デジタル時代に音楽ビジネスを拡張する人材を!「ニューミドルマン養成講座」開講 ~記念トークイベント・レポート~

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:高野修平氏 野田威一郎氏 山口哲一氏

 音楽プロダクション、バグ・コーポレーションの代表取締役であり、音楽プロデューサーの山口哲一氏が、デジタル化が進む音楽業界人のモデルを、アーティストとユーザーを繋ぐ「ニューミドルマン」とし、それらの人材を育成する講座を開く。各界の豪華講師陣に招き、10月よりスタートする本講座に先立ち行われた記念トークイベントをレポートする。
 数々の著作や経済産業省監修の『デジタルコンテンツ白書』の執筆など、音楽ビジネスの現状に精通した山口氏をモデレーターに、TUNECOREジャパン代表取締役の野田威一郎氏、トライバルメディアハウス、シニアプランナー/サブマネージャーの高野修平氏の3人が語った、音楽業界の現在、未来をめぐるトークの一部を掲載します。

  1. 音楽の未来は、CDか? ストリーミングか? ではなく、ハイブリッド型
  2. ハイブリット化対応と海外進出、そこに必要な戦略と戦術は?
  3. 1人の敏腕マネージャーがいれば、世界で戦えるぐらいのチームが構成できる
  4. ニューミドルマンが音楽業界を拡張する

 

音楽の未来は、CDか? ストリーミングか? ではなく、ハイブリッド型

山口:音楽ビジネスの新しいビジネスモデルについて、パッケージなのか配信なのかとか、ストリーミングだ、イヤ音源よりライブだと、様々な議論がありますが、ハイブリッド型になるというイメージが、たぶん正しいですよね。高野さんが言ったインターネットの情報の流れの例が、すごく分かりやすかった。つまり、最初はポータルが偉かった。ヤフーが勝った。と思ったら検索の時代が来て、グーグルが勝った。そしてソーシャルの時代でFacebook……ってなっているんだけど、今でもヤフーニュースの影響力はすごくあるし、ポータル型の情報の流れ、検索型の情報の流れ、ソーシャル型の情報の流れがハイブリッドになっていく。音楽も、CDかストリーミングか?ではなく、同時に存在していくようになる。おそらくデジタルマーケティングの専門家の高野さんは、そのハイブリッドの組み合わせ方とか、そういうことを考えるわけでしょう。

高野:そうですね。それぞれ良いところはいっぱいあるので、それをどう組み合わせるかっていう話なので。だからSpotifyにも良さがあるし、フィジカルにはフィジカルの良さがある。着うたには着うたの良さもある。そこをマーケティングも含め最適化していかないといけないんですけど、もったいないですよね。

野田:本当にそうですね。TUNECORE Japanではストリーミングに配信するか、しないかを、何のバイアスもかけずに勝手にアーティストの方に選んでもらっているのですが、やっぱり、ストリーミングに楽曲を提供する人と、ストリーミングは、お金にならないからやらないっていうスタンスの人で分かれます。全部やる人は全部やるし、ストリーミングが嫌な人はダウンロードしかやらない。でも、スタンス、考え方がバラバラでも良いと思っております。なぜなら、各アーティストにとっての現在のステージがバラバラなはずですからね。無料でも良いから聴いてほしいという人もいれば、お金を取れないんじゃダメでしょうっていう人もいる。それは、どんなステージにいるかっていうことだけなので。ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーは、バンバン新しいことをやって、自分をブランディングして価値に変えていっているし。そのおかげでTUNECOREが一気に普及したということはもちろんありますけど、ある意味では、自由に選択すれば良い。業界としても、そこを一緒くたにして、ストリーミングはNO、ダウンロードはYES、CDはYESっていうのも、よく分からない。

山口:重要なポイントは海外でJ-POPを売る方法を考えること。音楽に限らず、人口が減り始めた日本市場だけではシュリンクしてしまいます。一方、アニメのおかげで、J-POPファンは海外にもいるというところまでは分かっている。じゃあ、どうすればよいのか。

野田:僕らは、海外に日本の音楽を届けていきたいなと思っているのですけど、方法は本当にいろいろあって、海外でアーティストがやっている事例をお話することくらいしかできないのですが、いま少なからず行なわれているのは、やはりYouTubeだと思います。アーティストが共通に使っているツールになっています。これは既出で、いろんなところで言われていることですし、今年くらいからYouTuberの報酬とか収益が世の中に知られ始めていますよね。

山口:広告の世界でも動画に注目が集まっていることもあって、「YouTuberバブル」と言う人もいます。この辺の話は、「ニューミドルマン講座」で日本の草分けのビデオブロガージェットダイスケさんに話を聞こうと思っているのですが、
日本でも「YouTuber」が収益を上げるようになっているみたいですね。

野田:結構増えてきています。TUNECORE Japanの方のブログで書いているのですけど、TUNECOREの売上げの上位は、YouTubeを使っている人たちが多いです。特に2012年だと、YouTubeで一番大きな番組を持たれている人は、実はTUNECOREで楽曲を配信していて、月次で数千万の売上げがある。僕らが知っている収益は、あくまでiTunes Storeでの販売金額ですから、その数千万の外側にたぶんYouTubeからの広告収益とかそれ以外の広告収益が加わっています。なので、世界でトップクラスのYouTuberの話ではありますけど、かなりの金額を彼らは作っています。それを元に自分たちでツアーをやったりしている。そういう意味で言えば、海外だからできるという話ではなくて、使えるツールはきっと日本も一緒で。まあどうやるかとか、何を押し出すのかっていうのは、各アーティストさんのプランニングになるのですけど。そこのノウハウは、僕らはまだ全然蓄積できていない。これから一緒にいろんなアーティストさんとやっていきたいなとは思っているところですが、実績の数字だけで言うと、まずはそういうやり方でコンテンツもちゃんと届くんじゃないかと思っています。

高野:いま野田さんがおっしゃったことって、すごく戦術論として大事なことだと思います。何を使って、どうやっていくのか。それと、戦略論も必要ですよね。例えばアジアで展開したいと言っても、アジアはいろいろな国がある。その中で、どこなのか。シンガポールだったらこういう属性が要るよねっていう感じで、ちゃんと戦略を決めて。市場である程度一般化しているプラットフォームやツールを駆使して、その上で戦術論の話にならないといけないんですけど、どうしても戦略が抜けてしまいがちなんですね。でも考えてみたときに、J-POPが海外でどう売るか、結局は日本も逆に同じなんですけど、世の中に空気ができているかどうかなんですよ。じゃあ空気って何ができるかっていうと、PRなんですね。皆さんが、例えばYouTuberとかVineの“けみお”とかをどこで知るかと言えば、おそらくほとんど全部がニュースです。もちろんソーシャルもありますけど、基本は僕らはPRによってものを知るんですね。なので、いかにシンガポールならシンガポールのメディアとかにニュースを出せるかということがすごく重要です。人は3回同じ情報に出会うと信頼すると言われていますが、最近なんかよく聞くなっていう話になって初めて、関与度が上がるんです。それが上がる前に打ち続けても、あんまり意味が無くて。もちろんライブとか、コツコツやることももちろん大事ですけど、いかにニュースを作るかっていうところで、海外でむちゃくちゃ売れているぜっていうのがニュースになるので、逆もしかりで、海外におけるニュースをどう作っていくのか。そのためにはメディアも知らないといけないし。ソーシャルを使うにしても、どのプラットフォームが良いのか。そういうことも考えないといけないので、そういった意味では戦略を決めて戦術に落とすのに、野田さんがおっしゃったこともあるし、ニュースをいかに作るか。その2軸がちゃんとできないと、なかなか厳しいような気がします。

野田:それがニューミドルマンの仕事ですよね?

山口:上手にまとめてもらってありがとうございます(笑)。デジタル時代に音楽を広めていく人材を増やしていきたいですね。

 

ハイブリット化対応と海外進出、そこに必要な戦略と戦術は?

音楽業界を拡張するニューミドルマン「ニューミドルマン養成講座」開講記念トークイベント 高野 修平

(会場より質問) 海外でJ-POPを売る場合、実際にこの国というのはありますか?

山口:ジャンルやアーティストによるので、一概には言えないですけど、一般論としてはJAPAN EXPOをパリで開催されているフランスが日本のポップカルチャーが最初に盛り上がった国ですよね。でも、例えばNHK国際放送「J-MELO」は、世界中のいろんな国から熱いメールが届くそうです。日本の音楽業界は特に努力をしていないのにありがたいことですね。

高野:僕がマーケティングプロデューサーでかかわっているTHE NOVEMBERSも、同じような面白いことが起きていて。5月に『今日も生きたね』っていうシングルを出していて、日本語の歌詞をすごく大事にした歌なので、基本は日本人向け。で、24時間限定でフリーダウンロードをやったんですけど、アクセス過多でサーバーが落ちたんです。で、その後にSoundCloudにあげたんですけど、見たらアメリカからすさまじいアクセスがあって、ピックアップに出てしまうくらいで。FUJI ROCKでも外人の反応がすこぶる良かったので。歌詞は分からないけど、旋律だったり、パフォーマンスが海外受けするんだろうなって。前からそう思ってはいたんですけど、アメリカっていうのは意外でした。ヨーロッパとかドイツだとイメージがわくんですけどね。

野田:TUNECORE Japanのデータで言うと、ヨーロッパ、北欧系は一番売れていますね。世の中で言われていることそのままなのですけど、実際の数字としてもそうなっています。まあアメリカは人数が多いので、そこそこの数字が出ていますけど。

山口:ざっくりと概論で言うと、オタク的カルチャーとニッチ音楽ジャンルのグローバルネットワークの二軸があると思います。クールジャパンと言われるアニメとかコスプレそういうオタクカルチャーを中心としたJポップカルチャーのファンのシーンが一つ。もう一つ、音楽のニッチジャンル、例えばヘビーメタルやハードロック、ダンスミュージックで、そもそもジャンルとしてグローバルなネットワークがある。初期の海外進出にビジュアル系バンドが多かったのは、昔ながらのニッチジャンルとしてのつながりとJカルチャー、2つの文脈を組み合わせることができたからだと思います。

高野:日本のマーケットも同じなんですけど、どうしてもクラスタでものごとを考えがちなんですよ。20代、女性、独身、みたいな。F1って分け方がまさにそうですけど。でもF1にもいろいろな女性がいて、アニメ大好きな人もいれば、アニメにはかけらも興味が無い人もいる。それに同じマーケティング手法であたっても、刺さるわけはない。だからいま重要視されているのがトライブという概念で、趣味嗜好でつながる部族という意味ですけど、これでとらえないと今は刺さらない。これは海外でも一緒で、フランスっていうよりは、フランスの中でアニメの好きな、JAPAN EXPOに行っちゃうような女の子っていうようなトライブに向けたマーケティングをしないと、刺さらない。単にフランスってくくるのは、危ない。

(会場より質問) 空気を醸成するために考えられることは?

高野:それは3つしかないですね。「おおやけ・ばったり・おすみつき」です。この3要素がないと、世の中に空気はできないんです。おおやけは公共性という意味で、例えばテレビのニュースに出るとか、WEBニュースに出ること。ばったりは偶然性で、ソーシャルかもしれないし、こういうリアルな場かもしれないですけど、ばったり出会うこと。おすみつきは、権威がある人からの発言によってお墨付きを得ること。赤ちゃんのおむつを出すとして、いろんなおむつメーカーがある。いまはもう情報がありすぎちゃって、どれを選んでも一緒なわけじゃないですか。そういうときに、空気を作るためには、おむつの機能がいいぜって言っても売れないわけです。そこでまずはおむつを売るという概念から少し広げて、赤ちゃんの睡眠時間が問題だという空気を作るわけです。それをニュースで配信したり、人と出会った時とかに話せる話題をつくる、そして、赤ちゃんの専門家とかが問題だって。この3つが合わさると、どんどん空気ができる。で、おむつには興味が無くても、赤ちゃんの睡眠時間が問題だって言われたら、小さいお子さんがいるお母さんは自分ゴト化するじゃないですか。そうすると、あの件知ってる? ウチの子大丈夫かなって。どんどんばったりが増える。だけど世の中を動かすと言っても、おむつなんてパイが限られている。これは音楽も一緒ですよね。このターゲットはだいたいこれくらいのパイで、それに対して、どうおおやけを作って、ばったりを作って、おすみつきを与えるのか。仮に10万人だとして、そこに対する空気づくりを考えていく。そういうことだと思います。

音楽業界を拡張するニューミドルマン「ニューミドルマン養成講座」開講記念トークイベント

 

1人の敏腕マネージャーがいれば、世界で戦えるぐらいのチームが構成できる

音楽業界を拡張するニューミドルマン「ニューミドルマン養成講座」開講記念トークイベント 野田威一郎

(会場より質問) 今後のミドルマンは音楽業界の中のどのようなフィールドで働くのが良いのでしょうか? レコード会社なのか、システム側なのか。

山口:フィールドはどこでも良いんじゃないでしょうか。ニューミドルマンという概念で仕事をすることが必要だと思っているので。ただ、大学生で就職しようと思っている人に相談されたら、10年前ならレコード会社を勧めてましたけれど、今は、ジョブキャリアとして、あんまり意味がある感じはしませんね。音楽業界って東大卒もアルバイトも全く同じ、日本でも相当珍しい業界だと思うので、コンサートプロモーターでもぎりのバイトをしてたっていう人と、新卒でソニーやAMUSEに入ったとしても、業界での価値が同じ。学歴が全く意味が無いのは面白いですよね。

「ニューミドルマン」という概念をどうまとめればよいかは、セミナーをやることで考えていきたいんですけど、今は土台から作っていかないといけない時代ですね。僕はプロデューサーとしてヒット曲とかスターアーティストを作りたくてずっとこの仕事をやってきたんですけど、「山口さん、最近なにをやっているんですか?」って訊かれた時に、例えるのは、「ホームランを打ちたくて野球選手になったのに、最近は3振でアウトで良いと思う?とか、セリーグとパリーグで良いと思う?とか、球場の広さはこれでよいと思う?とか、そういうことばっかり聞かれてます」(笑) 音楽ってデジタルとの関係で言えば、ルール自体を考えていくことが、本質的にはニューミドルマンの仕事になってくるんじゃないかなって思っています。

野田:これからインディーズのアーティストが自由でなんでもできるようになる。そういう世の中を僕らは作ろうとしていて、だれでも世界中に配信ができる。じゃあ、アーティストだけで良いじゃん!ってなるかと言えば、アーティストはどうしても作品制作への思いが強いので、僕らみたいにプラットフォームが「簡単にアーティスト本人でも、できるのです」って言っても、やっぱりなかなかやらないですよね、本業ではないですし。どうしてもそれをサポートするスタッフや仲間が必要です。ただこういったアーティストが自由にできる環境を作ることで、そういう仲間が必要なのだと彼らが気づいたりすることが重要だと思っています。すでに与えられた事務所や、レーベルというレールではなくて、自ら自分をサポートしてくれる人と自然な形で活動するという、結果それが事務所・レーベルになるならそれが自然な順番かなと思います。アーティストと、1人の敏腕マネージャーがいれば、もしかすると海外でも戦えるくらいのチームが2〜3人で構成できる。そのアーティストの周りにいるのがニューミドルマンなんじゃないかなって。

山口:日本の音楽業界ってこれまでは、アーティストが無名の新人の時期からセルフマネージメントで成功した例って、僕が知る限りでは1つも無いんですね。音楽業界人がアーティストをスポイルして、甘やかしてきたからだっていう批判もあり得るなって、自分の反省も含めて思うんですけど、ともかく必ずマネージャーがいました。成功したあとに、アーティストが社長になってビジネスをされている方はいらっしゃいますけど、0からやった人は居ない。素人マネージャーとアマチュアバンドがのしあがった例はたくさんあるのですが、これがもしかしたら日本とアメリカの最大の違いかもしれません。

ビジネスマインドと社会性を持ったアーティストがそろそろ出てきても良いと思うし、僕は雇われたいですけどね、アーティストに。結構優秀なので、使ってって思います。(笑)

野田:海外でも、結局全部自分ではやれないので、マネージャーを雇うケースがあります。僕らはアーティストがダイレクトにやれるよって明確にうたっていますけど、大きく展開するには、チームが必要かなって思っています。

(会場より質問) デジタル化が進まない理由。

高野:そこにチャンスを見出すかどうか。機会と見るか、リスクと見るか。そういう意味では、まだリスクとして見ている人が多いと思うんですね。でも一般の人たちがどんどん音楽に興味を失っているので、このままではフリーでも要らないとなってしまうと思うんです。間もなく。残された時間は少ないので、パラダイムシフトを起こす勇気が一番大事なんじゃないかなと思います。

山口:僕は一番言いにくい立場ですけど、デジタル化の障害になっているのは不勉強と保身だと思います。それに対してどう戦おうと思っているかと言うと、僕は破壊に対してはすごく反対で、やっぱり日本の音楽業界の仕組みもそうだし、J-POPの蓄積として良いものはたくさんあって、それを焼け野原にすることは日本の国益にも反する。だから、良いところを活かしてやっていく。そのためには、具体的な成功例が必要。音楽業界って雰囲気も大事で、あのやり方が良いらしいよ、山口がうまくやってるみたいだねってなると、業界の空気が変わるんですよ。きゃりーぱみゅぱみゅが海外で大人気とか、そういうエピソードがいっぱい出てきて、最近、野田が良い車に乗っている、TUNECOREが良いらしいとか。そんなことが意外に大事(笑)。具体の成功例を作るためには、やっぱりもっと若い力が音楽業界に入ってくるっていうか、別に今の業界に入ってこなくても良いけど、音楽で稼ぐことに真剣に取り組んでほしくて、それを一緒にできないかなっていう、今回の企画の趣旨の話に戻ってきます。

野田:日本自体のデジタル化が遅れているとは思っていなくて。海外に行くと分かりますけど、どう考えても便利な国ですから。ただ音楽でいうところのデジタル、配信という部分での売上げは確かに海外よりも比率が低い。それは単純にガラケーからスマホに移った時にうまくいかなかっただけだと僕は思っていて、その比率を保っていれば、こうはなっていなかっとは思います。今後は、そこをどうしていくのだっていう段階なので、どうなるかは僕も分からない面もありますけど、少なくともユーザー(リスナー)の声を聞くと、youtubeで音楽を聞く人が増えている時点で、その他配信サイトやCDなどは、なんか不便だなって思っている人が多いのだと思います。それに対して、もっと良いサービスがあるよってなっていくのだろうと思っています。とにかく日本のアーティストや楽曲が世界に出ていくことで、市場を広げていくというのが、我々のミッションだと考えています。もちろん、国内は国内で今まで通り消費してもらった方が良いですし、それにプラスオンで海外の市場が広がって万々歳でしょうって。あわよくば、そこで世界一をとれたら良いなっていうことですね。

 

ニューミドルマンが音楽業界を拡張する

音楽業界を拡張するニューミドルマン「ニューミドルマン養成講座」開講記念トークイベント 高野 修平 野田威一郎 山口哲一

山口:今日のテーマでもある“ニューミドルマン養成講座”は8回で行ないます。ゲストが素晴らしいです。この人達と一緒に問題を考えていく。できればここからプロジェクトをどんどん立ち上げていきたいですね。僕も好きなのでプロジェクトを考えたりはしますけど、できればプロジェクトを持ってきてもらって、こういうことをしゃべりたいんだけど、どうすればいいいかなっていうことをやりたい。

野田:ワークショップ的な感じですね。

山口:そうですね。デジタルマーケティングの高野さんにも参加していただいて。
高野:でも、名前が入ってないですよ、僕(笑)。

山口:上級コースで、高野修平と学ぶ1ヶ月とかも考えているんですけど(笑)。そういう意味ではこれは入門編です。最後に一言ずつお願いします。

高野:今日は本当に良い機会だったと思います。で、山口さんからお話をいただいて考えていたんですけど、僕はニューミドルマンの役割って、音楽業界を拡張することかなって思っています。なんでかっていうと、野田さんもそうですし、僕もそうですけど、音楽業界の中の人間ではないわけですよ。僕も学生さんから「音楽業界に行きたいんですけど」っていう質問や相談を受けることがあって、それって基本的にはレーベルだったりするんですね。それは間違いではないけど、音楽業界には音楽出版社とかメディアとかあれば、僕のようにマーケティングをやっている人間もかかわっている。いろんなルートで音楽業界にかかわることはできるし、トライバルメディアハウスや僕はハブになって、音楽に全く関係が無い企業をどうやって音楽と結びつけるかを考えている。これはタイアップとかそういうことではなく。僕自身はいま第3フェーズで、1作目の『音楽の明日を鳴らす』ではソーシャルメディアと音楽の融合で、これはもう解が出ている。次が『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』で、音楽で世の中を動かす方法を考えた。次もたぶん書くんですけど、音楽を媒介としたマーケティングがテーマになる予定です。そういう意味では、音楽業界に縁もゆかりも無い企業や人を、どうやって媒介にしてマーケティングするのか。それは音楽業界を拡張することなんですね。

山口:高野さんはまさにニューミドルマンだと思っていますけどね。

高野:ありがとうございます。届け方って得てして忘れられがちだったりするので。良い歌だから売れた時代ではもはやないので、届け方、適切な人に届ける方法を、音楽業界を拡張するっていうテーマで今後はできたらと思っています。

野田:繰り返しになりますが、日本の曲やアーティストを世界に届けたいと思っています。それを実現するにはいろいろルールとか、細かい基準とか、面倒なことが沢山あるので、そういう面倒なところを簡単にできるように整備していこうと思っています。世界中のだれもが簡単に、手軽に、日本の音楽に出会えるように、僕らが届ける。そういうポジションを、これからもなるべく早く、実現していきたいなと思っています。ただ、届けるだけでは成功しないので、僕らは届ける役割をするので、アーティストには良い作品を作ってもらって、広げる人が広げる役割をする。そういう形で新しい人達にどんどん参加していってもらって、新しいデジタルツールを使って試行錯誤をしながら、一緒にやっていけたらと思っています。

山口:今日は、本音で熱い会話が交わされて、すごく良かったです。またやりましょう。ありがとうございました。

『ニューミドルマン養成講座』

音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリストの山口哲一がオーガナイザーをつとめる『ニューミドルマン養成講座』が10月に開講する。豪華講師陣による全8回、定員は30名、音楽を仕事にしたいすべての人を対象。応募締切は10月3日となっている。

日本の音楽業界には、多くの蓄積と海外を始めとしたたくさんのチャンスが眠っています。
ところが、従来型の音楽業界人は、既存の発想に縛られて、そのチャンスを活かしきれずにいます。
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