイムス&ザ・ヴァガボンズに頼んだ。彼に聴いてもらうためにトゥイックナムの自宅でデモテープをかけたのを覚えているよ。彼らのマネージメントをまだピーター・ミーデンが請け負っていた頃だった。彼が我々のPR担当だったのは1964年のほんの短い間だったけど、私は特に影響を受けた。ジミーはこの曲を気に入ってくれて、もっとR&Bっぽくしてテンポを遅く変えてみたらどうかと言ってくれたが、それでも状況は変わらなかった。思うにキットは、この曲が、現実世界の私よりもっと年上で、自分に満足しきった男が歌っているように聴こえたんじゃないかな。ロジャーもそう思ったかもしれない。今なら上手くいく。あの頃では駄目だっただろう。デイヴ・サーディと私は、ジョージ・フェントンに、この曲に“スウィング60’s”バンド風なアレンジをほどこして、より面白いものにしてくれないか、それにきっちりオースティン・パワーズ的なファンタジーにもしてくれと頼むことにした。その結果、すっかり気に入ったよ」

「“サンド”も同じ頃にできた。単純なアイデアから生まれた曲で、夏のビーチでヴァケーション中にロマンスが生まれるんだけど、雨が降る自宅に帰ってくると恋人たちは続かないという内容だ。この曲も、キットはアルバムに入れるのも止めておこうと言ったので、ただしまい込まれていた。私はずっとこの曲を好きだったが、パソコンがもっと有能になって、デモテープに影響するようなテープが伸びる問題なんかを解決できるようになるまで待っていた。私はこの曲を、自宅にあるスタジオで、何となくザ・フーならこの曲をこんなふうに演奏し、こんなふうにレコーディングしただろうと自分で感じるように蘇らせた。そういうわけで、バック・ヴォーカルや、リッケンバッカーのエレクトリック・ギターや、アコースティックの12弦ギター、それに正確にその時代を思い起こさせるように、フィードバックさせた部分も加えた。これらの2曲は本来なら私のアルバム「スクープ」に入るような曲かもしれないが、私はA&Rのリチャード・オドノヴァンに示したかったんだ。つまり彼なら、そして私も感じていることだが、この2曲が新しいザ・フーのファンに、初期のすべてのザ・フーの曲のようなロー・ファイな方法の良さや、私が自宅のスタジオでワンマン・バンドを経験したときの純粋な喜びを気づかせてくれるだろうと。以前はそういうのが普通だったからね。結局のところ、これはザ・フーの歴史だ。そして、偏執的なコレクターだけに向けられたものでもないんだ」

ニュー・アルバムのリリースに伴い、キース・ムーン(Drums)の生前最後のパフォーマンスとなった「無法の世界(Won’t Get Fooled Again)」と「ババ・オライリー(Baba O’Riley)」の1978年の映像が公開されている。

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